37、進み始める
「おいおい、俺の負担が増えてないか?」
「嫌なら都市に帰れば?」
「くそ、覚えてやがれよ」
「ちゃんと倒すから、いいじゃん」
数日たった今もキキルとマモルは、迷宮を探していた。
キキルが迷宮を探そうとした理由というのは、あることを確信していたからだ。
基本的に、迷宮に挑戦するためにはランクを上げる必要があったり、街などで、冒険者として信頼をされることで行える。
だが、迷宮の真実を知ってしまった後には一つ、迷宮を作り出している大魔法使いと呼ばれる存在を殺せる必要があるが、実際にそれをできた人はいない。
よって、迷宮の試練がクリアできたところで、殺せるという確信をギルドマスターが出さない限り、ギルドで管理している迷宮には挑戦できない。
とはいえ、迷宮の近くには管理するために街ができてはいるが、その数は五つしかない……
いや、見つかっていないとキキルは考えている。
もしかすれば、何らかの理由で見つかっても街にならなかったのかもしれないが、五つだけではないはずだと……
「魔物が少し多いな」
「だから言ってるじゃん、怪しいって」
「いや、俺にそんなことを言われても、迷宮すら入ったことないからな」
「ふーん、まあまあ戦力になってるから、良い人と組めばいけたんじゃない?」
キキルは、これまで一緒に戦ってきた状況を見て、そう言葉にするとマモルは、頷く。
「だよな!俺やれてるよな!」
「うん、だから壁になってね!」
調子よくマモルは言ったが、すぐにキキルに文句を言わずに壁役をやれと言われて、顔が引きつるのはいうまでもない。
まあ、顔が引きつったとはいえ、見直されているのは確かなので、マモルは何も言えない。
「なあ、森の中で見てないとこはどこだ?」
「見てないところ?そもそも、これだけ広い森なら見えてないところしかないんじゃない?」
「いや、かもしれないけどな」
キキルの言いたいことはマモルもわかってはいたため、これ以上何かをいうよりも、これまで二人で回った場所を思い出す。
主に探していた場所というのは、隠されているであろう場所だった。
木々が生い茂ったところや、岩が多い場所など……
迷宮は隠されていると考えていた。
「なあ、一つ聞いていいか?」
「何よ」
「いや、迷宮があった場所だ」
「あった場所ねえ……」
キキルは言われて思い出す。
主に何もなかったせいであまり思い出がないからだ。
「うーん、覚えてない。というか、そもそも何もなかった」
「なんだよ、適当だな」
「仕方ないでしょ、だって迷宮の中であったことが濃すぎて、思い出せないの」
「なるほどな……」
マモルは何かを考える。
(なるほどなって、何かを思いついたわけ?)
胡散臭い目でマモルを見ていると、悩みながらも歩いていく。
「こんなところにあるってわけ?」
「うん?ああ、いや……」
「一度戻る?」
「うーん……」
「こいつ、聞いてないな」
適当な返事になったマモルに飽きたキキルは、期待しない感じで回りを見渡す。
魔物がいる場所の多くは森の入り組んだ場所なこともあって、戦いにくい。
そのため、魔物が出るたびに、少し戦いやすい開けた場所に連れ込むようにしていた。
入り組んだ場所に魔物が出ると、近くに迷宮がないか探すようにしていた。
とはいえ、全て空振りになっていたわけだが、だからとはいえ、他に探すような手がかりはない。
そんな風に思いながら、キキルは開けた場所の辺りをぼーっと見ていたときだった。
何かが違和感を感じた。
「ねえ!」
「なんだ?もう少ししたら、いい案が……」
「そういうのいいから!」
「なんだよ……」
「あれ!」
言うことを聞かないマモルをキキルは無理やり気になった方向に向かせる。
「まじかよ」
「まじよ」
そこにあったのは、不自然ながらも自然な木でできた扉だった。
ちゃんと見れば違和感しか感じないそれは、誰かが作ったような見た目をしている。
「ねえ」
「ああ」
二人はお互いに頷くと扉を開けて中に入るのだった。
※
アンノがどこかに行ったタイミングで、チカはスイ達と合流していた。
「お姉様、先ほどの奴らは、お姉様を悩ます存在です?」
「ううん、そんなことはないと思うけど」
「そうです?だったらいいのです」
何がいいのかは本人しかわからないことだが、スイは納得したのだからチカもこれ以上は掘り返す必要もないだろうと考える。
「それで?どうすんだ?」
「何がですか?」
「まあ、こっからの話だよ」
「そうですね。一度話を聞きにいこうかと思います」
チカは考えていたことを口にする。
「考えていたって、何をだ?」
「これからのこと、主に迷宮についてです」
そう、チカは考えていた。
何をするにしても、まず迷宮に行くのがいいだろうと……
そのためにも必要なこととして、迷宮がどこにどんなものがあるのかなどをギルドマスターに聞こうと思ったからだ。
そして、迷宮以外のことについても迷惑をかけるであろうということも伝えないといけない。
やることというべきか、屋敷にいたときには全く知らなかったことというのをこれから知らなければならない。
「行きますよ」
チカたちはギルドに向かって歩き始めた。
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