XL 中国地方!億長 枯凩編!
こちらは中国地方の枯凩達
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視点交代:億長 枯凩視点
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「隊長!島根に組織を発見した模様!」
「よし、行くか」
私達八隊は現在、鳥取の鳥取砂丘周辺にいる。暑い。先遣隊はすでに派遣済みで、どうやらその先遣隊が組織を見つけてきたらしい。今から向かうというわけだ。
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「これは…!」「ドッ、ドラゴン!?」「こんなのいたか!?」「いや、居なかったはず」
「落ち着け!!」
ドラゴンを見てざわついている部隊のみんなを落ち着かせる。
「いいか?相手がなんだろうとやることは変わらん。全員で倒すだけだ」
「「「うっす!!」」」
ちなみに全員女だ。
「よし、行くぞ!」
と、全員でドラゴンに飛びかかろうとした瞬間、ドラゴンは消えてしまった。下を見てみれば人間が10人ほど。ちょうど、ドラゴンと同じ数だ。
「ドラゴンは?」「いなくなったな」「どうするの?」
「みんなよく聞け!おそらくあそこの人間がドラゴンだ」
「「「あれが??」」」
「そうだ。よく見てみろ、ちょうど数も同じだ。それに、さっきドラゴンが居た場所に立っているだろう?」
「ドラゴンって人間になるんだ…」「逆じゃね?人間がドラゴンにじゃない?」
「どっちでもいい。人間なら交渉の余地がある。先遣隊!組織まで案内してくれ!」
「「了解!」」
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「ここです」
「なるほど、いかにもって感じだな」
私の前に建つのは、ゲームに登場する魔王城のような、ピー◯姫が囚われていそうな城だ。現代日本では考えられないような建築センスだ。
「今回は交渉がメインだ。が、ヤバそうなら戦闘で構わない」
「「「うっす!!」」」
見張り番は居ないようで、侵入に問題はなかった。もしかしたら罠が、とも思ったがどうやらそうでもないようだ。
「ようこそ我が城へ。我が名は”リヴァイアサン”。人間の時は”五十嵐 凪沙”と名乗っている」
何故使い分けているのかは知らないが、人間の姿で出てきたのなら襲う意志はないのだろう。とても助かる。
「私達はプロスペリテ。私は八隊隊長、億長 枯凩。私達は交渉に来たんだ。私達の仲間にならないか?」
「ふむ、とりあえず話を聞こう」
そうして私達は交渉の席につく。
「単刀直入に言おう。私達の仲間にならないか?協力関係のようなものだ。お互いが危険な時は助け合う。それだけだ」
「ふん、ドラゴンが人間と協力関係か…。不思議なことを言うのぉ」
そう言って、圧をかけてくる。受け入れたくないようだ。でも、ここで折れるわけには行かない。
「プロスペリテに入れば不自由はないことを約束しよう。いや、四国のさらなる発展を約束しよう」
「ほう…?」
食いついたな。
「衣・食・住は全て完備。娯楽もある。戦闘もできる。もちろんドラゴン用に必要とあらば、できる限り応じよう」
「…貴様は強いか?」
「は?」
「貴様のことが気に入った。大抵は我の一言で逃げ出してしまう。いや、ドラゴンの威圧感は本来人間には耐えられないはずなのだ。貴様は耐えきったどころか対等を求めた。その図太さが気に入った。貴様が我を満足させられたら、そのプロスペリテとやらに入ってやる」
「いいだろう」
「ここはやりづらい。外へ出よ」
私はノータイムで返事をした。
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「では、こちらから行くぞ!」
「ほう…?消えるのか。面白い」
「後ろががら空きだ」
私の能力では、消えながら攻撃は出来ないため、一度姿を出す必要があるが、最低限に抑え、相手を翻弄する。倒せれば儲けものだ。
「ふん。思ったよりやるではないか。早速本気を出すかのぉ」
そう言ってドラゴンに変身する。やはり、ドラゴンが戦闘形態か。
「消えていようが焼けばよいのぉ」
そう言って火を放つが、私には当たらない。
「焼けた感触がない…?何故じゃ」
理由は単純だ。私は日々の特訓で能力を覚醒させた。消えた状態の当たり判定を無くすことに成功したのだ。
「なるほどな…。これも能力というわけじゃの」
さすがドラゴンだ。知能は高い。いや、本能で感じているのかもな。
ドラゴンは人間に戻った。
「背後ががら空きだと言っている」
カキン!
大きな金切り音が響く。防がれた!
「やっと見つけたぞぉ。透明人間」
私は攻撃をまともに受けてしまい、吹き飛ばされる。肋骨が数本、左腕は使い物にならない。ガードを入れなければ死んでいた。
「ひどいじゃないか。仮にも同盟候補だぞ?ゴフッ」
私は血を吐く。
「この程度で死んでいたら同盟など、ないものと同じじゃ」
「そうか…。じゃあ、これは受けきれるかな…?」
私は再び能力で姿を消す。ドラゴンは目を閉じ、私の気配を感じ取ろうとしている。私は能力を覚醒させた段階で、もう一つの追加効果を手に入れた。
私は敢えて姿をさらして、正面から向かう。あいつは目を閉じているから少しタイムラグが有る。
「真正面からとは…残念じゃのぉ」
私は一瞬姿を消し、あいつの100m程前で立ち止まる。この攻撃のまともな射程は100m程しかない。
ドラゴンは今にも飛び出そうとしているところで、私が再び消えたことに戸惑っているようだ。
「虚拳!」
この技は、透浸を発動している間に使える。が、射程は短く、チャージ時間が必要だ。加えて、チャージの持続時間も短い3秒あるかないか。だが、発動できれば爆大な威力を発揮する。
「ぬわっはっは!我に傷をつけるとはのぉ。いいだろう。プロスペリテとやらに入ってやる。だが、貴様はもっと強くなれ。そして我と同じ領域にたどり着くのじゃ」
明るく言うドラゴンは擦り傷程度だ。これが力の差だろう。
とにかく、霞に連絡しなくては。
と、連絡をするが繋がらないのであった。