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第六話 は☆な☆せッ!

 冒険者は、かなり上下関係の激しい職種である。

 当然ながらD級から特S級まで階級がある中で上下関係が生まれないわけがない。

 今でこそ神であるかのように讃えられる特S級なのだが、B級だったころは下級ってだけで散々馬鹿にされたしこき使われた。懐かしくない思い出である。


 俺は日本にいたときから無駄な上下関係が嫌いだった。

 ほら、なんか上下関係があるってだけで不要な会話をしなければならなくなる。仕事以外の面倒な人間関係が生まれてしまうのだ。ぼっち民からすると苦痛でしかない。

 

 しかし、当時はその風習を覆すだけの実力なんてなかったし、変革するのも面倒くさかった。

 が、今は実力がある。全部ひっくり返すだけの力があるのだ。


 だから、現在の俺は上下関係そのものをぶち壊すことができる。

 コミュ障なんであーだのこうだの対話すんのがめんどくさいんで実力行使だ。


「……は、な、せッ!」


 首を締め上げられ、もがくが俺の腕はピクリとも動かない。


「な、なにが望みなんだ!?」


 ヴィシーの瞳に恐怖の色が宿ったのを見て、俺は腕の力を少し緩める。


「……うーん、こういうのに俺を巻き込まないでもらいたいだけなんだよね」


「お、お前の実力があれば貴族になれるんだぞ!?」


 俺の力を受け、彼女は俺が貴族に適格であることを判断したようだ。

 が、残念。俺はそういうのに興味が無い。


「俺は……平穏を望む。ただそれだけだ」


「それだけの力があって、何故平穏を望むんだ!?」


「それを言う必要はない」


 コミュ障だから人と話すのが怖いだけ、なんて恥ずかしくて言えねえ。

 上下関係なんて不要な会話を避けるのに邪魔なだけなんて血を吐いても言えねえ……


「わ、分かった。プルシュナ様にお前には手を出さないように、と報告しておく。それでいいだろ?」


 それを聞いて、俺は強くにらみつけた。

 魔力を放出し、大気を震わせる。

 まあ、別にこういうのは必要ってわけでもないけど、雰囲気って大切でしょ?


「何が不満なんだ!?それに、なんだこの膨大な魔力は!?」


 大気を震わす膨大な魔力に戦慄した。


「言ったぞ?俺は平穏を望むと。そのプルシュナ様とやらに報告したら殺す」


「分かった分かった。この件は黙っておくし、裏からお前には誰も手を出さないようにしておく」


「……」


 腕の力を緩め、彼女を解放する。


「お前、何だその化物じみた魔力量は?そこいらのS級冒険者とは比べ物にならねえぞ?」


「さあな」


「S級冒険者か?いや、他国の王宮魔導士のスパイか?」


「例えそうでも、お前の知る由ではない」


 その答えを聞きヴィシーはより疑問を深くした。

 しかし、流石にこれ以上追求する勇気はないようだ。


「あと、この件を他の奴に喋ったらどうなるか分かるな?」


「……分かった」


「もしも喋ったら、お前の両親諸共、虐殺する」


「……ッ!?」


 少し、服を脱ぎ、肌一面に刺さった魔道具を見せる。

 この異様な光景を見れば誰もが恐れ慄くから。


「これは、魔増具(ゲル・ブース)か?それにしても、この数は……」


「さて、お喋りは以上だ。俺は疲れたんで自室に行く。あと、この件は掘り返すなよ」


 そして、部屋から出ていく。


「ッチ!とんでもねえ化物が新入生に居たものだ」


 背後からヴィシーの舌打ちが聞こえてくる。

 まあ、俺の要求は全部通ったから別にいいけど。

 俺のぼっちライフはこうして守られたのである。

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