無双と夢想編 その2、7の世界
天国の巨大な宮殿の中。
そして、玉座の間に彼はいた。
巨大な階段を上った先にある玉座でセバスチャンはコーヒーを呑んでいた。
マ「うい~っす!!。お役に立てんで、さーせんでしたー」
そこに、巨大な扉を軽々と開けて、何ら反省の態度を見せていないマックがやって来た。
セ「いえいえ。お役に立てなかったのはこちらですから」
相変わらずの端折っただが、セバスチャンはちゃんと理解していた。
マ「そっか。じゃあ、今の無しで」
?「何が無しよ!!。少しは反省しなさい!!」
セバスチャンの隣に座っていた女性がマックを許していなかった。
そんな女性の行動に、セバスチャンはやれやれと首を振っていた。
マ「きっびしーーー」
?「何が厳しいよ!?。結界の一つや二つぐらい壊しなさいよ!!」
セ「少し落ち着いてください、オリア。悪いのは私の方ですから」
オ「せ・・・セバス様が言うのであれば・・・///」
オリアと言われた女性は顔を真っ赤にしながら両頬に手を当て、うっとり気分になっていた。
マ「わー、差別だー」
オ「何よ!!。あんたとセバス様は天と地ほどの差があるのよ!!。弁えなさい!!」
マ「お前~、偉そうにしてながら、何もしてねえじゃねえかよ~」
オ「うるさい!!。わたくしはセバス様のティータイムを共に過ごしているのよ」
マ「働け、二ート」
オ「何ですってーーーー!!!!」
ピキ・・ピキキ・・・
オリアの怒気で周りの空間に罅が入り始めた。
凄まじい殺気を放ちながら、割れた空間から謎の無数の手を出していた。
セ「オリア、それ以上すると怒りますよ」
オ「セ・・セバス様、申し訳ありません!!」
セバスチャンに注意されたオリアは顔を青くして一瞬で空間の罅を無くし、割れた空間も再生した。
マ「助かったZE☆」
オ(こいつ、セバス様のいない所で、いつか殺してやる!!)
そんな殺人計画の対象にされているマックはダルそうに階段をゆっくり上り始めた。
マ「自分のカプチーノはあるっすか~?」
オ「ふん、これがあんたの飲み物よ。ほら!!」
そう言って、オリアはカプチーノが入ったカップを放り投げた。
カップは辺りに液体を零しながら、まっすぐマックに向かって飛んでいった。
マ「ん、どぅも」
しかし、マックの手に渡った瞬間、カップには一滴も零れていないカプチーノが入っていた。
床には液体が染みている後など、どこにもない。
マックはカプチーノを一杯口にしてからセバスチャンにある事を聞き始めた。
マ「とこっで、王と王女の公開処刑はいつするのぉ?」
セ「そうですね・・・出来る事なら、アリア様の目の前で行いたいのですが、絶縁しているとなると、また話が別になりますね」
分かっていたと思うが、ここには本来、王と王女だけが座ることのできる場所である。
なのに、執事と部外者が座っていられるのは、この者達によって王と王女が囚われているからである。
今、この宮殿はセバスチャンの手中にあるのだ。
オ「一応、死なない程度に毎日斬り刻んでますけど、もうちょっとで精神が壊れますよ」
セ「それでよろしいです。続けてください」
オ「わ・・・分かりました・・・///」
マ「んでさ~、あいつはどこだ?。まぁ、ここにいないってことは現世に派遣したって事だろうけどぉ」
セ「ええ。彼は私達の中では一番、力が強いですからね。結界破りには彼を派遣しましたよ」
オ「分かってんなら聞くんじゃないわよ!!」
マ「あぁ~、カプチーノうめぇ~」
オ「殺す!!!」
マックの完全無視の態度にオリアは再びキレ始め、第2ラウンドが開催された。
セ「やれやれ・・・」
セバスチャンは、その戦いを呆れながら見て、タイミングのいい所で割って入って止めた。
この後、この二人はセバスチャンにたっぷりと叱られたのであった。
一方、敵達御一行が行動をしている時に、高雅はここの緑淵町を探索していた。
一応、この時代の自分に見つからないよう、創ったフードをかぶって行動している。
アリアも剣のままだと人目に付く為、ブレスレットに変身している。
ア(ねえねえ、コウガ)
高(どった?)
