XLVIII もう二度と…!
雷雨を抱える霞。
私は必死に走っていた。体の至る所が悲鳴を上げるがそんなものは関係ない。
私は雨を殺し、雷雨をこんなふうにしてしまった。自分が情けない。
「死ぬな…!絶対助かる…!雷雨!!」
先程から呼びかけているが、返答はない。全速力で東京まで戻る…!
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「誰か!雷雨を助けてやってくれ!!」
私は、東京で自分が立てた医療施設まで雷雨を運びきった。
「むぅ!?これは一体…!とにかく、すぐにオペだ!!」
眼の前で叫ぶのは30代くらいだろうか?男の医師が立っていた。
雷雨を渡した瞬間、糸が切れたかのように私も倒れてしまった。いや、ここまでこの出血量で運べるほうがあまりにおかしかったのだ。根性で立っていただけだった。
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数時間後…
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「ここは…病院か…」
「お目覚めですか、霞様」
そこには記憶の途切れる直前に見た若い医師が立っていた。
「雷雨はどうなった!?」
「とりあえず命はつなぎました…。ただ、神経や臓器に損傷が酷く、現代の医療技術では延命させ、再生させるまでが限界でした。意識を取り戻すかはあの方次第です」
「そうか…。わかった、ありがとう」
私はベットから立とうとする。
「いけません!霞様は絶対安静の身です!!」
「すまないな、私は行かなきゃいけないところがあるんだ」
「しかし…!」
私は少し圧をかける。普段から戦い慣れしていない人間に、この手の圧はとても耐えられるものではないだろう。私は病院をあとにした。
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私は、雨の隣で立ち尽くしていた。そこで3時間泣いた。
「ごめん…、ごめん、雨。私なんかをかばって…」
更に3時間泣いた。ここに来た目的を思い出せないくらい泣いていた。ミカエルたちはすでにいなかった。雨が降ってきた。
「こんな寒いところ嫌だよな…。みんなのところに戻ろう…」
そう言って、私は東京へ駆け出した。
東京へ着いた頃、各自に散らばっていた部隊から連絡が来ていた。暴走していた間だったので気づかなかった。どうやら、攻略には成功したようだ。私は雲達二隊を除く部隊に電話を折り返す。東京へ戻ってくるように伝えた。
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数十分後…
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私は隊長(雲を除く)たちを集めていた。
「みんな…聞いてくれ。雨は…死んだ」
それを聞いた全員の顔が固まった。私は続けざまに言う。
「雨は…、私が殺した。雷雨は意識が戻らない」
霙が席を立った。私の顔を強くビンタした。
「私達の知ってるリーダーはどこ!?言いなさいよ!!」
その顔は、泣いていた。
「私達のリーダーは、仲間を殺すような人なんかじゃない!!ちゃんと説明して…」
誰も、何も言えなかった。私は口火を切るように話し出す。
「私達は、霰と雹のところにルシファーが出たという連絡を受けて、行った。そこでルシファーと戦い、依代との戦いは勝利したんだ。だが、本体が出てきた。そして、いきなり自爆した。私は雨に守られたおかげで軽症で済んだ。その後の記憶は、ない…。気がついたら、雷雨の背中に刀が3本刺さっていた」
私は、話しているうちに過呼吸になってしまった。霙が私を強く抱きしめる。
「会議は一旦お開きにしよう」
霙の号令でみんなが立ち上がる。雰囲気は最悪…、とても重苦しかった。
そんなときだった。私に電話がかかってきたのは。
やっぱりね。駅伝っていいですね。箱根駅伝お疲れ様でした!!