11、別れる道と進む道
わけがわからないままだったが、チカはキキルと戦うことになった。
チカは、これまでのこともあり、キキルのことを強いということはわかっていた。
だけど勝ちたかった。
勝って話をしたかった。
それにキキルの攻撃を防ぐ時間があれば、それだけ会話する時間があると考えていた。
チカは拳を構え、キキルは鞘に収まったままの剣を構えている。
「じゃあ、これが落ちればスタートね」
「わかりました」
キキルは石を握って上へ投げる。
そして、それは落ちてくる。
お互いに動き出すタイミングは同じだった。
それでも、速度は違っていた。
いつもより速い!
チカがそう感じたときには遅かった。
いつもとは違い最初から全力のキキルは、魔力で身体強化を行い、最速の一撃だった。
初めての速さにチカは反応できない。
一撃で鞘が鳩尾に叩き込まれる。
「剣技”閃光”」
「がは……」
その一撃でチカは崩れ落ちる。
結果は負けだった。
それも、キキルが使ったの剣技によって。
崩れ落ちたチカの上からキキルが声をかける。
「じゃあね、チカ。うちらは、住む世界が違うから……」
完全な一撃によって、チカが動けない。
確かに、チカは痛感してしまった。
今の自分とキキルは全く勝負にならないほどの力の差があるということを……
でも、だからこそ、チカは決心した。
「あたしは、キキルに追いつきます。絶対に……だから泣くのは、今回だけです」
痛む体をなんとか動かして涙を拭いながら、そう決心を固めたチカの進む道は決まったのだった。
「いいのか、本当に?」
「心配をしてくれていますか?」
「当たり前だろ、チカ。魔力がないチカにとって、進む道は茨でしかないからな」
「わかっています。それでも、あたしは決めたのです」
「そうか。だったら、ここで諦めた腰抜けのことは気にしないでいい。行ってこい」
「はい。ありがとうございます。ギルドマスター」
ギルドマスターに今後のことについて相談したチカは、出発するために町の入口にいた。
そこでも、ギルドマスターに再度確認をされたが、チカの心が変わることはなかった。
昨日キキルに負けたときから、その思いは変わっていない。
キキルの隣に立つために必要なこととして、強くならないといけないということをわかっていた。
そこを目指すのであれば、余計に冒険者として、今後も活動していかないといけない。
次に向かう場所というのは、決まっていた。
この場所しか知らなかったチカにとっても、外の世界を見るという意味で、必要なことだった。
そして、キキルが向かったであろう場所としても追いかけたいと考えていたからだ。
「本当はキキルとしたかった冒険ですが、全てはあたしが弱かったせいですからね」
目指す場所は同じだと思っているからだ。
だからこそ、冒険者として成長する必要がある。
そして、次に行く場所、中央都市へと歩を進めるのだった。
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