表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/194

無双と夢想編 その7、しぶとい主人公

ア「え・・・・あぁ・・・」

セ「終わりましたね」

セバスチャンはアリアを解放し、玉座に着いた。

アリアは脱力してしまい、その場に座り込んだ。

マ「あ~あ、虚しい終わり方だなぁ~」

マックが高雅の頭を蹴り飛ばして、テレビの前に座った。

その頭はアリアの前で止まり、アリアは自然と目が行ってしまった。

ア「嘘・・・ねぇ、嘘だよね、コウガ?。また創造の分身だよね?」

そして、その頭に問いかけてみる。

震えながら、それでも平然にと意識を掛けながら。

オ「どこにそんな余裕があったって言うのよ?。現実を見なさい」

セ「残念ですが、本物のコウガ様の頭でございます」

ア「嘘よ。いつものようにひょっこり現れるはずよ」

セ「諦めが悪いですね」

オ「精一杯の現実逃避でしょう」

アリアは高雅の頭を抱え、ショックで涙も出なかった。

と言うより、現実を受け入れきれてなかった。

セ「取りあえず、このまま三日間放置しましょう。最も、勝手に死ぬと思いますが」

セバスチャンはアリアの足下の空間を歪め、アリアをどこかに落とした。

その時、光のエクスも追いかけるように空間へ入った。

セ「さて、後は勝手に追いかけるように自殺でもするでしょう。後は女王の心臓を取り、セイクリッドへ行きましょうか」

そう言って古文書を取り出し、ページを捲っていく。

セ「・・・おや?」

オ「?、どうしました?」

セ「いえ、私の古文書ではないのです」

オ「なら、もう一つの方では?」

セ「それが見当たりませんのです」

オ「・・・・まさか、あの女!!。捕まってる時に!!」

セ「・・・これはまずいですね」

余裕を見せているセバスチャンが焦り始めた。

最も、焦っても顔色一つ変えてないが。

マ「自殺と一緒に燃やされる。そう言うオチですね」

そこに、縁起でもない事を言うマック。

オ「分かってるなら早く行くわよ!!。セバス様、空間を開いてください」

セ「すみません。どうやら、追いかけられないように破壊や静寂など、様々な力で妨害がされてます」

オ「も~、あの女、次に会ったら殺してやる!!」

マ「会えるか分からないがな」

セ「取りあえず、現世に行き、コウガ様の家に向かうのです」

オリアとマックは返事もせずに、すぐに宮殿を出た。

しかし、エクスだけは動かなかった。

セ「あなたも行くのですよ、エクス」

エ「・・・・・・」

エクスも同様に返事をせず、人形のように無表情で宮殿を出た。

セ「さて、こちらもこちらで心臓を抜きますか」

そして、セバスチャンはフィーラの心臓を抜きに掛かった。









アリアは茫然とソファーに座っていた。

誰もいない静寂に包まれたリビングで一人寂しく。

もう、目には光が灯って無い。

虚空を見て、まるで死んでいるかのような状態だった。

ア「・・・・いいや・・もう・・・・」

