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筋肉姫と魔法使い(仮)  作者: 美海秋


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101/122

100、研究所へ

 チカたちは、突如やってきた女性に案内されるままの方向へ馬車を走らせていた。

 そんな状況で、馬車の中に入らず、女性は上にチカは馬車の横を走っていた。


「疑わないのか?」

「どうしてですか?」

「質問を質問で返すなよ」

「仕方ありません。言っている意味がわからなかったので……」

「まあ、そういうことにしておいてやる。あとは一つ聞いていいか?」

「なんですか?」

「どうして走っているんだ?」

「体を鍛えなおすためですよ」


 チカはそう言葉にする。

 前に起きたことである、人造人との戦いでチカは自分の力というものがいかに足りていなかったのかを実感した。

 このままではダメだということを否が応でも気づいてしまった。

 でも、それならば立ち止まって一度修行をする必要があるはずだが、アンノから言われている言葉というものがあった。


「世界の終わりねえ、そんなものが本当に来るのか?」

「はい。絶対に」

「自分としては信じられないな」


 一緒に行動するとなると、女性にも世界の事情というものを知っていてもらわないといけないと、すでに説明済みであった。

 そして、その中でもアンノが言ったのが、世界の終わりは思ったよりも近いという言葉だ。

 実際に世界が終わるのか、それがどうして近いのか、わからないことが多いが急ぐ理由があるのはわかる。

 レイのような人を作らせないためだ。

 今度同じようなことを起こさないためにも、力をつけるためにも人造物と戦う必要があると思っていた。


 でも、そこで出会ったのが彼女だ。

 彼女の秘密を知っているのはチカだけだが、だからこそ彼女が渡したものを見て、理解した。

 その場所を知っていると……


 人造人。

 それが作り出す施設があるということを……

 場所は、彼女が示した場所へ向かっている。


「着いたぞ」


 彼女が案内した場所というのは、湖と呼ばれる水が張った場所だ。

 結局、ここまででほとんど一日費やしてしまったため、すでに夕暮れだ。

 水面に映る夕日が、綺麗だと思えるほどに何もない。


「ここは、湖?」

「ただの湖じゃないけどな」


 彼女がそう言葉にすると、湖の外周をゆっくりと歩いていく。

 チカ以外も、それぞれに湖の感想を口にしながら彼女に着いていく。


「チカ」

「なんですか?」

「彼女は結局何ものなの?」

「そうですね。全員が一度は出会ったことがある人ですね」

「えっとどういう意味?」


 彼女が誰なのかを知っているのは、チカだけなので、こういうことを口にすると、キキルにはわからない。


「ほら、ここ」


 そんなことを話しているうちに、彼女がチカたちを呼ぶ。

 そこにあったのは、岩だった。

 彼女は、その岩をゆっくりめくった。


「え?」

「よくできてるじゃない」


 どうやら、岩の一部に布のようなものをかぶせることで入り口を隠していたようだ。

 魔力や魔法に頼っていては気づけないようにできているのは、それだけこの場所を隠したかったということだろう。


「全員で行くのか?」

「いえ、ここではあたしとキキルが」

「うん、わかってる」


 中に入れば、どんなものが待ち受けているかわからない以上は、身体能力が高い二人が確実だ。

 それに、上で待っていて危険がないとは限らないことは全員がわかっていた。


「これを持っていけ」

「これは?」

「僕の新しい魔法で使うものだ」


 そうカイに言われて渡されたものは、黒い箱のようなものだ。

 これが何なのか、詳しくはわからないもののチカは受け取る。

 そうして、三人は中へと入っていく。


 中は下る階段だけがある。

 明かりもないため、少し時間を置いて目が暗闇になれたタイミングで下っていく。

 それなりに進んだところで彼女が口を開く。


「あんな頼み方をして、悪かったな」

「何がですか?」

「ペンダントくらい、普通に返せばよかったと思ってな」

「気にしてません。それに、むしろ見つけていただいてありがとうございます」

「まあ、あんたならそう言うとは思っていたけどな」


 彼女は少し嬉しそうに言葉にする。

 弓を使うこともあり、彼女の目はいい。

 あの戦いのときに、レイが自分の腕をちぎったが、そのときにペンダントが外れたところは見えていた。

 大切な品物を使って利用するというのは、それなりに最低な行為だということはお互いにわかった上での会話だった。


「そろそろ着く」


 会話をしていたおかげで、いつの間にか最深部にまで下りていたようだ。

 下にあったのは、扉だ。

 これを開けることで、中に入れるということなのだろうが、かなり頑丈に作られているのがわかる。


「これは?」

「ただの大きな扉だ。魔法でも壊せないやつだがな」

「そんなに?」


 キキルはそんなわけと思いながら、扉を押すが、びくともしない。


「こんなのどうやって開けたってわけ?」

「自分が出るときは開いていたからな」

「いや、うちらで開けられると思ってるの?」

「だから、チカがいるだろ?」

「ああ、なるほど」

「なるほどとは、どういう意味ですか?」


 チカはそう言いながらも、扉に手をかけると思いきり押す。

 ゴゴゴという音とともに、ゆっくりと扉が開いていく。


「ふおおおおお!」

「さすが」

「やるう」


 二人にそんなことを言われながらも扉が開くと、そこには人がいたであろう痕跡があった。

 それと同時に、何かを研究していたのだろうというものが多く散乱している。

 三人はゆっくりと中へと入っていった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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