Ⅶ 勢力強化
雷雨の部屋に戻ってみたら…?
「戻ったぞー雷雨、ってあれ?」
部屋で寝ているはずの雷雨の姿はそこにはなかった。
「まぁ、雷雨のことだから…」
と外に出てみると、案の定雷雨は1人で特訓していた。あいつ真面目だからなぁ…。
「こらこら、まーだあなたは休んでないと」
「あっ、霞ちゃん…」
「また倒れちゃったら困るのは自分だよ?」
「わかってるけど…」
「そんなに焦ってもすぐには強くなれないよ」
「しょうがないなぁ、少しだけ付き合ってあげるよ」
その後私達は夜になるまで特訓していたのだった。
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「ほいっ、ついたー」
「私より速いじゃん!」
今回は私が雷雨を背負って東京に来たのだが、なんか雷雨より速かったらしい。少しふてくされている雷雨は可愛い。にしても、体が慣れてきたのか能力を使ってもそんなに支障がなくなってきたような。
「あっ、おかえりなさい!霞様!」
「おかえりなさいませー」
ありゃりゃ、東京の人にまで”霞様”と呼ばれる日が来ようとは。
「はいはい、私達行くとこあるから後でねー」
このままだと、ずっと囲まれて目的の場所にいけなくなりそうだったので、無理やり抜け出すのだった。
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「よーっす、調子はどう?」
「霞様、こちら戦闘志望の子たちです。」
ざっと2000人。人口の100分の1か。多いな。
「よーし、10個に部隊を分けよう、1〜10までな。第一部隊、略して一隊の隊長は雷雨よろしく。でも、基本的に副隊長に丸投げだと思うけど。あ、これ仮の編成だから群馬戻ったら編成し直しな。あんま変わんないと思うけど。二隊が…」
と、こんなふうに10個に分けた。まぁ隊長決めて、人数調節しただけだが。
「よーし、2週間で埼玉を平和にしてきてくれるかな。一番成果あった部隊には一応ご褒美、というか報酬用意してるから。よろしくー」
「ご褒美ってなんだろ!」
「霞様とのデート券かな!」
一瞬悪寒がしたが、きっと気の所為だ。そうに決まってる。とりあえず東京に雷雨の部隊だけ残して、ほかの部隊は全て埼玉へ向かわせた。2週間後が楽しみだ。
「報酬って行っても具体的にはどうするの?」
「んー、幹部クラス昇進とか?後はお金かな。そろそろ、外部の人間を入れてかないと支持落ちちゃうし。目標を作ってあげるのもいいでしょ」
「政治家みたいな事言うね」
「だって、戦える政治家だからね。私。王様じゃないから」
「王様でも通じそうだけどねー。ほんと色々考えてるんだね」
「そろそろ、日本を復活させるのに必要なことしてかないと。内政は大事だよ」
「そうだね」
「じゃ、一回帰りますか。」
「そうだね、雷雨よろしくっ」
「えー、霞ちゃんのほうが速いしなぁ」
「まだ言ってんのー?悪かったってぇ」
「冗談だよ。行こっか」
そうして雷雨の能力で一度群馬に帰るのだった。
意外と帰る数多いな。
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「今度こそ、ちゃんと帰ってきたぞー。みんなー」
「早いですね!?」
「霞様おかえりー!」
やっぱり帰って来るの早かったよねぇ…。あんなこと言った手前、少し恥ずかしい。でも、東京はアウェー感すごかったし、しょうがないよね。
「よーし、雲のとこにでも行くかぁ。まだ、栃木に居るのかな」
「栃木の那須まで行ったらしいよ。鹿沼、日光辺りは攻略したみたい。都市にはモンスター居たけど全部倒したんだって。後は東側だけみたいだよ」
「あいつすごいな!?てかなんで、雷雨そんなこと知ってんの?」
「さっき、霙さんが教えてくれたの」
「あいつ、私にも教えろよ…」
「あっ。忘れてたけど、雪さんのとこにも行かなきゃ。雷雨はどうする?」
「私少し休むー」
「了解」
雪さんを探して300歩、
「おーい、雪さーん」
「おー、霞さん。どうしました?」
「その”さん”付けやめません?言ってませんでしたけど、私17なんですよ。前は舐めた口聞いてすいませんでした」
「いや、謝ることじゃないさ。じゃあ、今度から”霞”と呼ばせてもらうな」
「はいっ!」
どうやら許されたようだ。
「それで雪さん。今後のことなんですけど、埼玉の復興を始めようと思うんです。2週間すれば、埼玉全部取れる予定なので」
「本当か!?」
「えぇ。東京の人も、東京が終わったら手伝ってくれるみたいです。なので、後2週間くらい待っててもらっていいですか?」
「あぁ、もちろん」
「ありがとうございます。では引き続き、ここをお願いしますね」
「任せとけ!」
話をつけた私は、栃木へ向かうのだった。
《十露 雪》:22歳。人に好かれがちな大人の女性。ナイフの技術は何故か高い。能力は”身体能力強化”【能力ランク:C】
300歩は、5分程度らしいです。
※作者調べ