XXXVIII 3人目の天使遣い
天使の気配を感じ取った霞と雨
「ここだな」
「そうだな」
私達の前にあるのは、20階にも及ぶであろう高層ビル。天使の気配は屋上からする。
「よーし、登るか」
「さっさと登るぞ」
「じゃ、競争な」
「受けて立とう」
「よし。ヨーイ、ドン!」
音を置き去りにする。
「ありゃー、負けた」
「私は勝負に負けない」
「お前ら、何者だ?」
声がした方を振り返れば、1人の男が居た。
「ん?私達?私達はプロスペリテ。それよりお前、天使と契約してるだろ」
「何故、それを…」
戦闘態勢に入ったな。こら、雨。喧嘩しに来たんじゃないぞ。ちょうどいいから、あれ、使ってみるか。
「召喚!」
その言葉とともに、私の横にはミカエルが現れる。
「これ、私の天使ミカエル」
「ちょっと霞ちゃーん、紹介雑じゃない?」
「??天使が人間界に?」
「私はミカエル。霞ちゃんの天使で、天界で2番目に偉い人でーす」
「天使は人間界に来れないはず…」
「説明すると長いから省くけど、霞ちゃん達はできるんだよ。私達が来ても、あんまり強くないけどね。この世界の学園が合った頃のSランク位かな」
「十分強いんだよなぁ」
「でも、霞ちゃんはEXじゃん」
「そういえばそっかぁ」
「で?お前の名前は?」
この状況について来れない、そこの男に声を掛ける。
「あぁ、敵じゃないのなら名乗らないのは失礼だな。俺は一文字 竜巻。契約している天使はラミエル。お前らのように呼び出したりはできんがな」
なんか、侵略してくる化け物みたいだな。
「とりあえず、自己紹介も終わったし、話し合いと行こう。私はそのために来たんだ」
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「で?二人とも先に、ボスのところ行っちゃったわけ?」
「はい…」
「うん…」
現在、私と雨は霙のお説教タイムである。ボスのところに行ってきたと言ったら、これである。
「はぁ…私達も連れてって、って何回も言ったよね?」
「ですね…」
「うん…」
「毎回2人だけで行くと危ないって、いつも言ってるよね?」
「ごもっともです…」
「うん…」
こいつ、うんしか言わねーじゃん。話ちゃんと聞いてんのか?
「ホントしょうがないリーダー達なんだから…。下を置いてったら、上としての示しがつかないの。わかる?わかったら、今後はしないように!」
「「気をつけます…」」
「じゃあ、行くよ」
小声で、
「なぁ…霙って怖いな…」
「同意見だ…」
「聞こえてるよ!!」
「「ヒィッ…!」」
九隊・十隊メンバー:「「「霙さんが実際のトップじゃね…?」」」
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「私達は、同盟を組みに来ました。相手が危険なら、救援を出す。そんな軍事同盟のようなものです」
現在、交渉役は霙だ。霙が居ると、交渉が楽だからとか、決してそんな理由で霙を連れてきたわけではない。決して。
「私達は、日本の復活を目標としています。損はないはずです。協力しませんか?」
「わかった。いいだろう。これからよろしくな。えっと、プロスペリテのトップはあんたで合ってるか?」
そう指差す先は霙である。おいぃぃ…!そこを間違えるなぁ!後ろの奴らも「やっぱり雲がトップだよなぁ」って顔をするなぁ!
「あぁ、ウチのトップはこっちで…」
「おいおい、トップを間違えちゃアカンて」
「ありゃ、こりゃ失礼。霞…だったか?これからよろしく」
「わかってるならよし。これからよろしく。竜巻」
無事に九州とも同盟を取り付けた私達であった。