ア(いやぁさ、どうして透明にならないんだろうって思って。透明だったら、『ここの高雅』に絶対に見つからないよね?)
高(アホか。透明だったら車は突っ込んで来るわ人間が容赦なくぶつかってくるわでデメリットが多過ぎる)
ア(そっか。成程ね)
高(そんぐらい、考えろよな)
高雅は呆れてため息を零した。
ア(むぅー・・・あっ、それとさ、もう一つ疑問に思った事だけど)
高(また、下らねえ質問じゃねえだろうな?)
ア(今度は大真面目だよ!!。マックとかいう奴の力についてだよ!!)
高(それがどった?)
ア(だって変だよ。高雅は『選別の飾り』を着けているのに、マックの力を受けたんだよ。普通、何も起きないんじゃ・・・)
アリアの言っている事は正しかった。
しかし、高雅は敵の力をわざと受けた訳ではない。
高(そんなことか・・・それは、あいつの言葉にヒントがある)
ア(えっ?)
高(お前、人の話をちゃんと聞いとけ。あいつは『力』とは言っていない。『能力』と言ったのだ。多分、そこが違い目だろう)
ア(成程・・・確かに、フィーラちゃんは力って言っていて能力の事は何も言ってなかった)
高(まぁ、あくまで推測だ。確証は出来ない。もしかしたら、これが何らかで働かなっただけかもしれねえ)
そう言って、自分の胸からそれを取り出し、ジッと見つめる。
それはただ美しく輝いていて何ら変わりもなかった。
ア(どちらにせよ、マックには十分気を付けないと。ところでさ、コウガ)
高(まだあるのかよ。いい加減黙れよ)
ア(これで最後だよ。今、どこに向かってるの?)
高(我が家)
高雅は何の躊躇することなく言った。
しかし、アリアは十分に驚いていた。
ア(えっ!?。自分の家に行ったら、『ここの高雅』と鉢会うんじゃ!?)
高(目の前を通るだけだ。それに、昼だから普通は学校に行っている。だから大丈夫、バレやしないって)
高雅は気楽に考えているが、アリアは深刻に考えていた。
しかし、高雅の言葉を聞くと、自然と信用できるようになっていた。
ア(・・・そ。分かった)
アリアは納得すると、高雅の言う通り、一時は喋るのを止めた。
数分後。
高雅は自分の家に辿り着いた。
しかし、目の前を通るだけと思っていたが、ついつい足を止めてしまった。
それは、有力なヒントを得られそうだからだ。
高「・・・・完全閉鎖になってる」
この時代の高雅の家の窓全てがシャッターに遮られていた。
高「・・・次、学校に行くか」
ア(うん)
高雅はある事を思いつき、学校に足を進めた。
アリアも同じように考えがついていた。
また数分後。
学校についたのはいいが、門より中に入ることが許されてなかった。
近くに通りかかった人に聞いた見たところ、全壊していると聞かされた。
高雅は近くの立ち入り禁止の柵を乗り越えて学校に潜入した。
壊れて間もないのか、修理工の人などはまだ見えていなかった。
そして、自分の目で学校が全壊しているのを見て確証が持てた。
高雅はいつもの木陰の下に行き、そこに座って情報をまとめ出した。
人は完全にいない為、アリアも人間状態になって座った。
高「やっと分かったな、ここの時間が」
ア「そうだね。そこまで昔じゃなかったみたいだったね」
家が完全閉鎖状態、そして学校が全壊している。
この状態の時間が噛みあうのは、高雅が合宿に行っている時である。
高「昔かぁ・・・昔の俺からすると、今の俺は大きく変わったよなぁ」
ア「ふふ、そうだね。昔はちょっと嫌なことがあったら人間を制裁してたし」
高「これも、アリアと出会ったお陰だな」
ア「えっへん。どういたしまして」
アリアは腰に手を当てて胸を出し、鼻が伸びていた。
高「ただ、こんな状況下に置かれているのも、アリアと出会った所為だな」
ア「うう・・・それは・・・ごめんなさい」
