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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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33/122

33、巫女との出会い

 部屋から出た後、さっさと歩いて行こうとするチカになんと声をかけていいかわからなかったカイはスイに声をかける。


「なあ?」

「なんです?」

「あれでよかったのか?」

「よかったとスイに言われましても、今は仕方ないです」

「どうしてだ?」

「どうして?お姉様がそう思ったからです」


 スイは信じているとの言葉だけを言う。

 カイからすれば、そう言われてもわからないが、チカたちが貴族だということを知ってしまった以上はどう言葉をかけていいのかわからなかった。


 結局チカたちが実家であるキンゲン家で聞いた話しというのは、突拍子もないことだった。

 そして、父との会話はなく、当主との会話だけだったこともあり、チカ自身どう反応していいのかわからなかった。


「ごめんなさい。一人にしてください」


 頭の中をなんとか整理するために宿に戻ってきたチカは二人にそう言葉にすると部屋に入った。

 部屋に入って椅子に腰かけたところで、ベッドに違和感があることに気づく。


 誰もいるはずのない部屋のベッドに人がいるであろう膨らみがあったからだ。

 慌てて確かめようとしたけれど、何かよからぬ存在であったときに大丈夫なのだろうかとチカは考え、部屋から出ようとしたが、それよりも速くベッドの布団が落ちて、中から女性が出てきた。


「え?え?」


 驚く声に反応したのか、出てきた女性は起き上がると大きく伸びをするが、すぐにその見た目にチカは驚いた。

 目には布が巻かれており、顔は半分くらい隠れており、髪の色は金色でまるで光り輝いているように見える姿は、神々しい。

 だが、驚いていたチカに対して、女性は馴れ馴れしく挨拶をする。


「や!あなたがチカちゃんね!」

「そ、そうですが……」

「うーん、やっぱり見えないね!」

「えっと……」


 目に布をかぶせていれば、見えるものも見えない。


「あー、今布を目にしてるから、見えないって思ったでしょ!そうでしょ!」

「ええっと……」

「考えていることがなんでわかったんだって言いたいでしょ!」

「はい」

「これまでの人たちのことはわかってるからね。これくらいは予想できるんだよ!」


 自身満々に女性はそう言葉にすると、胸を張るが、体の大きさなどはスイとほとんど同じなため、チカはそれを微笑ましく見守るが、すぐに女性が部屋にいた理由を聞く。


「ええと、いいですか?」

「うん?気になったことがあるわけ?」

「はい」

「いいよ。あなたに会えて機嫌がいいからねー。なんでも聞かせて」

「では、どうやってここに来られたのですか?」

「うん?いい質問だね。それはね、魔力を見てきたんだよ」

「魔力を見て?」

「うんうん、そういうこと」


 女性は当たり前のように言った言葉だったが、チカには理解できない。

 そう、チカの目の前にいる女性こそが先ほどの話にあった未来を視ることができる魔法を使えるのだが、そんなことを知らないチカはさらに質問をする。


「魔力を見えるということは、特別な目を持っているということなのですか?」

「うん。特別な目だと思うよ。でも、それはあなたも同じだよ。私の瞳に唯一映らない存在」

「それは、どういう……」

「ま、いいからさ。ついてきてよ」


 女性はそう言うと、おもむろに立ち上がり、部屋から出ようとする。


「こないのー?」

「行きます」


 そうして、チカと女性は外に出る。


「うーん、やっぱり中央都市じゃないから、人が少なくていいね!」

「そうなのですか?」

「そだよー!まあ、この違いを理解するには、最低でも五十年は生きないとね!」

「五十年ですか?」

「そうそう……」


 言っている言葉に対して、見た目などのギャップがありすぎるせいで、チカは戸惑う。

 五十年前に生きていたということなのですか?

 話を聞いてもわかりません。

 それに、チカには気になったことがあった。

 謎の女性と一緒歩いているし、見た目から人目につきそうなのに、女性にはほとんど注目が集まっていなかった。


「あの……」

「なあに?」

「あなたは、他の人に見えているのですか?」

「おー、いいことを聞くねえ。どう思う?」

「どうと言われましても、あたしには見えていますが……他の人は気にしている様子がないので……」

「おー、さすがだー。周りもしっかりと見えているねー。じゃあ、正解を教えるけどねえ。見えていないよ、他の人にはねー」

「え?」

「あ、心配しないでよ。見えないようにしているってだけだから!」


 女性はそう言葉にするが、言っていることの意味というのが、チカには理解できなかった。

 女性が見えていないというのは、魔法によるものだった。

 迷宮ができる前、魔法戦争というものがあった時代にあった伝承にあった、金の髪には無限の魔力が宿るというものがある。

 女性の髪は輝く金色だ。

 無限の魔力が宿っているとされている。


 そんな無限の魔力を持っているからこそ、使えるのが予言についての魔法。

 また、魔力が強すぎるゆえの周りを把握するためのサーチや、姿を隠す魔法であるインビジブルを使っている。

 常に魔法を使っていることが可能な魔力があることなど知るはずもないチカは、何かが起こっているのだけは理解していた。


 そんな中で、チカにだけ魔法が効いていないのは、普段の魔力がないからだ。

 チカは気づいていないことによって、確かに魔力が宿ることはあっても、基本的には魔力がない。

 よって、魔力がある人を騙す魔法であるインビジブルはチカに効果を発揮しない。


「ふふふーん、楽しいねー」


 女性は笑う。

 見えないはずなのにこちらに視線を向けてくれる。

 昔に聞いたことがある予言の相手であるチカに向けて……

(予言がほんとにあったなんてー……魔力制御をしっかりして、今日まで生きてきたかいがあったー)

 思わず心の中で言葉にする。


 魔法戦争時代には、巫女だった彼女には本当に嬉しいことだった。

 一切の未来が視えない……そう、未知の存在を前にして、彼女の気持ちは昂るのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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