すると、アリアは立ち上がり、キッチンへ向かう。

そこにあった包丁を手にして反射して映った自分を見る。

見れば見るほどむなしい瞳が自分を睨みつけているだけだ。

ア「私・・・生きる事・・・やめよう・・・」

そう言って自分の首に包丁の先を突き付ける。

少しだけ首に刺さり、血が包丁を辿って滴り落ちていった。

ア「フィーラちゃんはもう殺されるし、レオ君もいない。大好きだったセバスチャンはもういないし・・・」

そして、最後の言葉を言おうとした瞬間、頬に温度差を感じた。

紛れもない、涙だ。

だが、今のアリアはそんなことは分からない。

ただ・・・


ア「なにより・・・・コウガがいないよ・・・ぐす・・」


ただ、好きだった人の心残りだけがアリアを支配していた。

ア「コウガ・・・私も・・・逝くね・・」

そして、包丁に力を込め、首に刺していく。

エ「やめろ、アリア君!!」

ア「・・・エクス・・・」

エクスに言われ、アリアは目だけをエクスに向けた。

ア「ごめんね・・・私、もう無理・・・辛いよ・・・」

泣きながら言い、エクスは何も言う事が出来なくなってしまった。

ア「エクス・・・じゃあね・・・」

エ「あ・・・あr「アリア!!!!」」

ア「ッ!?」

突然聞こえた怒鳴り声。

アリアは驚き、ついつい手を止めた。

しかし、アリアが驚いたのは怒鳴り声ではなく、その声色だった。

ア「・・・・こ・・・・が・・・?」

アリアが見た先には、エクスの他にもう一つ光が漂っていた。

そして、その光には覚えのある感覚があった。

高「おいおい、なに勝手に人の調理道具で死のうとしてんだゴラ!!」

ア「え・・・あ・・これは・・・」

高「包丁は料理に使うもので自殺に使うものじゃねえ!!。そんなんも分からねえのか!?」

ア「えと・・・その・・・・」

高「謝罪しろ」

ア「・・・・ごめんなさい・・・」

アリアは圧倒され、頭を下げた。

しかし、すぐに頭を上げ、目を丸くして驚いた。

ア「・・・って、コウガ!?」

高「俺以外に誰の声だ?」

ア「コウガ・・・ほんとにコウガだ・・・」

高「んまぁ、体は無いけど、エクスに魂だけ抜かせてもらったんだ。体は再生すれば何とかなるみたいだから。それにしても、魂を実体化するのって難しいなぁ」

そう笑いながらサラッと言う。

その態度にアリアは自然と怒りに芽生え始めていた。

ア「・・バカ・・・」

高「ゑ?」

ア「バカ!!。どれだけ私が苦しかったと思ってるの!?」

高「ちょ!?、悪かったって。あの状況で暴走してしまったのは謝るから」

ア「いいや、それだけじゃ許さない!!。そんなもので許される訳がないよ!!」

高「マジで悪かったって。本当に反省してるからさ、許してくれよ?」

ア「ダーメ!!」

高「え~・・・」

いつの間にか立場逆転しており、その光景を呆れながらエクスは眺めていた。

しかし、呆れながらも、どこか驚いていたりしていた。

エ(コウガ君は凄いな。あの死人の様なアリア君をすぐに戻すとは)

