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無双と夢想編 その1、動き出す敵

今、教室は張り詰めた空気になっていた。

殆どが自分の机と面向かって、必死に答案用紙を埋めていた。

約一名除いて。

高「・・・ふぁ~・・・」

その一名は頬杖つきながら、窓から空を眺めていた。

既に見直しも3回繰り返し、残り時間は20分も残っていた。

高「・・・・・・・コクッ・・・」

気持ちのよい陽気の所為せいか、既にうたた寝モードに入っていた。

さらに、トドメのそよ風で高雅は眠りに落ちていった。

頬杖ついていた為、少し鈍い音を立てて眠った。

軽い痛みなど関係なく、高雅はぐっすりと眠り始めた。

皆は一瞬だけ高雅の方を見たが、すぐに答案に向き合った。

そんな中だった。

先「・・・・ん?、何の音だ?」

突然、外の方から何かが落下していく音が聞こえてきた。

皆はまた、視線が答案から目を話した。

それはだんだん近づいて行き、もうすぐそこまで迫っていた。

先「何で・・・学校に何かが降り注ぐかなぁ・・・」

空からの落下物はグランドに目掛けて落下した。

しかし、高空から落ちたが音などせず、砂塵も全く巻き上げてなかった。

さらに、落下物は完全に地面に落ちておらず、かすかに浮いていた。

先「あれ・・・・人?・・・」

良く見ると、それは物ではなく人の形をしていた。

そして、空気が新たに張り詰めた。

高「・・・・!?」

爆睡していた高雅は一瞬で起き上がり、テスト中でも構わず席を立って窓の外を見た。

先生が横から何か言っていたが、全く気にしていなかった。

目の前の殺気の元凶を睨みつけ、殺気で返事をしていた。

高「・・・あの野郎・・・もう気付いたか」

ア「・・・・・・・・」

高雅は窓を開け、そこから飛び降りた。

生徒全員は目を丸くして驚いたが、そんなことを気にしている暇などなかった。

落下しながらアリアを剣に変え、そのまま振り下ろした。

しかし、指二本で塞がれて呆気なく止められた。

その人物は・・・

高「セバス!!」

セ「お久しぶりですね、嘘吐きさん」

微笑みながら余裕をかましていたが、目は殺気に満ちて全く笑っていなかった。

セ「いい加減、女王クイーンを出しなさい」

高「クイーンって何だよ?。はっきり教えてもらおうか」

セ「あなた程度に教える事ではない。黙って女王を出しなさい!!」

高「うおっ!?」

セバスチャンは高雅を投げ飛ばし、高雅は何とか着地した。

高雅はいつでも対応できるように剣を構えた。

セ「では、出さないと言うのであれば、死んでもらいます」

高「ひゅー、すげー殺気だな。だけど、お前は色々吐いてもらわねえとな!!」

殺気と殺気のぶつかり合い。

気の弱い者がいたら殺気だけで秒殺されるだろう。

先「こらーーーー!!、何をやっ・・・・・・〈バタッ〉」

その殺気の犠牲者が一人。

高「何しに来たんだか」

セ「よそ見厳禁です」


グシャッ!!


