L これからの未来(霞視点)
最終話です。
気がつくと、私は自分の部屋のベットに居た。私の記憶はみんなを集めたところで途切れている。
数十分経って、二人ほど部屋に駆け込んでくるのがわかった。
「リー…ー」
あぁ、霙か。なんて言ってるんだろう…。よく聞こえないや。
「霙、私これからどうやって生きてけばいいんだろう…」
「…ない…っ!あな…しょ!!七緒 霞!!」
何故か私の名前を呼ぶ声だけは、明瞭に聞き取れた。私は、ハッとなって霙の方を向いたが、霙の顔を見て、合わせる顔がなく、すぐに逸らしてしまった。
「一人にして」
そう言ってしまった。何故霙に対してあんな言葉をかけたのか、私にはわからなかった。
それから、どのくらい経っただろうか。私は毎日泣いた。この部屋で渡される食事・飲み物。淡々と体に入れていくだけ。生きている感じはしなかった。私はもう、生きる意味がわからなかった。
「葬儀…した…」「雨…とむら」
ふとそんな声が部屋の外から聞こえた。その言葉が、私は妙に気にかかった。今日も泣いた。部屋に人が入ってくる時は泣かないようにしていた。一種の意地なのかもしれない。
「リーダー…」
霙がまた来たようだ。なんでだろう。リーダーの先からはもやがかかったように何も聞こえない。
「明日は…なんだ。…くれないか?」
この声は、霰か。霰の声も、まるでモヤが掛かったように聞こえない。
うるさい。うるさいうるさい。うるさいうるさいうるさい!
「ほっといて!!!」
私は気がつけば叫んでいた。たちまち続けて、こう叫ぶ。
「私を1人にして!!!」
「しないよ」
霙が突然私の顔の前に来て、そう言った。
「もう霞ちゃんを1人にしない。辛かったよね…。わかってたけど、言葉をかけられなかった…。ごめんね…。1人で抱え込まないで…」
私の体の中に、何かが落ちた気がした。私は堰を切ったように泣き出した。
「私の…、私のせいで雨は…、雨は死んだ…。私が弱いから…。弱い私は必要とされない…。私が死んでれば…。雨のほうがきっと」
「霞っ!!」
その時、私を霙が力強く抱きしめた。
「霞を必要ないなんて言わないで!!霞は弱くなんてない!!1人で背負わないで…。みんながいるんだよ…」
霙が泣くのをこらえているのは、顔が見えていなくてもわかった。”みんながいる”
私はまた忘れていた。仲間がいる。楽しいことも、辛いことも分け合って、仲間。都合がいいかもしれない。でも、私は自分で勝手に一人になって、塞ぎ込んでいた。
「ごめん…。ごめん、みんな…」
数十分経って、私が落ち着いた頃に、霙が話を切り出した。
「明日は大切な行事だからね。トップが顔出さないと、でしょ?」
そう言う霙の顔は涙でぐちゃぐちゃの笑顔だった。
その時、急に引っかかっていた発言を思い出した。点と点がつながった。
「霙!雨の葬式するんだよね。行かなきゃ」
「え?あ、それがね…?」
霙は含みのある言い方をする。一体何なのだろう。
◎●◎●◎●◎●◎●◎
日付が明けて、霙が私の部屋に来た。
「その様子なら、大丈夫そうだね。ほんと、心配かけないでよね」
「あぁ、悪かった」
私は昨日、吹っ切れた。これからは、覚悟を持って生きていく。雨が生かしてくれたこの命。私が生きていく意味で、義務だ。それにしても、妙に霙がごきげんだ。
「どうしたんだ?そんなに笑って」
「ついてくればわかるよ」
「…?」
霙に着いてった先に待っていたのは、
「生きてたか。霞」
死んだはずの、雨だった。
「は!?え!?どういうこと!?」
「天使パワーってやつ?なんか生き返った」
雨が言った衝撃の事実に、私は固まってしまった
「実は、昨日カクカクシカジカで、生き返ったらしいんだよね。なので今日は、雨お帰りパーティでーす!!」
高らかに霙が宣言する。私は雨の姿を見て泣きそうになったが、ぐっとこらえて叫んだ。
「…みんな、ありがとう!」
と。
これにて完結です。いかがだったでしょうか!ぜひレビュー等、よろしくおねがいします。
後日、おまけ編が上がる可能性があります。