105、自滅とあったもの
研究していたものというのは、多くは人と魔物を組み合わせて最強の人を作るというものだったが、そんな中で一つあることがわかった。
魔物にある魔力というものをあるものを使うことによって取り出すことに成功した。
それを固めたものを魔力丸と呼んだ。
既に効果は実験済みで、これを服用すると一時的に副作用があるものの強力な力を得るというものだ。
「死ね、死ねー!」
女は全てを破壊する勢いで手を振る。
「うお!なかなかの威力だな、おい」
「うるさい、死ね!」
女はさらに感情任せに攻撃を繰り返すが、マモルは盾を構えて攻撃を完全に防いでいる。
盾の防御力を盾だけでなく全身にくまなく纏うことで、さらなる防御力を得ることができている。
マモルの魔力が消えない限り、真っ直ぐな攻撃など防ぐことができる。
「くそがあ!」
女は怒りをさらに増幅させるがビクともしないことに気づいたのか、持っていた錠剤を全て口に含んで噛み締める。
「があ、ぐが、があああ!」
化け物としか思えない咆哮を轟かせて、女は上を向くと同時に血を吐いた。
「ゴホ……」
女はなんとしてでも目の前の奴らを倒すために強くなろうとした。
だが、代償を払ってまで強くなろうとした結果、自滅した形になった。
どれだけ力を欲したところで、その力が身の丈にあっていなければ、それはただ身を滅ぼすだけだ。
女は上を向いたまま、動きを止めて絶命した。
※
最深部では、人が人ならざる姿で鉄の格子に捕まえられていた。
触ると感覚でわかる。
この全てが、昔に一度だけあった魔力を封じる鎖と同じであることを……
失敗作とでもいうのだろうか?誰かが生きているという気配すらないことは、入ってすぐにわかった。
全ては実験の産物なのだろう。
まだ使われてはいることはわかるものの、逆にいえばそれだけで、本当に生きている人はいないようだ。
「緊張して損した」
「油断はするな」
「はい」
三人は、周りを見るが、特に変わったものはない。
そう思い、一番突き当たりまで歩いたところで、あるものがあった。
見ただけで、それが人なのかどうかわからないが、人と同じ見た目をしている。
でも、魔物だ。
「ドール?」
見た目に少し心当たりがあったものの、魔物のときの凶悪な攻撃をしてこないところを見ると、これも実験に使われた産物になるのだろうと思っていたときだった。
「おい!」
「(あ、あ゙あ゙あ゙あ゙)」
「くそ、体が言うことを聞かない」
そのドールに吸い寄せられるようにして彼女の体が動くと、彼女とドールはぶつかりあう。
「なに?」
「そういうことですか……」
「ああ、戻ってきた、戻ってきた」
「おい、なんだよこれ……」
チカは気づいていなかった。
彼女が男の口調だというのに、女性の体になっていたのには、理由があった。
ドールと人が合体していたということに……
ドールの中に入った彼女は笑う。
「ああ、ようやく、なれたなれた!」
人に似た見た目をし、そこから人の悪意のみを具現化したような存在というのが、ドールという魔物だ。
キヒヒと笑う彼女に、チカとキキルは距離を取る。
それを見た彼女は不気味に笑ったが、手を見ると途端に不機嫌になる。
「あーあ、せっかくの肉体なのに馴染まない、馴染まない」
この状況に戸惑っているチカとキキルにドールは笑うと、翼を背中に作り出す。
そして身構えるチカたちの横を勢いよく飛んで行くのだった。
「なんなのよ、もう」
「……」
突然の出来事に二人はそんな言葉しかでない。
ただ、そのタイミングで紙が一枚机から落ちる。
内容に目を通したチカはすぐに上を目指すのだった。
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