セバスチャンは高雅の顔面に手を貫いた。

大量の血がセバスチャンを汚した。

セ「・・・・創造ですね」

高「バレタか」

高雅は双剣を片手で持ち、銃を突き付けていた。

あの時の最強エアーガンである。

セ「玩具を私に突き付けて楽しいのですか?」

高「さあな。玩具も使えるものだぜ」

セ「どう使うのでしょうか?」

ア「こう使うのよ!!」

アリアが片手だけを剣の状態のままにして人間姿に戻り、セバスチャンの腹を目掛けて突き刺そうとした。


ガキッ・・・


ア「なっ!?」

セ「成程。囮ですか。いい使い方ですが、弱過ぎですね」

実は、高雅の持っている双剣は創造の偽物で、本物は貫かれた高雅の手にあったままだった。

それに気付いていなかったセバスチャンは完全に不意を突かれた。

実際、セバスチャンは気付いている訳ではなかった。

だが、剣は貫くことを出来ず、弾かれてしまった。

高「ちっ。アリア、離れろ!!」

高雅はセバスチャンに銃を連射する。

セバスチャンは微動だにせず、創造で壁を創りあげて防ぐ。

その間にアリアはセバスチャンから距離を取り、高雅の所に駆け寄る。

ア「・・・うっ・・ぶはっ!!??」

高「ッ!?、アリア!?」

突然、アリアが血を大量に噴き出し、そのまま崩れ落ちた。

高雅は一瞬だけ手を緩めてしまった。

セ「その一瞬が命取りですよ」

高「しまっ・・・」


グシュッ!!


高雅が言うよりも早く、セバスチャンの手が高雅を貫いた。

高「がっ・・・つぅ」

セ「ほぉ、寸前で避けましたか。しかし、完全に避けきれませんでしたね」

高雅は喰らう寸前で何とか攻撃をかわそうとしたが、反応が遅く、横腹を貫かれてしまった。

高雅は痛みに耐えきれず、その場に崩れ落ちた。

セ「おや、これは本物の様ですね」

高「く・・・そ・・・」

高雅は倒れているアリアに手を伸ばそうとする。

しかし、アリアは倒れたままピクリとも動かず、反応を示さない。

セ「無駄ですよ、コウガ様。アリア様は内臓が破壊されています。もう、起き上がることは無いでしょう」

高「この野郎・・・」

セ「あなたも、同じ運命を辿りなさい」

そう言って、セバスチャンは高雅の背中を軽く叩いた。

それだけで、高雅が胸を抑えて苦しみ、もがき始めた。

そして、次第に動きが遅くなり、必死の力でセバスチャンを睨みつけた。

高「・・・ぜってぇ・・・殺す・・・」

セ「主人公らしい言葉ではありません」

高「へへ・・・・は主人公じゃねえ・・・ごはっ!?」

それだけを言い残すと、高雅は大量の血を吐いて、息を絶った。

セ「さて、用は済みましたし・・・」

高雅が完全に死んだ事を確認すると、意識を別に集中し始めた。

セ(聞こえますか、マック?)

マ(うぇーい、聞こえまーす)

セ(例の人は殺しました。今すぐ潜入して女王を確保しなさい)

マ(うーい。けどさ~、何か、別の殺気もしますけど、どーしましょー?)

セ(殺しなさい。生かしてはなりません)

マ(あいさー。1分も掛かりませんから、カプチーノでも淹れて待っといてくでせー)

セ(分かりました。では、落ち合う場所で)

そう言って、意思会話を終了した。

セ「これで、女王が手に入るのも、時間の問題ですね」

セバスチャンは妖しげに笑いながら、空間を歪め、その中へと消えていった。









セバスチャンの連絡を受け、マックと言う者は高雅の家に入ろうとしていた。

マ「お邪魔しm〈バチッ〉いってぇーー!!」

ドアノブに触れた瞬間、マックに高電圧の電量が流れ、涙を流しながら触れた手に息を吹きかけてた。

マ「何で結界があるんだぁ?。これを無くすためにセバッチャンが殺しに行ったんじゃねえのかぁ?」

高「ふ~ん。わざわざご苦労だな。偽物を倒すとか」

マ「ほえっ?」

マックが振り返った先には、先ほどセバスチャンに殺された高雅の姿があった。

マ「あり~?。まさ~か~、ホンモン?」

高「ああ、そうだけど」

マ「セバッチャンが間違うとか、ありえねー」

高「あれは99.9%は本物に近いものだ。誰だって間違う。それより、お前、人の家に何の用だ?」

マ「自分はお前じゃねえんだぞ~。マックて言う名前があるぜぇ~」

高「じゃあ、帰ってマクド○ルドでバイトでもしろ」

マ「んだとぉー・・・っと、それより、ちょっと待ってくろぉ」

マックは一言断って、セバスチャンと意思会話をしだした。

高雅は何もせず、ただ見ているだけだった。

マ(さーせん。無理でしょう)

セ(端折はしょり過ぎです。ですが、大体分かりました)

