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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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113/122

112、意志は変わらない

 次と言われても、チカたちにはよく理解はできなかったものの、クロたちを信じてはいた。

 光に包まれた後、飛ばされた先というのは、普通ではない山だった。


「ここどこ?」

「わからねえ」


 最初にキキルとマモルが感想をのべる。

 見ただけで、ここがどこなのかはわからないが、燃えたぎるような山がある場所というのは、かなり珍しい。

 周りを警戒しながら、チカたちは探索を始めようと動き始めたとき、突風と炎が見える位置でぶつかりあうのがわかる。


「おい、どういうつもりだ、ファル」

「わかってないのか?サラ。ボクたちが終わらせないといけないんだよ」

「は!勝手にそっちの都合を押し付けんな!」


 二人はそう言葉をぶつけ合う。

 どういう状況なのかはわからないが、誰かと何をしているのかくらいはわかる。

 大魔法使いと呼ばれる、今の世界を保っているものたちが何故か戦っている。


「そんなやつらの言葉に踊らされやがって」

「踊らされたわけじゃない。ボクが選んだ道だ」


 お互いは会話をすると、また人造物である風と火を操る二つのものたちがぶつかりあう。

 これまでの人造物ではなく、二つの人造物は確実に先ほどの竜と同じで意志をもっているように感じた。

 二人の大魔法使いが争っている有様は、映像で見た魔法戦争そのものだったが、チカには先ほど風を使うファルと呼ばれた女性が言った言葉が気になっていた。


 今更、どうしてこんなことをするのかと……

 それに対して、やったことの責任をとらないといけないと、女性は言ったのだ。

 だけど、それはおかしいといえばおかしい内容だった。

 先ほどのクロのときもそうだが、その選択をするのはチカたち今暮らしているものに委ねるというものだったはずだ。

 だというのに、言っていることから考えると、まさに誰かに言われたから心変わりをしたとしか考えられない。


「何かよくないことが起こっていると思います」

「そのよくないことって?」

「それを行ってるやつは、こんな仮面をつけていなかったか?」


 男の声がして、チカたちはそちらを見る。

 ゆっくりではあるものの確実な足取りで歩くのは、仮面をつけた男とその仲間だ。


「違ったか?」

「いえ、あっています」


 そんな仮面の男の隣に立つのは、仮面の女性と、さらに二人いたが、一人は見たことがある人物だった。


「モリリンさん」

「ごめん、なさい。面倒だけど役に立つなら、やらないといけないこと」


 彼女はそう言葉にする。


「最初からこちらは、世界をこのようにしたものたちに責任をとってもらうつもりだからな」


 それに対して男はそう宣言する。

 さらに後ろにいた男も少し面倒くさそうに、


「やったからにはしょうがねえ。それをしねえようじゃ男じゃねえしな」


 そう言葉にしたことで、大魔法使いたちを使った新しい魔法というものを作るつもりだとは理解したものの、チカには疑問だった。


「そんな世界がずっと続くのですか?」

「何が言いたい?」

「確かに、大魔法使いの方たちというのは、ものすごい魔力をもっているとは思います。ですが、無限ではありません」

「ほう、それをわかっているのか」


 男は、感心したようにそう返す。

 だけど、全員察しがいいわけではない。

 キキルはすぐにチカに説明を求める。


「チカ、どういう意味?」

「はい、元々あたしたちは、迷宮に封印されている人造物の封印が後少しで解けるという理由で迷宮へと行きました。確かに封印されている人造物は強大な敵でした。だからこそ、人造物というのは多くの魔力を内包していました。人よりも確実に……」

「じゃあ、もし人が同じように迷宮のようなものを作るのって」

「はい、難しいと思います」


 できないわけではない。

 でも、今よりも世界を覆う規模が小さくなったりする可能性は高いだろう。

 そうなってしまえば、住む人たちは今のような暮らしを送ることはまずできないだろう。

 さらにいえば……


「長く世界は続かないはずです」


 大魔法使いとはいえ人だ。

 人造物という存在がいる場所であれば、魔力によって、その存在をなんとかできるかもしれないが、人造物がいなくなってしまえば、魔力の多いただの人だ。

 緩やかに寿命を迎えることは、想像に難くない。

 だが、全て仮面の男はわかっているのだろう。


「どうだ?全ての可能性は考えた上でこちらの計画を止めるというのか?」

「はい!」

「なに?」


 迷うことなく返事をするチカに、さすがの仮面の男も戸惑う。

 確かに、これまでのチカであれば迷っていた。

 でも、迷っている間にも周りは進んでいるのだ。

 そうなってしまった場合、迷って立ち止まっている時間がもったいないと考えてしまった。

 行動を起こすのであれば早ければ早いほどいい。

 そうすれば後悔しても、新しい行動へとつなげることができるのだから……


「あたしは、それが間違いであっても止まりません。もし、それでスイたちに迷惑をかけるとしても、全てはあたしの責任として何を言われても後悔はありません!」


 チカは仮面の男に言い放つ。


「ははは!そうか、だったらこちらを超えていけ!それができるならな!」

「じゃ、あたいはお姉とやるか!」

「じゃあ、こっち」

「男をみせるときがきたな」


 仮面の男はそのままだが、仮面をつけていたシシルはそれを取ると、大剣を構える。

 後ろにいたモリリンともう一人の男性も同じように並ぶと戦いは始まるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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