表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の美少女  作者: ツヨシ
1/3

隣の木山さんの家に、子供ができた。

産まれたのではない。

養子を取ったそうだ。

女の子で身体が八歳にしては小柄。

そしてその上にある顔はさらに小さかった。

しかしその顔が普通ではなかった。

信じられないほどの美少女。

おまけに八歳とは思えないほどに大人びていて、小さな体に小さな顔が乗り、その顔が中学生、いや高校生くらいに見えるのだ。

そして能面のように無表情で、徹底的に無口。

一目見るだけで、見るものを釘付けにする雰囲気とオーラを漂わせていた。

木山さん夫婦が極めて平凡で地味な容貌なので、三人でいると、その対比ゆえに子供だけが目立ってしまう。

名は真矢と言う。

養護施設からとのことだが、複数いる候補からなぜあんな普通でない気配の子供をもらってきたのかと、母が言うのをしんやは聞いた。

しんやもそう思った。

真矢は次の日には小学校にやって来た。

転校生と言う形で。

学校でもあっという間に有名人となった。

ただでさえ転校生は目立つと言うのに、あの見た目では、目立つなと言う方が無理だ。

おまけにしんやのクラスだ。

自己紹介の時にその声を聞いた。

昨日、木山夫婦と一緒にあいさつに来たときは一言もしゃべらなかったが。

その声は、ほぼ大人の声だった。

一限目の従業が終わり、休み時間になる。

真矢は後ろの席で何も言わずに座っている。

無表情と言う名の表情のままで。クラスのみんなが振り返って真矢を見た。

しかし話しかけるものは誰もいなかった。


次の日に気づいた。

東にある木山さんとは反対の西にある村田さんの犬だ。

とにかくえらく大人しい犬で、三年ほど前から飼われているのだが、しんやはその犬が吠えるのを一度も聞いたことがなかった。

しかしその犬が初めて吠えたのだ。

歯をむき出して本気で。

吠えた相手は真矢だった。

真矢は犬を見たが、すぐに視線を逸らすと自分の家に入って行った。

真矢が去った後も犬は吠えていた。

しんやはそのまま帰った。

しんやが自分の部屋に入っても、犬はまだ吠えていた。


その次の日、学校から帰るとなんだか騒がしい。

聞けば村田さんの犬が、いなくなったと言う。

鎖に残っていた首輪は引きちぎられていた。

しかしあの子犬が引きちぎったとはとても思えないと言う。

しんやもそう思った。

犬と遊んだことがあるが、子犬にはふさわしくないほどに丈夫な首輪だったのだから。

村田さん夫婦は必死で犬を探していたようだが、その日犬は見つからなかった。

そしてその後も。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