Ⅻ 東京プチ旅行
「うぃー。霞さん大復かーつ!」
あの戦いから5日。私の怪我は完治していた。天使の力ってすごい。あのミイラ姿から、3日しか経ってないからな。周りのみんなも、この回復力に心底驚いている様子。驚きのあまり、開いた口が塞がらない者もいる。
「あの”ミイラ霞”とか言ってたやつには、お仕置きしないといけないが、今はそれどころじゃないな」
「おーい、雷雨ー。東京の部隊は大丈夫か?」
「うん。この前副隊長に会ってきたけど、特に問題なしだって。東京の復興も、もう少しで終わるみたい。まぁ、私の隊長なんて、あってないようなもんだから」
「流石東京、人が多いと復興早いな。そろそろ正式に隊を組みたくなってきたなぁ」
「埼玉終わってからでしょー。まぁもう、東京に帰ってそうだけど」
「よーし、東京行くかぁ!雷雨、よろしく」
「最近、私召し使いみたいだね。私の能力、テレポートじゃないんだよ?今度、特訓付き合ってもらうから」
文句を言いながらも、お願いを聞いてくれる。特訓くらい安いものだ。
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「おーい。帰ってきたぞー」
私達は、渋谷区に着く。千代田区に向かっていた最中だったのだが、人が多かったので少し寄ることにした。
「霞様!大怪我で動けないと噂を聞きましたけど…」
「もう死にそうだったとか」
誰だよ、その噂広めたやつ…。
「んー?この通り、私は大丈夫だよん。みんな安心したところで、この町のことよろしくね」
「はぁいっ!」
「任せとけ!」
「じゃ、行くとこあるから、また今度ねー」
そして、私達は今度こそ、千代田区へ向かうのだった。
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「うぃーす。みんなおかえりー」
「「「霞様!?」」」
「霞様!この度は私の部隊がご迷惑をおかけして、申し訳ありません。処罰は私が受けますので、みんなと隊長はどうか…」
と言って、二隊の副隊長が土下座する。
「ちょちょ、立って立って。そんなことしないし、みんなはよく戦ったよ。私はもう治ったし、大丈夫。他のやられちゃった子は大丈夫?」
私の発言で、みんなが少し引いている。えっ?一応私、この国のトップだよね?にしても、良い副隊長を持ったな。百白は。
「ご報告しますと、一応全員一命は取り留めました。ただ、部隊を”抜ける”と言っている者もおり、最終的に半数程度にはなってしまいそうです…」
「それはしょうがないな。認めるしかない。まぁ、今度正式に編成するから、このことは後で。とりあえず、雷雨の部隊に戦果の報告よろしく。報酬の分配とか、決めないといけないから」
「うぉぉおおおーー!!報酬!!」
「やっぱり、霞様とのデート券!?」
気にしない…気にしない…。
「じゃー、一隊の子たち。あとはよろしく」
「「「承知しました」」」
「雷雨はいなくていいの?」
「これも副隊長に任せてあるから大丈夫。今は、霞ちゃんがすぐどっか行っちゃうほうが心配だよ」
(そういえば、この前の埼玉の件は雷雨に何も言わずに行っちゃったもんなぁ)
「じゃあ、一緒に東京周ろっか」
「うんっ!」
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「昔ほどキラキラはしてないけど、高そうな店ばっかだなー」
「ここが…、銀座…!」
私達は今、中央区の銀座通りを歩いている最中だ。隣では、雷雨が目を輝かせて、キョロキョロしている。
「雷雨、もしかしてあんまり東京来たことない?」
雷雨は顔を赤くして、
「そうだよ!悪い?!」
「いや、悪くないよ。フフフッ…」
「あー!!今、田舎者って思ったでしょ!!絶対思ったでしょー!」
「東京行ったことないだけで、海外は結構あるんだからっ!」
「そうなの?初耳だな。どこ行ったの?」
「アメリカでしょー、カナダでしょー、アルゼンチンでしょ、ブラジルに、チリ、後はグリーンランドとか」
「随分東側だね」
「うん。お父さんが仕事でそっち方面ばっかり行ってて。だから、旅行って感じはあんまりなかったかも」
「そっかぁ」
「あ、東京にカジノとか作らない?私、カジノ行きたかったんだー」
「おっ、いいね。それ」
(ギャンブルの英才教育でも施されたのかな…?他の娯楽も一緒に作らないとな)
私は、各地に顔を出すがてら、考え事をするのだった。