表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/122

17、気づいたこと

 結局あの後、冒険者ギルドにたどり着いたのは、さらに一回の鐘が鳴ってからだった。

 かなり道に迷ってしまったようだった。


「お待ちしておりました」

「すみません、遅れてしまって」

「いえいえ、こちらがこの場にいなかったのが悪いわけですので」


 そう言葉にするのは、ここ中央都市ヘブンの冒険者ギルドマスターである、成年の男性だった。

 ここで余計なことを言わないでおこうとチカは考える。

 決して迷って遅れたことが恥ずかしくて言えないわけではない。


 とはいえ、目の前にるギルドマスターであろう人の名前は聞いていたので、確認をする意味でも聞く。


「ベルンさんでよろしかったでしょうか?」


 チカの言葉に、成年はコクリと頷く。


「ええ、名前はベルンと申します」

「よろしくお願いします。あたしの名前は……」

「聞き及んでおります。チカさんですね」

「はい」

「では、早速短剣を拝見してもよろしいでしょうか?」

「わかりました」


 意味がわかっているチカはすぐに懐から短剣を出した。

 すぐにベルンはその短剣を見ると手をかざした。

 ベルンの手から魔力が短剣へと流れる。

 すると、短剣は魔力を吸収しているのか輝く。


「本物ですね」


 ベルンはすぐに本物だと判別した。

 では、ここで判別のやり方についてのやり方の話を簡単に思い出す。


 通常、冒険者になるうえで必要なことについての一つに才能がある。

 これは、魔法を扱うのか、もしくは剣技や槍技など、武器を扱うことができる能力であり、総称を武技と呼ばれているが、その二つのどちらかが扱えることが普通は最低条件だったりする。

 なんで最低条件なのか?

 それは、魔物を倒すとき、魔力を伴った攻撃でなければダメージを与えることができないとされていたからだ。


 そして、普通の冒険者は魔力をしっかりと扱うことができるので、この短剣に魔力を流すことくらいは容易なことだ。

 短剣が本物であれば、先ほどのように魔力をコントロールして吸収させることで輝きを放つ。

 こうして、ギルドマスターは本物であることがわかるのだった。


「では、こちらはお返ししますね」

「はい」


 チカはベルンから短剣を受け取ると元の場所に直した。

 それを見届けたベルンはチカに聞く。


「チカさんには、今後のことをお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「はい。大丈夫です。今考えているのは、ここで迷宮について考えようと思っています」

「迷宮ですか?」

「はい」


 チカがここ中央都市に来たときに、最初に決めていたこと。

 それは、迷宮についての情報を集めることだ。


 チカが今のところ、冒険をする意味というのは、強くなるためというのが一番強い。

 目標としている、キキルの隣に立つためにも強くなる必要があった。

 そこで気になっているのが、迷宮についてだ。


 チカの体には、呪いがかかっているということは、自分自身わかっている。

 とはいえ、迷宮というのは、自分が知っている魔法使いと一線を画す存在だったからだ。

 であるのであれば、その大魔法使いという人たちであればチカの呪いを解除してくれる可能性があるからだった。

 でも、その前に一つだけやることがあるが、ベルンが先にそれをわかっているようでチカに聞く。


「チカさんは、迷宮に挑戦するにあたって、仲間は必要でしょうか?」

「はい」


 ベルンにそう聞かれたチカは即答する。

 そして、その頭の中には、一人の男の子の顔が浮かぶ。


「一人は候補がいるのですが……」

「そうなのですか?」

「はい。受けていただけるかは別ではありますが……」

「それに関してですが、間違いなく受けていただけると思いますよ」

「どうしてでしょうか?」

「それは、チカさん。あなたがランク九だからです」


 ベルンはそう言葉にする。

 確かに、チカも前のギルドマスターに言われていた。

 試練を超えたものというのは、それだけ少なくて特別な存在なのだと……


「知っているとは思いますが、ランク九以上であれば、冒険者ギルドで特権があります」

「はい。知っております」


 特権というのは、ギルドにて武器、アイテムを優先的に購入できたり、馬車を優先的に貸してもらったりできる。

 そして、依頼についても試練をクリアしたことによって、一定以上の評価をもらえていることもあって、特別な依頼。

 主に、迷宮に関連したものを受けられることになる。

 というのが、チカが知っていることだ。


 そのことをチカはベルンに説明をすると、ベルンはしっかりと頷く。


「しっかりと説明を受けていらっしゃるようですね」

「はい。それはもちろん」

「であれば、ここ中央都市の迷宮情報について説明をする前に、仲間にするであろう人のことを聞いてもよろしかったでしょうか?」

「はい」


 ベルンがそう言葉にするのには理由があった。

 というのも、チカはキキルと別れているため一人だからだ。

 確かに一人で冒険者をしているものもいるが、普通であれば最低でも二人以上でやっていることが多い。

 であれば、ランクが同じであれば問題はないが、ランクが低い場合。


 迷宮の試練を受けていない場合。

 迷宮と冒険者の真実というもの説明しないといけないからだ。


「では、名前を聞いても?」

「はい。名前はカイと言います」

「カイですか……」


 名前を聞いたベルンは、考えている。

 ギルドマスターということもあり、冒険者の名前と顔を思い出しているのだろうか……

 そして、少し考えたのち、ベルンは言う。


「そのかたというのは、冒険者なのでしょうか?」

「どういうことですか?」

「いえ、こちらが把握している限りでは、聞いたことがない名前でしたので」

「そ、そんなことは……」


 チカはそう言葉にしたところで、カイのことを考える。

 確かにカイは冒険者のような恰好をした男たちと一緒にいた。

 でも、そこで思い出す。

 確かにカイは言っていたのだ、年齢はチカよりも三歳下の十二歳だと……

 だけど、冒険者になるための必要な年齢というものがあった。

 それは、十五歳。

 そう、チカと同じ年齢じゃないといけないということだった……


「どうかされましたか?」

「いえ、そうですね……少し待ってもらってよろしいですか?」

「それは構いませんが……」


 急にどうしたのかとベルンは不思議そうだ。

 だけど、チカはすぐに立ち上がるとベルンにお辞儀をする。

 そして、冒険者ギルドを後にするのだった。


 ※


「姉さん、ごめん」

「何を謝っているのですか?」

「でも、僕じゃ救えそうにないから……」

「そんなことで気に病むことはないって言ってるでしょ?」


 辛そうに口にする最愛の弟に、女性は優しく笑いかける。

 そして、弟の頭をいつものように優しくなでようとしたけれど、その手は頭に届く前に布団の上に落ちる。

 女性はわかっている。

 自分の体はかなり弱っていることを……

 何かの病気で治らない可能性が高いということも……


 だから弟は決意する。

 もっといい薬をもらわないといけないと……


「また、少しだけ外に行ってくるよ」


 男の子はそう言って立ち上がる。

 何か決意を固めた表情だった。

 その背中に女性は声をかける。


「ダメ!そんなことをお姉ちゃんは望んでいない!」


 だけど、聞こえているのかわからないのか、男の子は止まることはなかった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