マ(さっすがぁ。んじゃ、別の誰かを送ってくろぉ。なるべく、結界を壊せる奴を)

セ(分かりました。では、頼みますぞ)

マ(あいさー)

マックはセバスチャンと連絡を終えると、高雅の方を見た。

高雅は妖しく笑っていた。

マ「何が可笑しいんだ?」

高「お前が潔く無理だと言うのがな」

マ「おおーーー、人の会話を聞いちゃいますか~」

高「俺が何もしないとでも思ってんのか?。人の意思会話を聞くのなんて容易いことだ」

マ「んまぁ、セバッチャンを騙す奴だし、何があってもおかしくねえよな~」

高「とにかく、援軍が来る前に、お前を倒しておかねえとな」

高雅は双剣を構え、地面を蹴りだした。

マ「援軍?。ば~か~だ~な~」

マックはその場から動かず、薄い笑みを浮かべながら接近する高雅を見ていた。

高雅はその態度に腹が立ったのか、思いっきり剣を振った。

しかし、振った先にマックはおらず、一瞬で高雅の後ろに回り込んでいた。

高「なっ!?・・・うぐ!?」

マックは高雅の首を絞めると、耳元で呟いた。

マ「俺達は俺達で戦う。別の次元でなぁ」

高「な・・・・に・・・・!?」

マ「レッツ、タ~~~イム、ジャ~~~~~~~~~~ンプ!!」

ハイテンションで叫んだ瞬間、高雅とマックが巨大な光に包まれ、その場から姿を消した。












高「・・・ん・・・・んあ・・・?」

ア「気が・・ついた?」

目を開けると、アリアに膝枕をしてもらっていた。

だからと言って、高雅はなにも動じず、現状を確認する。

高「俺、気絶したんだな。ところで、ここどこだ?」

ア「さぁ、分からないけど。空気が変わったって感じはしないよ」

高「そうだな・・・つまり、緑淵町からは出てないって事か。・・・よっと」

高雅は勢いをつけて起き上がり、周りを見渡す。

360度気に囲まれていて、どこかの森の中だと悟った。

しかし、どこか見たことがあるような感じがしていた。

高「・・・ここ・・・確か・・・・・・」

ア「?」

俯いて考える高雅に、アリアは顔を覗き込んで不思議そうに見つめる。

高「・・・・・あっ」

高雅は何かが閃いたように顔を上げ、一直線に草木をかき分けて走り出した。

アリアもその後ろをついて行った。

数秒走ると、そこは知っている土地に辿り着いた。

高「ここ、皆の墓の場所じゃん!!」

目の前には透明な泉と咲き乱れる花々、そして、一つの墓石があった。

高雅に取って、大切な場所だった。

マ(ぅお~い、聞こえるか~?)

高「んなっ!?、どこだ!?」

突然聞こえたマックの声。

しかし、それは直接耳に聞こえたものではなく、頭に響いているように聞こえた。

マ(まぁ、そっちの声はこっちに送れないから確かめても分かんねえだけど。取りあえず、起きてるなら聞くんだぞ)

高「一方的な意思会話か」

マ(まず、お前は自分の能力で過去にいる。なるべく昔にしておいたから喜べ)

高「喜べるかーーー!!」

叫んでみるも、虚しく響くだけで相手に届いてなどいなかった。

マ(次に、元の時代に戻りたいなら、自分の創った歪みを壊す事だな。そしたら、戻れっぞ)

高「?、何で戻り方を教えるんだ?」

マ(後、過去のお前に会ったら、お前は消えっから気をつけるよに。以上、質問は受け付けませ~ん。では、さいなら~)

それから、マックの声は聞こえず、意思会話を切られてしまった。

高「・・・取りあえず、歪みとやらを探して見るか」

ア「でも、この時代の自分に見つかったら消えちゃうよ。気をつけないと」

高「それなら、心配ねえ。真の契約をして、色んな力を使えば大丈夫だ」

ア「そっか。それなら安心だね」

高「んじゃ、行きますか」

高雅は一度だけ墓石に手を合わせてから、この場を離れた。

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