XXV 戦いの行方
ルシファーを探してる霞達。
「うーん、全然見つからん」
「そうだな。全然見つからん」
堕天使ルシファー捜索中の私達は、かれこれ2時間近く駆け回っているが、一向に出会える気配がない。
「どーする?」
「どーするも何も、探すだけだろ」
「お気楽でいいですなぁ」
「お気楽とは何だ。至って私は真面目なんだぞ」
私達が小競り合いを繰り広げていると、
「私の”シマ”で暴れているのは貴様らか?うるそうて眠れん」
いきなり何者かが現れた。そう言うやつの背中には、黒い羽、黒い輪っか、ついでにめっちゃ浮いてる。こいつじゃね?ルシファー。てか”シマ”ってヤ◯ザかよ!
「お前がルシファーか?」
「如何にも、私が堕天使ルシファーだ。我のシマを荒らすやつには容赦はしないが、今なら泣き入れれば許してやらんこともない」
やっぱりヤ◯ザ。
「お前が暴れてるんじゃないのか?ミカエルから聞いたぞ?」
「ミカエル…その名を口にするなぁぁぁ!!」
急にやつは、持っていた槍をものすごい速度で振るってきた。少し顔にかすって、血が出てしまう。
「おお、雨あれよけれんのか」
「あの程度、避けられて当然だ」
と言い放つ雨の背中は、とても頼もしい。私はいずれ、あの大きな背中を飛び越えなくてはいけない。今はあの大きな背中に隠れてるとしますかねー。
「今度はこっちの番!リエ・ソレイユ!」
「アロン・ピアチェーレ!」
私は突撃をかます。激しい土煙と金切り音が鳴り響き、煙が晴れると、やつはわたしの剣を手で受け止めていた!!
「お前、やばすぎるだろ」
「ふん。この程度攻撃でもないわ」
「じゃあ、これはどうかな」
私の後ろには、魔力を十分に貯めた雨がいる。
「アリエテ!」
私と戦った時の数百倍は大きい水の塊がルシファーに襲いかかる。これをみれば、どれだけ手加減されていたのかがわかる。さすがのルシファーも、これは避けるしかないらしい。
「あれ?避けちゃうんだぁ」
私はあえて煽って見せる。
「ほざけ。あんなので体力を消耗するほど、私は馬鹿ではない」
結構冷静なようだ。これはきっついな。
「雨、今度は2人で行くか」
「そうするか」
私達はルシファーに向かって斬りかかる。気づいたら雨の杖が剣に変化していた。思ったより壁は大きいみたいだ。
「ふん。話にならんな」
ルシファーは余裕の笑顔だ。現に、私達二人の攻撃を片手で捌き、カウンターもきっちり入れてくる。
「やっぱあれを当てるしかないんじゃね?」
「でも、スピードが遅すぎて基本当たらない」
十二分に雨のアリエテはスピードを持っているのだが、相手がルシファー故なのかさっきから1発も当たっていない。
「じゃあ私がその場に留めればいいんだな。私に当てるくらいの気合でいい」
「でもそれじゃあ霞が、」
「何だ?意外と心配してくれるんだな。まぁ、私が死にかけたらなんとか助けてくれ」
私の覚悟を見て取ったのか、雨は魔力を貯め始めた。
「おしゃべりは終わったか?」
「あぁ!お前を倒すためのな!フィシ・ソレイユ!」
私はフルパワーでやつに近接戦を挑む。だが、切り合いにおいて押されているのは私だ。おそらく持って数分だろう。ルシファーはこの戦いを楽しむために手加減している様子さえ見て取れる。
「どうしたどうした!我を倒すんじゃなかったのかぁ!!」
「うるさい天使様だなぁ」
「味方にも見捨てられ、無様なことだな。もう少し楽しんだら苦しまずに殺してやる!」
笑いながら言うルシファーは、勘違いをしている。だが、好都合だ。そろそろかな。
「アリエテ!」
お、飛んできた。私はルシファーを羽交い締めにする。
「なっ、何!貴様は見捨てられたのではなかったのか!」
「うるさい天使様はちょっと黙ってもろて」
ドオオオォォォン・・・
アリエテが地面と衝突した音が鳴り響いた。
《ガブリエル》:年齢不詳。ミカエルの後輩天使。雨と契約している。強い。