その伸びた鼻を、高雅は意図も容易く圧し折った。
高「さてと、そろそろ歪みとやらを探しに行きますか」
ア「そうだね・・・・ん、あれは何?」
アリアが空に指を指し、高雅がその先を目を凝らして見る。
その先には小さな光がこちらに向かって飛んで来ていた。
高「ん?、何だありゃ?」
殺気を確認するも、敵意している殺気は感じられない。
つまり、誰かが放った力ではないと言うことだ。
その光は不思議な軌跡を描きながら、高雅の目の前で止まった。
?「えっと・・・コウガ君・・・だね?。顔がよく見えないが」
その光から青年の様な声が聞こえ、高雅は少し驚いた。
高「ん・・・ああ、そうだ。お前は誰だ?」
エ「ごめんごめん、申し遅れたよ。僕はエクス。何ものかは言えないけど、君の味方だよ」
高「ふ~ん・・・まぁ、敵意の殺気は感じ取れねえし、少しは信用してやる」
エ「ありがとう。早速だけど、ここから抜け出す方法を教えてあげる」
高「歪みを消せばいいとは知ってるぞ」
エ「そっか。なら話は早い。ここの歪みはあの学校だよ」
高「何!?」
高雅はエクスに言われた途端、首を学校の方へ向けた。
エ「歪みは様々な形になっている。ここは、あれを直せば、君はここを出られるよ」
高「アリア、さっさと直すぞ」
ア「オッケー」
高雅は真の契約を発動し、右手に波動、左手に再生の力を込め始めた。
そして、十分に溜まった両手を一回手を合わせて混じり会わせる。
その後、両手を離して、思いっきり両サイドに広げ、再生が混じった波動を撃ち放った。
巨大な波動が瓦礫に当たると、一瞬で学校は元通りに戻った。
エ「すごい。これ程大きな建物を大きな波動を撃たせて一瞬で再生させるとは・・・」
エクスも高雅の力に驚愕していた。
高「褒め言葉はどうでもいい。これで、ここから出られるのか?」
高雅が双剣を腰に差しながらエクスに問う。
エ「そうだよ。ほら、後ろをご覧」
エクスに促され、後ろを振り返ると空間が歪んでいた。
エ「そこに入ると、ここから出られるよ」
高「よっしゃ。さっさと出て、マックの店員をぶっ倒すか」
ア「店員は余計だよ」
アリアのツッコミなど気にせず、高雅は歪んだ空間に飛び込んだ。
エクスも高雅の後を追って空間に入った。
数秒の浮遊感の後。
高雅は突然見えた地面に何とか着地し、大きく背伸びした。
周りを見ると、太陽も沈んでなく、シャッターなどはない自分の家の前だった。
高「よっしゃーーー。帰って来たぞーーー」
エ「何を言っているのだい?。まだ、君のいた時間ではないぞ」
高「・・・・・・はぁ!?」
突然、エクスが衝撃の事実を言い、高雅は少し混乱していた。
高「いや・・・だって、出られるって・・・」
エ「それは、あの時代だけをさしていて、ここは少し進んだだけの時代だ」
ア「つまり、まだ帰ってないってこと?」
エ「そう言う事」
高「ちくしょおおおおおおおおおおおおおお」
高雅は周りの人など気にせず、叫び声を上げた。
かなり、注目の的になっていたのは言うまでもない。
高雅の過去脱出はまだまだ続く。
☆おまけ☆
高「はぁ・・・帰りたい」
ア「そんなに落ち込まない。ほら、周りの人も見てるよ」
高「・・・・ん?、そしたら、変な光が浮かんで喋ってるのが見えるんじゃ」
エ「心配ない。私は自分が認めたものにしか見えも聞こえもしない。だから、心配ないよ」
高「そっか・・・じゃあ、アリアの声は?」
ア「え・・・あ・・・・私は・・・その・・・」
高雅を見る周りの人たちは、次第に痛い人を見る目に代わり始めていた。
高(・・・アリア、後でぶん殴る)
ア(ひえぇ~、ごめんなさーーい)
高雅はそそくさにこの場を離れ、後にアリアを制裁した。
その後、この辺りに不審者が現れると少しの間、話題になっていた。