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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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74/122

74、次の迷宮と……

 いないですか……

 チカは周りを見てすぐにそう結論を出す。

 寝る前まではいたはずの彼女はいなくなっている。

 それは、まさしく置いていかれたということなのだろう。


「昨日言われた通りに歩きますか」


 教えてもらった進みかたで、チカは歩いていくことになった。

 そうして見えてきたのは、街と高台だ。

 嬉しさに走りだそうとしたが、さすがにあまり勢いよく走ってしまうのは、注目を浴びすぎてしまう。

 そのことはわかっていたので、ある程度の速度で走っていく。

 二日も休んでいたことで体の調子もなかなかによかった。


「ただいま」

「お姉様!心配したです」

「ごめんね」

「そうよ」

「ごめんなさい」


 高台の一角ではすでに起きていたキキルとスイの二人が出迎えてくれた。


「お姉様、何をしていたのです?」

「ええっと……」


 スイに詰め寄られたチカは昨日の出来事を話す。

 過去の話しなどは無しにして、誰と会っていたかについてだ。


「なるほどね、そんなことがあったんだ。でも、それって……」

「はいです。スイたちが出会った人と同じだと思うです」

「そうだよね」

「えっと?」

「えっとね……」


 今度はキキルたちが出会った子供たちについて話しをする。

 お互いに話した内容から、出会った相手というのが、同じであることがわかる。


「うーん、どこに行ったのかわかんないんだよね」

「はい。朝起きたときにはいませんでしたから……」

「そっか、今度は話しでもしてみたかったんだけどね」

「はい。あたしももう少し、話しをしたかったです」


 そう、話せばどんな話題になるのかはわからない。

 それでも、話してみたいと思えるほど魅力的な相手だと思った。


「また会えるといいのですが」

「そうだね」


 どこにいるのかわからない以上、追いかけるというのも間違っている。

 よって、三人は残りの二人が起きてきたのを確認すると、食事などを済ませ目的の場所へと向かう。


「何もないですね」

「ほんとだね」

「近づかないのか?」

「あんまり行き過ぎると絡まれるわよ」

「面倒なことになりかねないってことか」

「そういうこと」


 最初の目的地である、迷宮へとやってきていたが、そこには何もない。

 更地のようになっており、どんな迷宮なのか今はわからない。

 ここにあったのは、この街で管理された迷宮だった。

 だが、今は迷宮の主である大魔法使いがいなくなったため、消滅している。


「確認は三人でよかったわけ?」

「はい。魔法が扱える二人には、何かあったときに魔法で援護などを行ってもらう必要がありますから」

「そんじゃ、確認も終わったし、撤収するか?」

「そうですね」


 特に何かがあるというわけではなかったが、だからこそ確認の必要があった。

 あの森にあった迷宮と同じように消えてしまうのかどうか、それを知りたかったからだ。

 結果は同じようになくなっている。


「これで、迷宮は二つなくなったというわけですね」

「そういうことになるわね」

「結局、迷宮がなくなれば魔物が大量発生しなくなるってことか」

「そうですね。人造物である、あの大型の魔物がいなくなれば、それだけで脅威としては少なくなります」

「そうだな」

「何よ、何か気になるわけ?」

「いや、ちょっとな」


 三人はそんな会話をしながらも、その場を後にする。

 そして、スイたちと合流した。

 次に向かうのは、もう一つの迷宮だ。

 この迷宮からはそれなりに近くにあることをキキルたちは知っている。


 でも、実際にはキキルたち以外も何かがあるということだけは知っているのだが、その何かを理解して解けるものたちがいないからだ。

 そんな中で、簡単に理解して解いてしまったのがキキルだ。

 なんでもこなせるというのは一種の才能であるということだろう。


「どうする?すぐに入る?」

「入るとは、どういう意味ですか?」

「俺たちにはわからない、何かを使うんだ」

「そうなんですか」


 聞いておいても、何かは理解できない。

 だからこそ、五人はさっさとその場所へと入る。

 そこにあったのは、何かだった。

 なんなのかは誰もがわからないが、何をすればいいのかはわかっている人はいる。

 キキルはそれを手に取ると早速やってしまう。


「速いですね!」


 チカが思わずそう言葉にしてしまうほどに、キキルの手の動きは素早かった。

 まるで全てを理解しているかのようだ。

 そうして、全ての面が同じ色でそろったとき、床が抜けたように全員が落下する。


「あ!」「おお!」「きゃ」「うお」「です!」


 五人の驚きの声が聞こえた後、それは下に吸い込まれていく。

 キキルとマモルは忘れていた。

 ここの試練といえばいいのか、それを解くと地面が抜けるということを……

 気づいたときには、もう遅くて全員が落ちていく。

 なんとかチカとキキルとマモルはその運動神経から、態勢を整えるとちゃんと着地をするが、カイとスイはというと体を絡ませながら落ちてしまう。


「邪魔です」

「仕方ないだろ、こういうのは僕だって不可抗力なんだ」


 落ちた先で二人はそう言葉にする。

 なんとか態勢を落ち着けて、落ちたチカたち三人はすでに周りを確認していた。

 といっても、そこにいたのはボーっと全員を眺めている女性だった。


「あ、来たんだ!」

「久しぶりなんだけど、あのときはよくもやってくれたわね」

「仕方ない。説明するのが面倒。だからああいうことをした」

「面倒だからって、もう少しやり方があるんじゃないの?」

「仕方ない、面倒なことは放り投げる。それでいい」

「どうして、そういう話になるのよ」


 到達した先にいた女性とキキルはそんなことを話す。

 確かに彼女はどこか眠たげな瞳でみんなを見ている。

 そこから考えると、本当に面倒くさかったということなのだろう。


「ちゃんとあんたたちのことを知ったけど」

「そう?だったら、何をするかわかってるはず」

「ええ、そうね」


 キキルは、彼女を見ると頷く。

 何をやるのか、それについては話を聞いたここにいる全員がわかっているつもりだ。

 人造物を倒すのか、もしくは……だ。

 でも、ここまで多くの人造物を倒してきたこのメンツだからこそ、口にする。


「人造物を倒す方向で考えてるんだけど、いい?」

「へえ?できるの?」

「逆にやらない理由がある?」

「そう?なら、チャレンジだね」


 いつもの口調で彼女は口にすると、簡単に封印を解放するのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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