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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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32/122

32、これから起こること

 キキルたちが迷宮探しをしているとは知らず、チカは実家であるキンゲン家へスイとカイとの三人で訪れていた。

 この人選は、ギルドマスターからによるものだった。

 追い出されたはずの家に、こんなにすぐに帰ることになるとは思っていなかったチカは、訪問を知らせる鐘を鳴らす前に、思わず笑ってしまう。


「どうかしましたです、お姉様?」

「ううん、なんか懐かしくて……」


 思わずそう口にしてしまう。

 とはいえ、ここで止まっていても仕方なく、鐘に手をかけたのだが、鳴らそうとしたタイミングで屋敷の扉が開く。


「お父様、どうしてわたくしを追い出すわけですか!」

「どうして?好き勝手やってるからだろう?」

「好き勝手?何をおっしゃいますか!わたくしはただ家のことを思って!」

「では、何故人を下げるような噂を流す」

「それはだって、あいつのことは別に……」


 言い合いをしていたのは父である、カイズと二番目の妹であるレイだった。

 声が大きいため、内容は近くまで来ていた三人の耳にしっかりと聞こえていたし、レイがカイズから視線をそらしたタイミングで、チカとそれは合う。


「えっと……」

「落ち姉!」


 レイは驚いていつもの呼び名を使う。

 これは、チカのことを表していて、落ちこぼれの姉を略したものだとレイが言っているのだという。

 聞いたチカは思わず懐かしい言葉だなと考えたが、その言葉を最初に理解していたのはカイで、思わず笑ってしまう。


「く、くく……なんだよ。チカはなかなか面白いあだ名がついてたんだな」

「な、何よ!この生意気なガキは!」

「僕のことを言ってるのか?確かに僕はガキだけどな、お前がバカにしている人は凄い人だぞ?」

「そんなわけ!」


 あり得ないとばかりにレイは父親であるカイズの顔を見るが、カイズはその視線を無視するかのようにチカをしっかりと見据えると言葉にする。


「ギルドに聞いて来たのだろう?」

「はい」

「だったら入れ」

「そ、そんなお父様!」


 レイは何かを言おうとするが、父親であるカイズの視線の先には自分が映っていないことに気付くと、それ以上の言葉が続かない。

 何を間違ったのかわからないレイは、止まったまま動かない。


「お姉様、行くですよ」


 スイは大好きな姉のことをバカにするレイのことを無視するかのように屋敷の中へチカを押しながら入っていく。

 チカは通り過ぎるときに何か声をかけようとしたが、レイと視線が合うとその言葉が出てくることはなく、結局通りすぎることしかできなかった。

 三人が入ったところで、屋敷の扉が閉められる。


「気にしてるのか?」


 振り返って思わず見たチカにカイが声をかける。


「はい。だって……」


 声を詰まらせながらもそう答えるチカに、カイは諭すように言う。


「今はどんな声をかけても無理だろ?」

「そうなのかもしれませんが……というよりも、カイ君の口調……優しくない気がするのですが」

「何言ってんだ?僕のことをこんな感じにしたのは、チカだろ?」


 中央都市で、ヘリクツから無理やり助けられてから、カイは無駄に気を使うのをやめた。

 気を許したという言葉のほうが正しいのかもしれないが、数日とはいえ、あれだけのことが起きてしまえば気を使わなくなるのは仕方ないのかもしれない。


「お父様も待っているのです。行くですよ」

「そうだね」

「行くか」


 スイに催促されて、二人はカイズが待つ部屋へと入っていく。


「来たか、遅かったな」


 キンゲン家当主としての顔になっているカイズは、しっかりとさいた口調で迎え入れると、すぐに椅子に座るように言う。

 三人が座ったところで、カイズは唐突に話を切り出す。


「まずは、気になっていることである、チカとスイ、そしてカイだったかな。君たちがどうしてここに来たのか、それは予言によるものだ」

「予言ですか?」

「ああ……何を言っているのか、わからないと思うかもしれないが、全ては予測された未来だった。チカを除いてな」

「あたしを除いてですか?」

「そうだ。チカには魔力がない。魔力がない存在というのは流れというものがない。よって未来を視ることができない」

「そうですか……」


 未来がわかるということに対してもよくわかっていないのに、そこからさらにチカだけは関係がないと言われても訳が分からないとなっても仕方ない。

 だからこそ、逆に聞く。


「では、この世界の未来は……」

「ああ、決まっている。滅ぶというな」

「滅ぶです?」「はあ?」


 唐突な言葉に、スイとカイは驚きの声をあげるが、聞いたチカだけはなんとなく予想ができていたのか何も反応はない。


「チカはわかっていたのか?」

「いえ、わかっていたわけではありませんが、何かことが起こるのはわかっていました」

「ならばわかっているとは思うが、人類が滅ぶ理由は魔物だということもか?」

「それは、知りませんでした」

「そうか……では、簡単に説明をしておく」


 カイズはそう言葉にすると、説明をする。

 語られた内容というのは、迷宮で生まれる魔物たちがやがて迷宮から多数出て、対処できなくなり殺されるというものだった。

 そこで、チカたちがやることというのが、迷宮をなくすこと……

 というのは、迷宮主であるクロから聞いていたことだが、やり方というのはわからないらしい。

 何故か?

 それは、迷宮は一つもなくなることがなく、世界が滅ぶからだった。


「では、伝えたからな」

「お父様!」


 一方的に話を終えたカイズにチカは思わず、聞く。


「どうして、追い出すときにそのことを?」

「戦力になると思っていなかったからな、計画のな」

「何を言って……」

「話すことはできた、出ろ」


 だが、質問にはちゃんとした答えが返ってくることはなく、言いたいことを終えたとカイズは出るように言う。


「おい!」


 その態度に思わず声を上げたのはカイだったが、チカは立ち上がると出ていこうとする。


「チカ!」

「離してください」


 カイはチカの腕を掴んでその場にとどめようとするが、顔を合わせることもなく引きずるようにして部屋から出ていくのだった。

 カイズとチカはお互いに顔を合わせることはなかった……

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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