XIII 新たな幹部陣
報酬の振り分けが終わったようだ。
「よし、みんなご苦労様。今から報酬の分配を伝えてくね。まずは二隊から。一隊は今回、埼玉行ってないからまた別でね」
そうやって私は、分けていく。
「今回獲った量多かったのは五隊だから、五隊の隊長は後で私のとこ来てねー」
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トントントン・・・
「どーぞ」
「失礼します。五隊隊長の五重 晴です」
「うぃー。今回はよく頑張ってくれたね。さっきのとは別で、うちの国の幹部役やらない?」
「幹部ですか…?」
「うん。私直属の部隊の隊長とか、他の役もあるけど。会議に出てもらったり、金も今の4倍以上出るよ」
「今の、4倍…」
「税金とか今のところないから、自由にしてくれて構わないよ。でも、五隊の子たちは置いてくることになるかな」
「…一度、部隊に持ち帰らせてもらえませんか?」
「うん。それこそ隊長だ。即決したら、隊長はやめてもらってたよ。試すようなことして、悪かったな」
「いえ、では」
そう言って、晴は部屋を出ていった。
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「あの、霞様」
「おっ、2日も考えて決まったか?そして、答えはどっちだ?」
「はい。部隊のみんなと話し合って、今回のお話を受けることにしました」
「いいねー。あ、いい忘れてた。今度再編成やるから、お前もっかい隊長な?」
「えっ?」
「嫌か?無理強いはしないが」
「いえいえいえ!そのおっしゃってるいみがよくわからないんです」
「いやー、うちの国の上に立てるやつを探したくてな。部隊のみんなとはなれる”決断力”。2週間も共に戦ったんだ。少なからず、情は湧くだろう。自分で戦っていける”武力”。有能な戦闘者が一番領土を取ってくると考えてたんだ。騙すようなことして悪かったな」
そうして私は、頭を下げる。
「いえいえ!頭を上げてください!国のトップとして、その考え方は至極当然だと思います」
「そう言ってもらえると嬉しいな。晴、お前何歳なんだ?」
「へ?19です」
「先輩だったかぁ…」
私は手で額をおさえる。
「気にしないでください。今の時代、年齢など関係ありません。自分のほうが立場は下です。これからもよろしくお願いします」
こいつはいいやつだな。
「なぁ、一緒に国を引っ張ってくんだ。敬語はなしにしよう」
「そう、、だな。これからよろしく!霞!」
「こちらこそ!晴!」
私達は友情の証に、がっちり肩を組むのだった。
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「おーい、雷雨、霙、雲ー」
「霞ちゃーん」
「霞?」
「霞様?」
「どうした?その男」
「あー、こいつ?新しい私の友達。五隊の隊長、五重 晴」
「はじめまして。五重 晴と申します」
なんかめっちゃ、雷雨が敵意向けてんだけど。仲良くしろよ…。
「霞…。なんかあの子、めっちゃこっち睨んでくるんだが、」
「後で言っとくから、今は気にしないでくれ」
「わかった」
「して、4人とも。私は仕事したくないから、これからも幹部を増やすつもり。元の世界で言うところの内閣みたいなものだね」
「サボるなよー。霞」
「まぁまぁ聞きなさいな霙さんや。もしよ?私が疲れて、戦えなかったらどうすんだい?最後の砦ぞ?私。だから、休んで英気を養っとくのがいいに決まってるんです」
「言い訳ばっか考えてないで仕事しなさい」
コツッ・・
「はーい…」
(叱られたし、げんこついたぁい…。私トップなのにぃ)
「で、そこの男も幹部にするの?霞ちゃん」
「うん。晴には、部隊の総隊長を任せようと思ってる」
そう言うと、雷雨の体からは敵意が消えた。どーなってんだ…?
「俺が総隊長?」
「あぁ。現場の指揮は隊長とお前に任せようかなって。私、単独行動したいし」
「そっ、そうか…」
「霞様、私達がここに集められた理由は何だったのですか?」
「んとね、一つは晴の紹介。もう一つは本拠地東京に移して、後で隊長の任命式と、部隊の編成式やるから来てねって話」
「「えぇ!?」」
霙と雲はめちゃくちゃ驚いている。雷雨に関しては呆れているようだ。
「まぁまぁ、私に任せなさい」
そう言って私は、準備を始めるのだった。
《五重 晴》:19歳。熱血漢チックな男の子。素の実力は高いらしい。能力は”怪力”。【能力ランク:B】