Ⅰ Eランクと契約
2624年、11/11 世界の秩序が突然崩壊することになった。後にこの日は、「運命の日」と呼ばれることとなる。
2624年、11/9 私は行きたくもない学園へと、今日も今日とて足を運ぶ。うちにはお金がないから仕方ない。
「うわ、今日も来たぞこいつ。恥ずかしくないのか?」
「Eランクの最弱なんだから来るなよな。」
見下されるのにはもう慣れた。実力主義の学園であるから仕方がない。普通は死にかけまで痛めつけられるらしい。そして学校に来なくなる。私がこのくらいで済んでいるのは奇跡に近い。まだ、このクラスメイト達は優しい方なのだ。すると、私の体をえもいわれぬ違和感が襲う。
突如、私の頭に聞いたことのない声がする。
「人の子よ…この手を取れ…!」
と声がした瞬間、私は気を失った。
気がつくと、そこは見知らぬ世界だった。
「目が覚めたか。まさかこの程度で気を失ってしまうとは…。申し訳ない」
今、私の目の前にいる女性は羽を纏い、頭の上に輪っかを付けた、天使のような人だった。
「あなたは誰!?」
ただならぬ危険を感じ、思わず叫んでしまう。
「そんなに警戒しないで。私はミカエル。天使で2番目に偉い人です」
は?本物の天使?そんなのいるわけ…
「嘘をついても無駄よ!ここはどこ!?」
「いやいや、嘘じゃないよ。頭の中で声がしたでしょう?それ私。あれ?聞こえなかった?」
本物なの??言っていることは合っているけど、天使は神話の話じゃ…。
「あなたは力が欲しい。違った?」
「な、なんで分かるの?」
「んー、可愛かったから?」
な、なんなのこの人…
「で、力が欲しいんじゃないの?」
「欲しいけど…」
「じゃあ、私と契約しよ!私と契約すればどんな人間にも負けないよ!!」
どんな人間にも負けない…
「それは本当?」
「うんっ!まぁ、あなたの努力次第だけど」
「じゃあ契約したい。どうすればいいの?」
「それはねー」
なんだか気持ち悪い顔をしている。
「あなたの体液をちょーだい」
「は?体液?」
「うん。なんでもいいからちょーだいっ!」
「キモチワルッ…」
「あーそんな事言うんだー。契約してあげないぞー?」
あまりに気持ち悪いが契約して貰えないのは困り、私は焦る。
「わかったわかった。どうすればいい?」
「じゃあ、じっとしててー。今回は血液を貰おうかな」
カプッ…
血を吸われる感覚はこんな感じなのか…。気持ち悪い…
「もういいよー。ありがとう、これで契約完了だよっ。力を使うときは代償として血液を貰うね」
「は?契約だけじゃないの?」
「もーそんな都合いいわけ無いでしょ。大丈夫、少しだけだから」
「力の使い方はざっくり言うと、血液を代償に、武器を出して戦うんだよ。能力を使うときも、血液を貰うから注意してね。あ、他の体液でもいいんだよ?例えば、だe…」
「キモッ…血液でいいわ」
「もう…しょうがないなぁ。じゃあ能力について細かく説明するけど、聞く?」
「聞く」
・・・カクカクシカジカ・・・
「これで全部だよ。今のあなただと、最初の一つの能力しか使えないからね。気をつけてね」
「なんで使えないの?」
「天使の力を大きく引き出すには代償が複数ないと行けないんだぁ」
「なに?!何がいいの?!」
「そんなに慌てても使えるようにはならないよぉ」
「どうして!」
「えっとね、天使の力を使いすぎると弱い人間はすぐ死んじゃうの。あなたは、天使の力で強くなっただけに過ぎないわけ」
「もっと強くなりたかったら、実力を上げるのを忘れないでね。そしたら、能力を使えるようになるから」
「わかった。いきなり強く言ってごめんなさい。私の名前は七緒 霞。これからよろしく。ミカエル」
「こちらこそよろしくねっ!霞ちゃん!」
そして私はまた気を失ってしまった。
2話より登場キャラクターたちの簡単なプロフィールを書いていきます。以下、構成です。
《キャラクター名》:人物紹介【能力ランク:◯】