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第十四話 え?ちょ、なにやってんの?

 二人の王族が病室に居た。


 一人は金髪を下げ端正に整った顔を持つ少年。


 もう一人は同じく金髪のロングを下げた絶世の美貌を持つ少女。


 少女の方は無くなった筈の右腕をさすりながら、少年を睨んだ。


「なによ?」


「なによ、って。普通に見舞いですけど」


 そう言って、少年は薔薇の花束を見せた。


「薔薇って……そういうのってお祝い事とか求婚の際に渡すもんでしょ……センスなさすぎ。それだからいつまでたっても鼻たれ小僧なのよ」


 ハア、と呆れたようにため息をついた。


「いや……姉さまがそんな姿になって、どこに喜ばない輩が居ようものか。言わばざまぁ、ってヤツです」


「ぶっ殺すわよ?」


 ギロリ、と強く睨む。


「……」


「……」


 話すことが無くなったのか、両者は互いに黙り込む。

 長らく、まともに話すことなんて無かったため、どちらもこういう時に何を話せばいいのか分からないのだ。


「まあ、姉さんが無事で良かったとは思ってますけど」


「全く嬉しくない言葉ね」


「本心でそう思ってますよ。女子寮が爆発した時、一番に思い浮かんだのが姉さんでした」


「奇遇ね、私もよ。あの銀髪クソマスクに腕を切られた時に思い浮かんだのは、あなただったわ」


「そう言えば、腕切られてましたね。元気そうなので忘れてました。確か、無様にあの男に負けたんでしたっけ?」


「失礼ね」


 バチバチ、と二人の視線がぶつかる。


「やっぱり、私にとっての原点は姉さんだと思います。幼少期、あれだけボコボコにされていなければ剣術の一つも習得しようとは思っていなかったですし」


 すると、諦めたかのように少年は話し始めた。


「まあ、悪かったとは思ってるわ。けど、私にとっての原点もあなたよ。まだ幼かったころ、一切理解できない魔導書を一目で理解したあなたに当時の私は嫉妬したわ。だからこそ、私はそんなあなたに負けまいと思って努力した」


「それ、自分で言うんですね」


「ええ、自分で言わなきゃならないわ。何故なら、言わなきゃ私自身を否定することになるしね」


 少女は、どこか達観したかのように窓の外を眺めた。

 両者の距離は縮まりつつあった。


「さらに、私の原点から、その決意をさらに固めさせてくれたあの人にもう一回出会えたのは僥倖だったわ。ヴィシーたちが戦っているのはうっすらと覚えているけど、その中にあの人が現れたのはハッキリと覚えている。お陰で、覚悟がより固まったわ」


「あの人?」


「知らなくてもいいわ。こっちの話」


「あっそ」


 すると、少女は身を乗り出し、突然少年の胸倉を掴んだ。


「だから、覚えておいて。私は絶対にあなたには負けないわ」


 そして、ベッドの中に引きずり込み、馬乗りになった。

 少年はチラチラと当たる少女の髪をくすぐったく感じた。


「へえ、ライバル宣言ですか。まあ、受けて立ちますよ」


 再び両者の視線は激しくぶつかる。


 と、その時病室の扉が開いた。


「ブレストー。おーい、どこにいるー?例のアレ、出来たんだけ──」


 扉を開けた銀髪の少女、エパンジェは少年と目が合った。


「は、あ?え?これ、どういう状況?」

 

 少女が、少年の上に馬乗りになるという異常な事態に戸惑う。


 が、すぐさま理解した。


 ああ、これは、アレだ。

 所謂禁断の恋と呼ばれるものだ、と。


「はい。すいませんでした。完全にそうですね。ありがとうございました」


 そう言って病室から出て行った。


「「タイミング悪……」」


 両者同時に言葉を溢した。

 そして、二人とも深い深いため息をつくのであった。

お読みいただきありがとうございました。

本日より第二章が連載して参ります。


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