無双と夢想編 その6、全ては仕組まれていた
高「んな!?」
突然、目の前にセバスチャンが現れ、高雅は驚いた。
最も、現れたのは高雅の方だが。
高「な・・・何でセバスが!?」
セ「驚くのも無理はありません。念には念を重ねて、コウガ様が戻って来るときに、ここに来るように仕込んでありましたので」
ア「どう言うこと!?」
アリアが意味を問うが、セバスチャンは笑うだけで答えはしなかった。
マ「あんな~、自分の過去送りの能力から脱出しても邪魔されないよーに、ここに出るようにしたんだ~」
高「何!?」
オ「つまり、あんたは格好の的なのよ」
ア「そんな・・・」
高「意味が分からねえ。帰るぞ」
高雅は空間の力を使おうとした。
高「・・・あれ?」
セ「無駄ですよ。足下をご覧ください」
言われた通り足下を見ると謎の魔法陣みたいのが描かれていた。
そして、丁度その中央に立っていた。
高「何だこれ!?」
マ「絶の陣で~す。すげーだろぉ」
ア「ぜ・・・絶の陣!?。そんなの使える訳ないよ!!」
高「今すぐ説明しろ」
ア「えっと、力を封じ込めてその中に閉じ込める拷問に使われる陣で、もうずっと昔に使える人がいなくなったはずなのに・・・」
オ「そんなんも分からないの?。ダッサ~い」
オリアが嘲笑う。
それを見た高雅は特に突っかかる訳もなく適当に流した。
高「うざいブスだな」
オ「な・・何ですってーー!!!!」
マ「うっひゃー、キレちゃったぞー」
高雅の挑発に乗ったオリアは殺気を放ちながら周りの空間に罅を入れ始めた。
そのまま首だけをセバスチャンの方へ向け、血走った眼でセバスチャンに聞いた。
オ「セバス様!!、こいつを殺させて!!」
セ「落ち着きなさい。殺すのは容易いですことですが、普通に殺してはつまらないでしょう」
高「何が簡単だ?。返り討ちにしてやる」
マ「うわ~、身の程知らずのバカはっけ~ん」
高「んだと!?」
マ「だってそーじゃん。今、お前は何もできない木偶の棒じゃん。なのに出しゃばるなんて死にたがり君じゃん」
高「はんっ。こんな意味不明な陣など、すぐに出てやる」
そう言って、高雅は普通に陣から出ようとした。
しかし、見えない壁に当たり、出られなかった。
殴ったり蹴ったりしたが、全く持って破壊できなかった。
高「ちっ」
マ「うへ~、あれほど言っておいて、この様とはダサいな~」
セ「取りあえず、もう一人のゲストが来るまで待ちましょう」
ア「もう一人のゲスト?」
高「・・・ッ!?」
突然、後ろから強大な殺気を感じ、反射的に振り向いた。
そこには扉が見えるだけで何もなかったが、目を放すことが出来なかった。
高「・・この殺気は・・・」
エ「・・・・」
すると、間もなくゆっくりと扉が開き、誰かが入って来た。
その者は黒いオーラが溢れ、歩くたびに床に罅を入れていた。
黒い髪の青年の様な姿だ。
そして、その者が掴んでいたのを、高雅達は驚愕して見た。
高・ア「フィーラ(ちゃん)!?」
フィーラが連れられていたのだ。
意識を持っておらず、髪を引っ張られて地面を引きずられていた。
高「テメー!!!、フィーラに何をしやがった!!??」
感情を抑えられず、睨めつけながら青年に問う。
しかし、青年は見向きをせずにセバスチャンの方へ歩くだけだった。
セ「お疲れ様です、エクス」
高・ア「え・・エクス!?」
高雅の今までの怒りは急に驚きに変わった。
そして、一度だけ光のエクスに顔を合わせた。
エ「そう、あれは僕だ。破壊の力の具現化の姿」
高「それって、楽園の使いって訳かよ!?。どうしてだ!?」
突然の高雅の驚きの叫びに、敵達は不思議そうな顔をしていた。
セ「おや、良く分かりましたね。彼は破壊の力の具現化した姿。そして、王であります」
高「今度はキングかよ・・・」
セ「しかし、既に心臓は取っており、抜け殻同然ですが、私の力で動けるようにはしています。では、そろそろ教えて差し上げても良い頃合いでしょう」
セバスチャンは目の前に空間を歪め、手を入れるとフィーラの目の前に現れ、フィーラを掴むとそのまま引っ張り、自分の手中に収めた。
セ「コウガ様もこの言葉は知っていますでしょう。セイクリッドと言うのを」
高「それって・・あのハゲが喋ってた奴か。それが何だよ」
セ「私とウルザスは旧友でして、彼と私で色々と天界について調べ回ったものです」
ア「セバスチャンとウルザスが知り合いだったなんて」
セ「そして、共に調べましたよ。セイクリッドへの行き方を」
そう言って、どこからともなく古びた謎の本を見せびらかした。
