XV 任命式!
激動の日から夜が明けて式典当日
「これから”プロスペリテ戦闘部隊・隊長任命式”を執り行う!」
会場となっている闘技場”ポリーナ”では、溢れんばかりの歓声で埋め尽くされている。事前に宣伝はきっちり済ませたからな。そのおかげでこの盛り上がりよう。満員だから結構儲けてるな。
「初め!一隊隊長、五重 晴!」
「はい!!」
「もちろんわかっているだろうが、総隊長も兼任してもらう。いいな?」
「お任せを!!」
”総隊長”という言葉をマイク越しに聞いた途端、観客が一斉に盛り上がる。うんうん。やっぱり式典はこうでないと。
「続き!二隊隊長、三日月 雲!」
「はっ、はいっ!!」
「これからも隊長、よろしくな」
「頑張ります!!」
二隊の隊長指名でも、これとない盛り上がりを見せる観客たち。逆にうるさいかも?
「三隊隊長!千洞 嵐!」
「はっ、はい!!」
三隊隊長、千洞 嵐。こいつは東京で集まったメンバーの1人で、元々は百白のやっていた二隊の副隊長だったやつだ。私はこいつの”仲間を想う力”と”実力”を買った。こいつも中々強いのだ。
「今度は隊長だ。しっかり頼むな」
「はいっ!!」
副隊長が隊長い昇格。もちろん降格したやつも居るが、これで民衆にも人材の選び方がしっかり伝わったであろう。
「四隊隊長!百白 霧海!」
「っはい!!」
元々は二隊の隊長だった百白。こいつはどこまでも人思いだが、それが弱点でもある。現に三隊隊長の千洞 嵐は、百白の推薦だ。”副隊長を三隊にして欲しい”とまで言ったんだ。私はそれを聞き、この隊順にした理由である。
「これからもしっかり頑張ってくれな」
「はい!!」
まぁきっと、部隊の奴らと楽しくやっていくから心配はいらないだろう。
「ようやく半分だな。五隊隊長!万伊里 雹!」
「はーい!!」
万伊里 雹。こいつは元々、私と東京に来たメンバーの1人だ。埼玉でも2番目の成果を出したんだ。妥当な人選だろう。
「返事は”はい”って言っただろ…」
「はーい!」
お調子者なのが玉に傷だが、実力は本物だ。
「折り返しだな。六隊隊長!十露 雪!」
「はい!」
「続けて隊長、頼みますね」
「お任せください!霞様!!」
よしよし、リハ通りだ。少しむず痒い。
「七隊隊長!四奏 霰!」
「はいっ!!」
そういえば、今回の隊長たちで最年少だな。こいつは精神が未熟ゆえ、この位置だ。
「隊長の中で、お前が最年少だ。精一杯やってくれ」
「はい!!」
子どもたちも大いに盛り上がりを見せる。これで火付けはうまく行ったかな。
「八隊隊長!億長 枯凩!」
「はい!!」
億長 枯凩。こいつは、雪さんからの推薦だ。どっかで見たことあると思ったら、深谷で見張りしてた女の子だった。雪さん曰く、”私の何倍も強い”らしい。少し手合わせしたが、戦いの基礎がしっかりしている。雷雨や霙より、よっぽどだ。経験だけでなく、理論で戦っていける戦闘者だった。
「あんまり気負うな。精一杯でこれから頑張ってくれ」
「はっ、はい!!」
今までの隊長にはいないタイプだ。きっと活躍するだろう。
「九隊隊長!九十九 霙!」
「はいっ!」
「頑張ってね」
「それだけー?まぁいいや」
観客は笑ってくれている。こういう温かい感じはやっぱり好きだ。硬い感じより、よっぽどいい。
「そして最後だ。十五隊隊長!六城 雷雨!」
「はい!!」
「雷雨が十五隊隊長である理由は、この後説明する」
と、私はマイクに向かって言う。
「ということで頑張ってね」
「もちろん!」
「これにて任命式は終了だ。この後は休憩を挟んでとある企画を行う。楽しみにしていてくれ」
そう言って私は、控室へ戻るのだった。
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「うぃーみんなどうだった?」
「疲れたー」
「緊張したー」
「楽しかった!!」
私は一足先に控室に戻ってきた隊長たちに声をかける。他者多様の回答だった。”楽しかった”の声だけめっちゃ大きかったけど。
「みんな準備はいいか?」
「「「「もちろん!」」」」
「じゃ、行くぞ。ランク戦の開幕だ!!」
「うぉーい!みんな聞けぇ!」
観客たちは一斉にこっちへ振り向く。
「私はここに、”ランク戦”の開幕を宣言するッ!!ということで、雷雨。説明よろしく」
「説明の六城 雷雨です。ここで行うランク戦の名称は、”勲級戦”と”部隊戦”の2種類です。内容は、勲級戦が個人のランク戦です。1年に1度行われる大会への出場権や、ランクに見合ったお金を手に入れることができます。さらには部隊へのスカウトもあるかもしれないです。このランク戦は部隊に参加していても、参加していなくても、参戦することができます。続いて、部隊戦は名の通り、十四部隊のトップを決めるランク戦です。3年に1度行われる”入れ替え戦”の挑戦権を得ることができます。個人成績が良ければ、隊長の座を得られることも。私達十五隊はこのランク戦には参戦しません。私達は、”選抜試練”と称して、このランク戦への参戦権や、開始ランクの選定をします。細かい概要は後に、情報誌に掲載しますので、ご一読ください。今日行われるのは、開幕戦という名のエキシビションです。十五隊は審判に回ります。十分にお楽しみください」
説明が、終わると観客のボルテージは最高潮に。
「よっしゃあ!!開幕戦の始まりだぁ!!!」
《千洞 嵐》:16歳。仲間を大切にし、実力もある。能力は”土石錬成”【能力ランク:B】
※申し訳ない!間に合わないので、本日は1本です。明日の12時に3本上げる予定です。