Ⅺ ミイラ霞
帰ってきた途端、倒れてしまった霞。
「んっ…、んぅ…」
「あっ、良かったぁ…。目が覚めたぁ」
「ん?おっ、雷雨か。って、なんじゃこりゃー!!」
「もう、暴れないの。霞ちゃん大怪我だったんだから。2日起きなかったんだよ?死んじゃうかと思ったよ」
「ありゃ、そんなに…寝てたの。申し訳ないことしたなぁ。はっ、百白は?」
「大丈夫。怪我は大した事ないし、今は元気だよ。それより、自分の心配!」
「はーい…」
「でも、なんでこんなぐるぐる巻き?これじゃ、ミイラじゃん」
「覚えてないの?頭は割れてるし、全身血だらけで、骨は折れてる。お医者さんが言うには、生きてるほうがおかしいって。ミイラなのは血が止まらないからだよ」
「でも、もう血出てないよ?」
体を見てみれば、数ヶ所血が滲んでいるだけで、別に大したことはない。
「霞ちゃんタフすぎ…。じゃ、包帯取ろっか」
と、雷雨が私に触れた途端、全身に激痛が走る。
「ちょ、痛い!いたぁい!」
「ごっ、ごめん。骨は治ってないのかな。包帯、もう少しこのままだね」
(´・ω・`)
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「うおっ!?霞様、大丈夫なんですか!?」
「ミイラ霞ー」
私は今、雷雨に車椅子を押してもらいながら、町に出ている。みんなには心配かけたし、顔出しとかないとな。
「心配かけてごめんな。私は大丈夫。痛ててっ…」
「あーあー、無理しないの。また怪我しても知らないよ?」
「ごめんなさい…」
みんな私が無事だとわかると、安心したようだ。ミイラ霞って言ってたやつは覚えとけ…。
「おーい、霙。雲ー」
「ちょ!?リーダー!?」
「霞様!?動いていいんですか!?」
「医者からは安静って言われたけど、トップが顔出さないわけにもいかんだろ」
「だとしても、そんなに無理しなくても…」
「そうですよ。あまり無理せずに」
「ありがとな、2人とも。私の心配はとりあえず置いといて、周りの状況は?」
「そんなの後で良くない?流石リーダーって感じ」
「ですね」
あれ?私呆れられてる?まぁいっか。
「栃木は無事、全部獲れたね。雲、大活躍だよ。とりあえず、都市圏だけ残して、あとは農作地って感じ。食料は基本、これで賄えるね。栃木はコメの生産量全国9位だったしね。茨城も獲れたら心配いらないんだけどね。まだもう少し先かな。群馬はもうちょっと掛かりそう。みんなよく働いてくれて、前橋以外、全部行っちゃったんだよね。居住区を太田に移したんだけど、十万人位いるね。今」
「そっか。みんなよく頑張ってくれてるな。後で、報酬あるから待ってて。私が回復するまで、待ってもらっちゃうことになるけど」
「貰えるものはもらっておくスタイル。それが霙スタイルです」
「私は別に…。私より、みんなにたくさん上げてください」
「あはは。考えとくよ」
報告を受け取った私は、2人のもとから、立ち去るのだった。
「じゃー、次は百白のとこだね」
「はいはい。行きますよー」
◎●◎●◎●◎●◎●◎
「おーい、百白ー」
「霞様!?どうされましたその格好!?」
「これ言われるの何回目?雷雨」
「10回目くらいじゃない?そんな格好してれば言われて当然だよ」
「それもそーかー」
「で、調子はどう?」
「あ、はい。もうそんなに動きに支障はないです。というか、霞様のほうが心配です…」
「私は別に平気だよ。ほら」
私は腕を回す。
「いっったぁぁあ!!」
「学ばないなぁ…。だから大人しくしとけばよかったのに」
「全然元気じゃなさそう…」
「私の心配はいいの!して、百白。埼玉攻略の件は、副隊長に任せてあるから。今は十分休みな。復帰は終わってからでいいから」
「はい…」
「心配すんな。ちゃんと、頑張った分の報酬はあるから。」
「えっ?私なんてそんな…」
「いや、お前は頑張ったさ。今後も私の為に力、貸してくれな」
「…はいっ!」
私はそんな話をして、部屋を出るのだった。
「全身が痛いー!!!」
「はぁ…やっぱり。無理するからだよ。ほら、部屋戻るよー」
「うん…」
私は半泣きになりながら部屋へと戻った。
新人物が登場するまで、2周目のプロフ紹介となります。
《七緒 霞》:17歳。最近、天使の能力の第2段階に至った、無理しがちな女の子。【能力ランク:X】