XXIV ”堕天使”ルシファー
北海道に上陸した霞達。
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視点交代:霞視点
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「サムッッ!」
現在私達は、知床周辺に居るらしい。GPSを見る限り、位置情報はその辺りだ。どうやら目的地の設定を間違えたようだ。なんでGPSがあるのかは気にしないほうが良さそうだ。
「そりゃ北海道の端っこだしなぁ。札幌まで遠いなこりゃ」
「真反対だからな。霞の責任だな」
「そりゃないでしょ雨さんよぉ。あなたも私と一緒にやったじゃん!」
「知らん。興味ない」
こいつ…!それは便利な言葉じゃねーぞ…!
「まぁまぁ。今更海で行くわけにも行かねーし、歩きで行けばいいだろ」
「晴、本気で言ってるのか?」
「お前、知らないのか?」
「何がだ?」
「「札幌まで、337kmだぞ?」」
(✽ ゜д゜ ✽)
全員この顔である。みんな北海道舐め過ぎだぞ。
「あ、ちなみに東京へから愛知までは300km。大阪までだと、500kmくらいだから大阪に行くよりは短いな」
(✽ ゜д゜ ✽)
やっぱみんな舐めてんだろ。これは根性入れ直しか?
「霞、遅くはない。船に戻ろう」
「いや晴が行ったんじゃん。男なら泣き事行ってないで着いてこいよ」
「俺等はお前らと違って人間なんだよぉ…」
失礼な。まるで私達が人間じゃないみたいな。ピチピチのJKなのに。
あ、この感覚。どのくらい振りだろう。せめて出先以外にしません…?
そして私は気を失った。
「ミカエル。私これから300km以上歩かないといけないんだけど」
「えー、霞ちゃんならそのくらい余裕でしょー?」
「まぁ、そうなんだけど。あれ?隣のその子は?」
「あー、この子?私の後輩。雨ちゃんと契約してる天使」
「はじめまして、ガブリエルと申しますぅ…」
声ちっちゃ!これが雨の天使か。
「はじめまして。というか、どうして雨の天使がここに?」
「天使は、人間と契約している身なら、どの媒体にも移れるんです。力は使えないんですけど」
「そうそう。つまり、私が雨ちゃんのとこにも行けるんだぁ」
「便利だな!天使」
「で、ミカエル。私をここによんだ理由は?」
「んー?ガブリエルを紹介したかっただけー」
「ほんとに?」
「ほんとほんとー」
「なにか隠してるでしょ」
「もう…。霞ちゃんは鋭いなぁ。実は”堕天使”ルシファーが北海道で暴れてるらしいの」
「堕天使って、天使じゃなくなったやつ?」
「そうそう。大体合ってる。あの子、天界への腹いせに暴れ散らかしてるって情報が入ってね。本来は私がなんとかしないといけないんだけど、私人間界に出れないし」
今更”天界”などという言葉が出てきても、私は驚かない。そんなものもあるのだろう
「それで?それを私が倒してこいと」
「ガブリエルと相談して、雨ちゃんに頼もうと思ってたんだけど、大丈夫?あの子、実力は本物だよ」
「まぁまぁ、最悪雨が居るから心配はいらないよ。私より強いし」
「あ、ルシファーは”契約”してるんじゃなくて、”憑依”してるから憑依されてる人間は殺さないで上げてね」
「私からもお願いします」
「りょーかい。雨にも話しておくよ」
「うん!じゃあ、後は頼んだよ」
「任せとけ」
そして私は気を失った。
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「雨ー?話がある」
「なんだ?」
私はさっきミカエルたちに聞いた話を雨に伝えた。
「わかった。強いやつと戦えるなら私はなんでもいい」
「おっけー。晴、私達は行くとこがあるからみんなを任せた!札幌についたら、いつもどおりに」
「ちょ!?いきなり置いてくなよ…」
私達は堕天使ルシファーを探しに行くのだった。
《ルシファー》:年齢不詳。ミカエルが認めるほどの強さ。天界にただならぬ恨みがある模様。