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Ⅲ 国家設立!

人が増えたことによる新たな問題が発生中。

(かすみ)様、お腹すいたぁ…」

(かすみ)様、腹減った…」


そう、食糧問題である。缶詰など、食べられそうなものは拾って分け与えているが、明らかに量が足りない。世界が壊れる前は、ワーパーで何でも出せたからなぁ。余計に不快感を感じるのだろう。みんなの表情が暗い。いつ名前を知ったかは知らないが、呼び名が変わっていることにはツッコまない。さてどうしたものか。


「自分たちで作ればよいのでは?」


と、声をかけてくる少女がいた。私よりも年上のように見える。


「誰?あなた」

「失礼、私は九十九 霙(つくも みぞれ)。あなたに助けていただいたものです」

「あぁ、川沿いのとこの」

「そうか。覚えていて良かった」

「それで?さっき言ってたのは?」

「はい。ないのなら自分たちで作ればよいのかと。幸い、田舎なので土地はある」

「それは少し考えたが、技術も肥料もない」

「いいや、ある。半年分ほど特急肥料は見つけました。そして私の頭の中には、農業のノウハウが詰まっています」


なんと。この時代に農業なんてものを勉強する人がいたとは。基本、ロボットを監督することが農業だったから、その知識は有用だ。


「じゃあ、任せていいか?」

「えぇ。お任せいただけるのなら、必ずこの問題を解決しよう」

「なら決まりだな。私は七緒 霞(なお かすみ)。さっきから敬語なのか違うのかよくわからないんだけど、もしかして年上?私は17歳なんだけど」

「あぁ、私は18歳です」

「年上じゃん!生意気言っててすいません」

「いいえ、私は助けてもらった身。本来は私が下になるはず。敬語に慣れていなくて、不快にさせたのなら申し訳ない」


と、(みぞれ)さんは頭を下げる。


「そんな、頭を上げてください。じゃあ、こうしましょう。友達ってことで、これからは両方タメ口で!いいですか?」


(みぞれ)さんは明るい顔をして、


「あぁ、もちろんだ!」


私達は、固い握手を交わした。



◎●◎●◎●◎●◎●◎



私は考えた。これからこの人たちを守っていくには、1つになる必要がある。

一度外に、人を集めた。


「あーあー。こんにちは。みんな知ってるかもだけど、七緒 霞(なお かすみ)です。硬い感じは嫌いなのでタメ口で。」


「アンタらこのまま死ぬのは嫌だろ?じゃあ、私に協力してくれ。必ずアンタらのことは守り抜くと誓おう。私は困ってる人たちを見捨てたくない。偽善と言われようと構わない。助けられる人は助ける。そして全員で世界を元に戻すんだ。嫌ならこの場から去ってくれて構わない。動くか動かないかは自分で決めろ。これからは自分の力で生きろ!」


と、演説をした。

一瞬の沈黙が流れ、「(かすみ)様ー!」「俺達は(かすみ)様に助けてもらった身。どこまでもついていくぜー!」


去る人は居なかった。それどころか歓声は強まるばかりだ。私は少し照れながら、


「いよっしゃぁー!私はここに”プロスペリテ”の設立を宣言するっ!」


大歓声が上がる。士気は最高潮だ。


「あ、能力持ってない子はそこの(みぞれ)のとこ行って農業教えてもらって。戦えそうな人は私のところに集まってねー」



◎●◎●◎●◎●◎●◎



「集まったのは20人かー。まぁこのくらいいれば十分かな」


「みんなには、この日本を安全にするために手伝ってほしいんだ。まず、今居るのは群馬県の端っこ。正直領地を増やしたいって目的もあるんだ。ここだけじゃ足りないからね。それでもついてきてくれる?」

「もちろんだ!」

「当たり前です!」


みんな応えてくれるらしい。ありがたい。


「じゃあ1人ずつ、名前と能力を教えてくれ」


そうして能力を聞いていると、気になる能力があった。


「私の名前は三日月 雲(みかづき うん)。能力は若干の天候操作(クライール)と、身体能力強化(パワーアップ)です。必ず役に立ちますっ!よろしくお願いします!」


天候操作(クライール)…。これは化けるかもな…!


「よし、全員ありがとう。これからは私達は一生の仲間だ。仲間のピンチは必ず助け合うんだ。いいな?」

「はいっ!」

「じゃあ部隊を3つに分ける。私の部隊と、ここに居る雷雨の部隊。それから雲の部隊だ」

「え!?私!?」


雲は困惑している様子。


「当然でしょ。この中で能力ランクが一番高いであろうのは雲だし。心配しなくてもそこまで重い役割を背負わせるつもりはないよ」

(まぁ…戦いの経験を積ませたいっていうのが一番の目的なんだけど。)


(うん)は困っていたが、覚悟を決めたようだ。


「じゃあ、説明するね。まず、私の部隊に12人。この部隊は主に障害を正面から突破する役割だ。そして雷雨(らい)(うん)の部隊に3人ずつ。わたしたちのフォローと救援活動を頼む。2人ともいいか?」

「「はいっ!」」

「みんなもいいか?」

「はい!」

「よし、話はこれで終わり。明日からは南に下ってとりあえず東京を目指す。そっちのほうが人が多いからね。今日はもう寝よう」


そして会議はお開きとなった。



◎●◎●◎●◎●◎●◎



3日程経ち、私達は拠点を後にして、東京方面へ下っていくのだった。

《ミカエル》:天使。年齢不詳の変態。霞と契約している。強い。


プロスペリテとは、フランス語で「共栄・繁栄」という意味です。

※作者調べなので間違っている場合もございます。

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