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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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102、最深部

 二人は驚いていたが、チカはむしろすぐに気づかなかったことに悔やんでいた。

 重要な研究をしていた場合、何かが起こる可能性が高い。

 簡単にいえば、今回のように誰かが侵入してくるとかだ。

 そうなった場合、すぐに研究の結果をもって逃げられるようにしないといけない。


「簡単なことですが、そんな単純なことも忘れていました」

「そもそもすぐに気づけるのがすげえよ」

「ほんとに、チカがいてくれて助かる」


 彼女とキキルの二人に褒められはしたが、チカとしては最初に入ってきたときに気付くべきだったと思った。

 最深部だということがわかるこの部屋には、これまでとは違ってものが散乱していない。

 完全に整理が行き届いているところを見ると、ここは使われているということだろう。


「少し内容を見ていきますか?」


 整理された棚を見て、チカが言うが彼女は首を振るとさらに奥へと進んでいく足取りに迷いはない。

 中へ入ったことで、この場所のことを思い出したというのだろうか?

 チカとキキルはお互いに目を合わせると彼女へとついて行く。


「(嫌な感じがします)」


 彼女の中から、警戒するような言葉が聞こえる。


「覚えているのか?」


 二人に聞こえないように、もう一人の自分へと彼女は話しかける。


「(わからない。でも、よくないことだけはわかる)」

「もう遅いみたいだな」

「(え……)」


 彼女の視界には、すでに敵が見えていた。

 弓を扱えるからこそ、彼女は目がいい。

 それなりの距離が離れていたところでも、何かがいれば正確に見ることができる。


「あぶ……」

「はああああああ!」


 危ないと彼女が叫ぶより先にチカが動くと、向かってきた高速の敵に対して、その右手を振りぬいていた。

 彼女と同じく見えているということだろう。

 だが、キキルは驚いていた。


「ちょっと、うちには遠いものは見えないから!」

「大丈夫です。不意打ちの攻撃なので、スピードしかありません!」


 チカがそう言葉にするように、向かってくる敵というのはウサギのような見た目をした魔物に、似つかわしくない足がついている。

 いわばキメラのような魔物だ。

 その足のおかげでものすごいスピードでこちらへと向かってくるのだろうが、速度のせいか急激な方向展開というものはできないらしく、攻撃に合わせて攻撃。

 いわゆるカウンターを当てることさえできれば、防御がほとんどない魔物なので一撃だ。


「来るのがわかってれば、これくらい斬るのは余裕!」


 同じくキキルも、初撃には驚いていたものの、どこから攻撃がくるかさえわかっていれば簡単に対処してしまう。

 室内だからこそ、狭く向かってくる魔物もすぐにいなくなった。


「急に来るとか聞いてないんだけど……」

「でもいったんは終わりだろ?」

「はい、これが初見で侵入者を相手にしていた作られた存在なのかもしれません」

「そうじゃないの?うちは、こんなの見たことないし」

「自分もそうだ」


 ここにいた彼女でさえも知らないという魔物となれば、考えられることは他にどんなものが作られていたかを知らないか、作られたのが最近なのかのどちらかだ。

 どちらにしても、厄介だということに変わりはなく。

 三人は警戒を強めてさらに奥へと向かっていく。


「これは……」

「すごいですね」

「最深部だ」


 その規模に圧倒される。

 最深部だと彼女が口にするのも理解できてしまう。

 魔物が入っている箱が並んでいる。

 多くはすでに息絶えているが、中でも数体は生きているのか目が光っている。


 そして、部屋の中央には、二つの拘束できる椅子が置かれている。

 彼女はそれを見るとギリッと歯が鳴る勢いで強く噛む。


「おいおい、こんなにたくさんの人が来るとは思わなかったな」

「いいじゃないか、実験に必要さ」


 そのタイミングで二つの声が響く。

 二人いると思った三人だったが、奥から現れたそいつの姿が確認できると、さすがに息をのむ。

 男の身体は一つだというのに、同じ顔が二つついているからだ。

 その姿は完全に化け物だが、男は二人とも同時に笑うだけだ。


「ああ、この姿が珍しいのか?」

「怖がるなよ」

「言ってやるな」


 二つの顔が口々にそんな言葉を口にする。

 それぞれが考えていることが違うのか、言っている言葉が違う。

 見れば見るほどおかしい存在である。


「ああ、この体か?」

「進化には、少し醜い姿になる必要もあるってことだ」

「そう、進化したいならね!」


 男たちはそう言葉にすると、両手を前に出す。


「これが!」

「力だ!」


 男たちはそう言葉にすると、手に何かを作り出す。


「うそ!」


 それを見たキキルは驚いていた。

 だって、何かというのは魔力でできた剣だったからだ。

 魔力でできた剣といえば、キキルはラスを思い出すが、そのラスしか作り出すことができないというのが、この剣だった。


「どうだ!」

「これが!」

「「最強の剣だ!」」


 二人の男の声がそろう。

 それに対してキキルが前に出る。


「うちにやらせて」

「キキル?」

「大丈夫。こんなまがい物の剣に勝てないようじゃ、あの人の弟子じゃないから」


 キキルはそう言うと男に向かって言い放つ。


「本当の剣を見せてあげる」


 そして、戦いが始まった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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