セ「しかし、彼には勿体無いものでしたから、利用させてもらいましたが。もちろん、コウガ様も利用の一つでございます」
高「全く持って話の筋が掴めないんだが」
セ「では、分かりやすく説明して差し上げましょう」
すると、セバスチャンはもう一つ古びた謎の本を取りだした。
ア「同じのが二冊?」
セ「これは全くの嘘の古文書です。私の考えた適当な事を書いたものです。これをウルザスに渡し、楽園の心臓集めをさせたのです」
高「旧友を騙すとは、最低な奴だな」
セ「セイクリッドに行く為なら仕様がありません。しかし、彼は私に分からない所に楽園の心臓を隠したのです」
高「ふ~ん」
セ「彼に何度も言おうが場所は教えてもらえず、楽園の心臓を一人占めしたのです」
ア「裏目に出たってわけね」
セ「ですから、コウガ様、あなたを鍛え上げてウルザスから楽園の心臓を取って来て欲しかったのです」
高「俺を鍛える?。それはハゲを倒した後にやったじゃねえか」
セ「あれは別です。私は間接的にあなたを鍛えたのです」
ア「間接的って?」
マ「まだ気付かねーの?」
マックが床に寝ころびながらテレビのスイッチを押しながら口挟んだ。
高「テレビとかあったのかよ・・・」
マ「つーまりー、お前らはずっとセバッチャンの手の中で踊っていた訳」
ア「それって・・・」
高「今までの全部、こいつが仕組んだ訳か」
そう言ってセバスチャンに指を指す。
セ「左様でございます」
高「今まで戦って来た奴らも、戦争も、ハゲも全部こいつが絡んでるのか」
セ「そうでs「ふざけるなぁ!!!!」」
突然、高雅が怒鳴り、自分の感情を抑えられなくなっていた。
高「お前の勝手で色んな人が迷惑掛かってんだぞ!!!!」
セ「そんな事は私に関係ありません」
高「貴様ーーー!!!」
次第に高雅の感情が黒い闇に纏われ、自分を失い始めていた。
それにいち早く気付いたアリアはすぐに実体化して高雅を抑える。
ア「待って!!。落ち着いて、コウガ!!」
しかし、アリアの声など聞こえている訳もなく、高雅は纏わりつくアリアを吹き飛ばした。
ア「きゃあっ」
アリアは見えない壁に叩きつけられた。
エ「どうしたのだ、コウガ君!?」
高「うがああああああああああああ」
セ「!?」
突然、高雅が暴走を始めた。
高雅は足下に鉄拳を下すと、力を使わずに陣を破壊した。
高「貴様あああああああああああああ」
陣から出た高雅は真っ先にセバスチャンの方へ走った。
高「がっ!?」
しかし、真横から来た謎の気弾によって、壁に叩きつけられた。
撃ったのは敵のエクスだった。
高「くそがぁ!!」
吹き飛ばされてなお、高雅はすぐに立ち上がり、またセバスチャンへ駆けだした。
しかし、再びエクスに吹き飛ばされてしまう。
高「邪魔なんだよ!!」
懲りずに何度も立ち向かうが、何度も吹き飛ばされる。
敵わないと分かっても分かりたくないのだ。
オ「ずるい!!、わたくしもやる!!」
マ「何かドラマ見てるよりこっちの方が面白そうだな。セバッチャン、おk?」
セ「いいですよ」
さらに、オリアとマックも加わったが、高雅はとにかくセバスチャンを殴る為に無我夢中で走っていた。
いや、最早セバスチャンなどどうでも良く、ただ自分の腹癒せをしたかっただけかもしれない。
ア「コウガ!!、落ち着いt「アリア様は何もしないでください」あぐっ!?」
いつの間にか移動していたセバスチャンが後ろからアリアの首を締め、動きを封じた。
もちろん、力を使えないように静寂を使っている。
ア「放して!!」
セ「まぁまぁ、愛する人の死を見るのがどれだけのものか」
ア「まさか・・・やめて!!」
しかし、アリアが叫んだのは既に高雅がやられている状態だった。
高「げほっ・・・がはっ・・・」
高雅は倒れ、血を吐きながら苦しんでいた。
オ「ふんっ、セバス様を殴るなんて言語道断よ!!」
そう言って、オリアが高雅の顔を踏みつぶす。
それを見たアリアが無性に腹が立って来た。
ア「コウガの顔を踏まないで!!」
オ「何よ、ブスがあたしに命令?」
マ「ブスVSブスだな」
オ「殺す!!」
セ「いいですから、早くコウガ様を殺しなさい」
マ「お~、いえ~す」
ア「えっ!?」
セ「当然です。肝心の楽園の心臓の場所が分からなかった今、あなた達道具は不必要ですから」
すると、マックの片腕が巨大な鋏に変わった。
それを高雅の首に挟んだ。
マ「あばよ、道具。短い間だったが楽しくなかったZE」
ア「やめてええええええええええええええ」
アリアは必死に叫び、奇跡を信じ続けた。
サクッ!!
ア「あぁ・・・」
しかし、奇跡が起こる訳もなく、高雅の首は綺麗に斬れた。