Ⅸ 2つ目の契約
埼玉攻略に問題発生。
私が霰と出会って1週間後、
「霞様!ご報告!どうやら越谷市、さいたま市、川口市を勢力圏とする集団がいる模様!偵察部隊全滅!全員重症です!」
と、二隊の副隊長から連絡があった。今は二隊の隊長が、仲間を守るため1人で戦っているらしい。
「こりゃ助けに行かんとなぁ」
ということで、私は越谷市まで急ぐのだった。
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「おーい、百白。大丈夫かー?」
「あっ、霞様…。お見苦しい姿をお見せしてすみません」
二隊の隊長”百白 霧海”東京で集まった中の奴らで、他とは違うオーラをしていたので、即座に二隊の隊長にしたやつだ。こいつ、そこそこ強いはずなんだけどなぁ。
「お前が苦戦するなんてな。相手はそこそこ強いと見た」
「あはは…。申し訳ありません…。自分は逃げるので精一杯で、相手の能力も割れてません…」
「なぁに、気にすんな。お前は仲間を逃がしきって、生き残った。しっかり隊長の勤めを果たしたんだ。あとは私に任せとけ」
「そう言ってもらえると、幸いです…」
と、百白は倒れてしまった。体には無数の切り傷。体力も限界だったのだろう。一度も攻撃できない相手にここまでやったんだ。やっぱりこいつは強い。百白のためにも、きっちり倒してやんないとな。
あ、この感じ。私はまた急に気を失ってしまった。
「もう…。今から戦うとこなんだけど、ミカエル」
「だってぇ、霞ちゃん負けちゃうって未来が見えちゃったから、思わず…」
「えっ?私が負けるの?困ったなぁ、結構強くなったつもりだったんだけど。というか、そんなに未来変えて大丈夫なの?」
「私って2番目に偉い天使じゃん?そのくらいの権力はあるんだー」
天使って無茶苦茶だな。おい。
「それで?私が勝つ方法は?」
「私と2個目の契約することくらいかなぁ。多分、今の霞ちゃんなら大丈夫だと思うけど」
「本当にそれしかない?」
「うん。これだけだね。今から雷雨ちゃん呼んでくれば倒せるかもしれないけど、多分雷雨ちゃん、死んじゃうよ?」
「そっか…。2つ目、行こう」
「おっ、霞ちゃん乗り気ー。今回は涙にしようかな」
「そんなのでいいの?てっきりまた、変なの要求されるものかと」
「1回契約したら、2個目は軽くても意外と大丈夫なんだよね。言ってなかったけど。本当はもっとえr…」
「さっさと涙でやるわよ」
「はーい…。ちょっと目を瞑ってみてー」
「こう?」
私は、少し力んで目を瞑る。
「もういいよー。これでOK。ただ、ちょっと涙出にくくなったけどね」
「そのくらい別に構わないよ」
「能力の使い方はわかるよね?」
「もちろんね」
「じゃ、行ってらっしゃい」
そして私は、また気を失った。
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「さーて、探すとしますかね」
と言っても、なんとなく気配でわかるのだが。それより気になるのは、体に違和感がまったくないことである。
「ミカエル、ほんとに能力くれたのかなぁ。まぁ、なくても勝つだけ」
気配の近くを動き回っていると、それらしきやつを見つけた。
「お前かー。この辺の人を襲ってるのは」
「だとしたら何だ?」
「さっさと、そんなことやめなさい」
「あ?今のこの国は力のないやつは奴隷だ。お前も奴隷になりたいか?」
「あ、こいつ。純正のクズだ」
「そうかそうか、そんなに奴隷になりたいか。ならお望み通り、してやるよっ!」
と、このクズは襲いかかってくるのだった。
《百白 霧海》:15歳。ショタ気味の中性的な男の子。能力は”正確投擲”【能力ランク:B】
次話から、戦いが始まります!