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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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63/122

63、魔物の大量発生

 街を出て、二日ほどがたった。

 どうやら、キキルたちが見つけたとされる迷宮までは、三日かかるという話だった。

 そんな道中でも、チカたちはなるべく切磋琢磨(せっさたくま)をしながら、目指していた。

 とはいえ、違和感というものに関しては誰もが感じていた。


「魔物が増えてない?」

「はい、多いですね」


 基本的に前衛にて魔物を対処するのは、修行ということにしたいチカとキキルのため、二人はそれを強く感じた。

 これまでよりも多くの魔物と戦うことになっていた。


「街道にも少しずつ出ていますね」

「うん、これはなかなか危険な状態だよ」


 キキルがそう言うのも無理はなく、普通であれば街道に魔物が出てくることはまずありえないからだ。

 しっかりと冒険者などが魔物を倒し、間引いているし、もっといえば各街にいるギルドマスターが、迷宮の真実を知っている人になるので、冒険者が頼りない場合はそんな人たちが出張ってくる可能性が高く、その人たちの活躍によって、余計に魔物も少なくなるはずだ。

 だというのに、魔物がいるということは、それだけ強大な魔力が溢れているのかそれとも封印でもされた魔物が出てきているだけなのかはわからないが、結局のところ異変があるのは確かだ。


「何が起こってんだ?」

「さあな。下手に考えるよりも、迷宮まで行ったほうがいいかもしれないな」


 馬車を操縦していたマモルとカイが二人がそう言葉にしたのだが、それよりも大きなことが起こっていた。


「少し先を見るから、揺らすなよ」


 マモルが馬車の荷物から双眼鏡のようなものを取り出すと、それで先を見る。

 何か気になるものが見えたのか、マモルはすぐにヤバいという顔になった。


「やべえぞ」

「何がだよ」

「魔物の大群が見えやがる!」

「何を言ってるんだ?貸してみろ」


 馬車を止めて双眼鏡を受け取ったカイが見ていた方向を確認する。

 すると、そこには確かに大量の魔物がいた。


「ヤバいな!」


 カイの声が響いて、チカたちは馬車の近くに戻る。


「何がヤバいわけ?」

「なるほど、あれはまずそうですね」

「チカには見えるんだ……」

「目を凝らせば、少しくらいは、ですね……」


 常人よりも体が丈夫なチカは、当たり前のように視力もいいのだが、それによって確かにかなり小さくはあるが、魔物の大群というものが向かっているのが見えた。

 それも、このまま進んでいくことになれば、魔物たちは間違いなく街へ行くだろう。


 街というのは、これまでいた場所ではなかったが、このまま魔物たちが進行していくのを見るだけというのは無理だろう。

 それに……


「あれは、なんですか?」

「知らない……っていうか、大きくない?」


 魔物の大群が見えていなくても、違うものをはいた。

 それは、遠く離れた距離からでもわかる存在感を放っているし、魔物も変わっており、バチバチと雷を纏っているように見えた。


「一度街へ行ってみませんか?」

「チカ?いいの?」

「はい。このまま進んで、あの魔物の大群があたしたちに気付いたときは……」

「まずいってことね」

「はい」


 話がまとまったチカたちは、早速馬車に乗り込むと、街へと向かうのだった。


 街に入ると、中はかなり騒がしい。

 それは仕方ない。

 だって、魔物の大群が迫っているからだ。

 とはいえ、あの量であれば逃げることも難しいということは全員がわかっているのだろう。

 冒険者以外は、どうすればいいのかわからず立ち尽くしているように見えた。


 そんな中でもチカたちは真っ直ぐに冒険者ギルドへと向かうのだった。


 ※


「よくないことになったな」

「まー、仕方ないんじゃない?」

「本当は、ここじゃない迷宮がよかったんだが」

「ま、そういうこともあるんじゃないの?」

「もう少し、考えてはほしいがな」

「えー、難しいことを言うなあ、知ってたけど」


 男女の二人がそう言葉にしながらも見ていたのは、倒れた一人の男性と、何もない空間だった。

 先ほどまで、この空間には大きな狐に似た獣がいた。

 名は雷獣(らいじゅう)と呼ばれており、ここの迷宮のぬしが封印していた人造物であったが……


「あんなに簡単に封印を解いちゃうなんてね」

「解かれてしまったのなら仕方ない。こちらは無駄なことはできないからな」

「はいはい。じゃあ、あたいたちはやることをやるんでしょ?」

「そうだ」


 女性は気絶した男性を担ぐと、歩き始める。

 また一人、大魔法使いが連れ去れていき、迷宮がなくなった。

 だが、そんなことよりも、全ての魔物が解放されたことにより、街が混乱に陥るのだが、男女には関係なく、その場を後にするのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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