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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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62/122

62、新たなパーティーで

「まじかよ、今はそんなことになってるのか?」

「うちだって、初めて聞いたことだから」

「なんじゃ、おぬしらは知らなかったのか」


 クロの話を聞いて、三者三様の反応がくる。

 だが、詳しいことを知ったというのはチカも同じだったが……


「では、あなたの人造物も倒すということでいいです?」

「ああ、我のか?」

「そうです」


 話が終わって、スイは目的のことを話す。

 だが、クロはそれに対して思わず笑う。


「ははは!我の人造物だと?会いたいのであれば、まずは我が作り出した魔法を破ってみせろ。実力がないのなら、会うことはできない。当たり前のことだろ?」


 クロは自信満々にそう言葉にする。

 そこから考えるに、人造物という存在というのは、モリリンと同じように、どこかに隠しているということで間違いはないのだろう。


「じゃあ、うちたちが見た、スフィンクスって名前の犬のような石像って」

「ああ、それに関してはそこにいた大魔法使い、グラの人造物だな」

「そっか、あれがね」


 どうやら、すでにキキルたちも、人造物という存在を知っているようだ。

 ここでクロの人造物の隠し場所を探すための魔法を研究するというのも一つの手ではあったが、もし時間がかかってしまった場合には、封印された他の人造物が暴れだすということもあり得る可能性だってある。

 モリリンのところで出会った男女のように、それをしてくるものだっているのだから……

 だからこそ、ここからやることというのは決まっている。


「あたしは、キキルたちが見つけたグラという方の人造物と戦いたいと思います。カイ、スイは着いてきてくれますか?」

「ああ、当たり前だ」

「お姉様についていくのは、妹としてのスイの使命です」

「あの、おねえちゃんはどうするの?」

「姉さんは、ここからは難しいだろ?」

「どうしてなんですか?」

「ごめんなさい、アイさん。ここからは冒険の距離が長くなります。そうなれば、アイさんには体の負担がかなり増えてしまいますので……」

「うーん、チカさんがそう言うのであれば、仕方ないのかもしれませんが、おねえちゃんは諦めませんからね」


 チカは、ここまで巻き込んでしまっていたアイのことを、置いていくことは決めていた。

 巻き込んだということを言ってしまえば、アイに怒られる可能性も考えて、チカは口にはしなかったが、実際にアイは病気が治るまでは病気に伏せっていたことを考えると遠出となれば、体に負担になることは想像に難くないからだ。

 とはいえ、新しく冒険できるであろう人たちがいることはチカもわかっている。

 それが、新しいというべきなのか、戻ってきたというべきなのかは、チカも口にしかけて戸惑う。


「えっと、その……」

「冒険を一緒にしようって言いたいわけでしょ?」

「そうですけど。いいのですか?」

「いいわよ、別に……うちは、だって最初から……」

「最初から、なんですか?」

「いいって」


 キキルは何かを言いかけたが、結局それは口にしない。

 それは、キキルが一緒に冒険をする上で一番大切にしていることだったからだ。

 とはいえ、チカはそれを知らないので、これ以上に詮索はできない。


「じゃあ、俺も着いてくぜ」


 キキルと一緒にいた盾を持った男性であるマモルもそう言葉にするが、頭に角が生えた女性であるラスは違った。


「ふむ。わらわは行かなければいけないところがあるのじゃ。よって、ここでお別れじゃな」

「え?そうなの?」


 驚いたようにキキルは聞くが、ラスは当たり前と言わんばかりに頷く。


「当たり前じゃ。おぬしには、もうやるべきことは見えておろう?ということはじゃ、おぬしはそれをやっていくのじゃ」

「でも……」

「でもじゃないのじゃ。目的が同じであれば、同じ道をすすのじゃ。そうでなければ、違う道を行くと言うのは、当たり前の話じゃろ?」

「そうだけど……」

「どっちにしろじゃな。生きておれば、どこかで出会うこともあるじゃろ?」

「そうね」

「じゃったら、その時までに成長しておくのじゃ」

「わかった」


 ラスの言葉にキキルはしっかりと頷く。

 チカには、二人がどういう関係になったのか、わからなかったが、何かいい関係だということだけはわかった。

 こうして、ここにいる七人のこれからが決まったところで、クロが魔法を使う。


「大量の魔力を使わせやがって」


 クロからは、そんな愚痴のような言葉が口から出たような気もするが、全員がやってきたのはクロが管理している迷宮だ。

 全員が一度街へ戻ると、チカとキキルの二人だけは街を出て走っていた。


「なんで、うちら二人なわけ?」

「迷惑をかけたからですか?」

「う、うちはそんなに迷惑をかけたつもりないけどね」

「そうですか?あたしはその、迷惑をかけました」

「あー、そうやって先に謝らないでよ、もう!」

「ふふ、そうですね」

「あ、さてはからかったな!」


 そう言いあって二人は笑いあう。

 互いに関係は、冒険者として迷宮を挑戦する前のものに戻っていた。


「ねえ、チカ」

「なんですか、キキル?」

「もっと、強くなろう」

「はい、もちろんです」


 二人は、お互い頷きあうと顔を見合う。

 こうやって宣言するのはよかったものの、いざ顔を合わせると恥ずかしさがこみあげてくるのは、いうまでもなかった。

 とはいえ、見つかった馬車に二人で喜んだり、はしゃいだりしながらも、それを使って街まで帰ってもお互いに話題はつきなかったのだが……

 二人の話題が戦闘のものばかりだったのは、言うまでもなかった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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