XLII 近畿地方!五重 晴編!
一方近畿地方の総隊長。
さて、霞たちと別れて俺達一隊は現在、近畿地方の京都府京都市にいる。いやー、1回は京都来てみたいと思ってたから、観光…って感じの風景ではない。街は廃れ、古き良き京都なんてものは1ミクロも存在していなかった。県庁所在地がこれだと、京都には人が居ないのかもな。そういえば、霞は大阪に組織があると言ってたな。
「晴さん。京都、なにもないっすね」
「そうだな」
俺の部隊では俺のことを”隊長”では無く”晴さん”と呼ばせている。さんをつけるかは個人の自由だが、全員さん付けで呼んでくれる。
ということで、一回部隊に集合をかける。俺の部隊は全ての舞台で1番数が多い。この前の対抗戦の後からかなり数が増えた。まぁ、統率力も総隊長には必要なものだと思っている。
「みんな、よく聞け!俺の部隊はかなりの人数がいる。そこで、人海戦術を取る。2府5県ある近畿地方を7部隊で一気に行く。1部隊100人ほどになるだろう。部隊長は決めてある。いいな?」
「「「「「はい!!」」」」」
「俺の部隊は大阪へ行く。くれぐれも負けるんじゃないぞ!一隊はプロスペリテのトップ部隊として恥じない成果を持ち帰る!!」
「「「はい!!!」」」
そして各地に一隊は散った。
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「さて、大阪に着いたはいいが、ここは本当に大阪か?」
あの号令から一時間ほどで着いた俺の部隊は、その光景に驚愕していた。なんば駅周辺に来たはずなのだが、グリコの看板も、ビル群もない。あるのは禍々しい色をした一軒家サイズの建物と、たくさんの火柱だった。ここは大阪である前に、本当に日本なのか…?異世界に迷い込んだ気分だ。
「みんな、俺の周りを離れるな!ここは何かが危険だ!」
本能で察知した。ここには強大な力を持つ”魔物”がいると。
「おうおうおう、兄ちゃんラ、ここが鬼神様の土地だと知っての狼藉かい?」
突然一本の角を生やした、鬼?らしき生物が話しかけてきた。狼藉と言われても何もしていないんだが。鬼に金棒とはよく言ったものだな。めっちゃ太い金棒持ってる。強そう。
「落ち着け。俺達は何もしていない」
「無許可でここに立ち入ることが狼藉なんだよ!!」
するといきなり、金棒を振り下ろしてきた。俺は慌てて避ける。話が通じないな。
「晴さん!ここはお任せを!」
部隊の子たちがいかにもなことを言って鬼の前に立ちはだかる。この感じ、さっさとトップと話しつけてこないとまずそうだな。
「死ぬなよ!行くぞ!」
俺は、残りの部隊を引き連れて駆け出した。目指すべきはあのでかい建物だろう。道中でも同じような鬼に会い、そのたびにみんなが引き受けてくれた。俺の周りにいるのは総勢10人ほどだ。
「ほう…我が土地に侵入してきたといううつけ者はこいつか」
どうやらトップのお出ましのようだ。鬼神様とは、まぁその通りだった。頭には2本の角、体はよくイメージするような赤鬼のような色。そして何よりでかい。
「俺達は話し合いに来たんだ。頼む、聞いてくれ!」
俺の願いも虚しく、
「我が土地を脅かすものは殺すまでよ!!」
そう言って襲いかかってきた。
「みんな!周りの子鬼たちは任せたぞ!俺はこのでかいのをやる」
「晴さん!大丈夫なんですか!!」
「総隊長だぞ?俺を舐めるな」
「…死なんでくださいよ!!」
鬼たちとの戦いが始まった。