高「悪かったって。今度、一つだけ言うこと聞いてやるから」

ア「それって本当?」

高「俺の出来る範囲なら何でも」

ア「・・・じゃあ、許す」

高「ふぅ」

エ「終わったようだな」

やっと落ち着いた二人のやり取りの間に入り、本題に切り替えるエクス。

エ「まずは、アリア君。もう一人紹介しよう」

ア「もう一人?」

すると、壁をすり抜けてまた光が現れた。

今度は少しピンク色に光を放っていた。

フ「アリア様、ボクです」

ア「その声・・・フィーラちゃん?」

フ「はいです。さっきのやり取りは聞いてましたです」

ア「え・・・あ・あ・・」

高「・・・・・」

アリアはしどろもどろに動き、高雅は黙り込んでいた。

エ「ゴホン。それで、これからどうするのだい?」

高「まぁ、俺の体を取りに行って、あいつの古文書でも奪うか」

ア「あ゛っ!!」

突然、アリアが何かを思い出したかの様に庭に飛び出した。

高雅達もその後を追うと、黒焦げに焦げた跡があった。

ア「あちゃ~、もう燃えちゃった」

高「何、焼いたんだ?」

ア「私ね、セバスチャンに捕まっている時に古文書をったの。それを焼いちゃって・・・」

高「中は見たのか?」

ア「・・・・・全然」

高「おい」

高雅が呆れてため息を零す。

再生しようにも、既に灰は風で飛んで行き、再生不可能となっていた。

エ「しかし、意外と良いかもしれない。古文書が無ければセイクリッドの行き方が分からないはずだ」

エクスがアリアをフォローするが、高雅が一瞬で崩した。

高「内容が頭の中に入っていたら無意味だろ」

エ「それもそうだ」

ア「ごめんなさい」

アリアはもう謝るしかないと思い、頭を下げた。

高「過ぎた事はしょうがねえよ。これからを考えようぜ」

しかし、高雅はさっきとは全く別で怒らなかった。

高「取りあえず、俺の体を取りに行かねえとな。真の契約が出来なきゃ、きっとセバスチャンには勝てない」

エ「確かに、難しいだろう。しかし、体を取りに行くには、また向こうに行かなくては」

ア「けど・・・私、ここに来るときに静寂や破壊やらで来れないようにしてるから」

高「ふ~ん」

アリアが申し訳なさそうに言ったが、特に問題があるような言い方ではなかった。

そんな態度にアリアは不思議そうな顔をしていた。

高「で?」

ア「・・・え」

高「他には無いのか?」

ア「え・・あ・・・うん」

高「じゃあ、問題無いな」

エ「何か秘策でもあるのか?」

高「秘策までいかないが方法はある。その為に、まずはあいつを探そう」

ア「あいつって?」

高「お前も良く知ってる奴だ。とにかく、探せば何とかな・・・・」

高雅の言葉が中途半端に終わり、無言になる。

アリアがどうしたか聞こうとした瞬間、高雅の口が開いた。

高「避けろ!!」

ア「え!?」

それは、さっきの話とは全く別の言葉だった。

お陰で反応が遅れ、アリアは空からの奇襲を受けてしまった。

ア「あぐっ」

高「アリア!?」

高雅が心配そうに近づき、アリアの傷を見る。

ギリギリで反応出来たのか、傷は浅かった。

オ「ちょっと、死んでないじゃない!!」

マ「いやぁ~、それ程でも~」

オ「褒めてる訳ないでしょ!!!!」

空で漫才をしているのは、セバスチャンに従うあの二人だった。

そのわきにはエクスの姿もあった。

オ「ところであんた達、セバス様の古文書はどこにあるの?」

高「んなもん、焼いてアリアが喰った」

ア「ちょ・・喰ってはないよ!!」

オ「ふ~ん・・・・ってええ!?」

マ「反応おせぇ~」

オ「うるさい!!。あんたは黙って!!」

オリアはマックの頭を一発殴り、黙らせた。

すると、マックはエクスにすがり寄って来た。

マ「お~いおいおい、エクスぅ~、オリアが虐めるよ~」

エ「・・・・・・・」

嘘泣きをしながらエクスに抱きつくが、全くの無反応だった。

むしろ、反応したのはオリアの方だった。

オ「あんた・・・うざい!!」

何故か自然と矛先がマックの方に向いていた。

そして、敵同士のドンパチが始まった。

その光景を哀れな人を見る目で高雅は見ていた。

最も、目なんて付いてないが。

高「あいつら、漫才しに来ただけか?」

フ「それより、どうして現世ここにいるです?。アリア様が来れないようにしたって・・・」

高「どうせ、アリアの力がいき通って無い所から来たんだろ。わざわざご苦労な事だ」

エ「それよりも、これはチャンスだ。今の内に逃げよう」

高「だな。アリア、行けるか?」

ア「うん。かすっただけだから」

アリアは速度の力を溜め、この場から離れる準備をした。

フ「でも、ボクらはどうするです?。アリア様について行けるですか?」

高「それがな、意外とついて行けるんだよ、これが」

エ「コウガ君は知らないと思うが、意外ときついんだ。まぁ、やってみれば分かる」

ア「それより、どこに逃げよっか?」

高「そんなもん、後ででいい。とにかく逃げろ」

ア「分かった。ちゃんと、ついて来てよ」

そう言って、アリアは地面を蹴り、この場から一瞬でいなくなった。

そんなことに気付かず、オリアとマックは殺し合いをしていた。

気付いたのは、数十分後であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