勉強会 前編
七夕ですね。
もう子供じゃないのに、短冊に願い事を書いています。
ちなみに、内容は推薦合格。
そんなこと書く暇あるなら勉強しろって話ですねwww。
取りあえず、今回も楽しんでもらったら嬉しいです。
突然ですが、体育祭が終わった後の学校行事と言えば何でしょう?
A「ズバリ、文化祭っしょ!!」
先「ブッブー。正解は・・・」
先生が黒板にデカイ字で二文字の漢字と三文字のカタカナを書いた。
それは、9.9割の生徒が嫌う、あれである。
先「中間テストでしたーーー!!!」
全「ええええええええええええ」
クラスの9.9割がブーイングをした。
先「グタグタ言わない。子供は勉強よ。では、帰って勉強するように」
それを伝えると帰りのホームルームが終わり、生徒は礼をして放課後の時間となった。
高「そっか。もうすぐテストだな」
ア(今回も、何か勝負する?)
高(別にいいが、お前の負けだぜ)
ア(ほんと、大した自信だね。その減らず口を私が破ってあげようか?)
高(けっ、お互い様じゃねえか)
アリアと会話をしつつも、着実に下校の準備は整っていた。
教科書を入れ終え、鞄を閉めて教室を出ようとした。
扉を開け、いざ廊下に出ようとしたら、ある女性が待ち構えていた。
凛「ようやく来ましたわね」
それは凛だった。
正直、生徒会長がとある生徒のクラスの前で立っているのは、結構注目の的になっていたりしている。
高「何か用かよ?」
凛「いつもいつもあなたに負けている為、私は考えてきましたわ」
高「ふ~ん・・・じゃ」
高雅は凛の横を抜け、完全スルーで帰ろうとした。
しかし、凛に腕を掴まれて進めなくなった。
凛「待ちなさい。あなたの勉強法を見れば、私が負けた理由も分かりますわ。ですから、私と勉強会を開きますわ」
高「勘弁。俺は一人で勉強してえんだ」
凛「勝ち逃げは許しませんわ。それとも、誰かに見られてはまずい姑息な真似をしていますの?」
高「ほぉ・・・負け犬が偉そうに吠えるじゃねえか。いいだろう。乗ってやるよ。そして、お前の完全敗北を築いてやる」
ア(コウガ、まんまと乗せられてるよ・・・)
凛「では、明日は休日ですので、明日たの午後1時からでよろしいですわね?」
高「へいへい」
凛は高雅の手を放し、高雅はさっさと帰ろうとした。
龍「あ・・・あの・・!!」
しかし、龍子が二人に対して呼びかけた。
高雅は止まって首だけを振り返させた。
高「何だよ?」
龍「私も・・・・勉強会・・・参加して・・・いいかな?・・・・教えて欲しい・・・とこある・・から・・・」
高「どうなんだ、凛は?」
凛「構いませんわ」
高「じゃあ、提案者がいいって言ってんならいいだろうよ」
龍「あ・・・ありがとう・・・」
凛「では、明日の午後1時に。ごきげんよう」
凛は下駄箱ではない別の場所に向かって歩き出した。
生徒会長の仕事があるのだろう。
高雅も止めていた足を動かし、帰路に着いた。
そして、翌日。
高雅は三教科ほどの教材を鞄に入れ、出掛ける準備をしていた。
高雅は準備をしているとある事に気付き、ぶつぶつと文句を言っていた。
高「くそっ、嵌められた・・・」
ア「気付くの遅いよ・・・いつもの高雅なら気付くはずだよ」
高「俺とした事が・・・・何たる失態」
高雅は己の不甲斐なさに落ち込み、暗いムード全開だった。
ア「ほらほら、落ち込んでる暇はないよ」
アリアが背中を軽く叩きながら励ます。
高「・・・そうだな。よし、行くか」
準備を終えた高雅が部屋から出て、玄関へ向かった。
すると、玄関にはフィーラが靴を履いて準備万端の姿でいた。
高「・・・どこ行くんだ?」
フ「コウガ様が行くところです」
高「留守番しろって言っただろ」
レ「待つのだ、コウガ殿。フィーラ殿を行かせるのは我の案だ」
高「レオ?」
後ろからレオがやって来た。
彼も出掛ける準備は整っていた。
レ「一昨日の話では、フィーラ殿はセバスチャン殿に狙われていると話したな」
高「まぁな」
レ「では、常にコウガ殿と共に行動しておいた方が何かあったときに対応できるだろう」
高「う~ん・・・一理あるな。確かに、セバスチャンは結構強いからな」
ア「セバスチャン、色んな力が使えるからね」
レ「で、どうだろう?」
高雅は腕を組んで考え始めた。
レオの考えに間違いはない。
だが、凛の家にいきなり二人追加して連れてきていいか迷っていた。
高「・・・分かった。ついて来ていい」
しかし、高雅は家族を取った。
フ「本当です!?」
高「まっ、家族のピンチだ。手伝ってやるのが道理だろ?」
レ「では、行くとするか」
レオが玄関の扉に手を掛け、押し開けようとした。
外から眩しい日差しが入り込み、一瞬だけ眩しさを感じさせた。
高「・・・ん?」
ふと、外に目を向けると、誰かがインターホンを押そうとしていた。
蓮「あっ、こうが兄ちゃん」
それは蓮田だった。
蓮田は駆け足で高雅に近づき、突然、深々と頭を下げた。
蓮「お願い、こうが兄ちゃん。ログナを助けて!!」
高「えっ!?。何だ!?」
蓮「ログナが可笑しくなったんだよ。もう、いつものログナの面影もないよ・・・」
蓮田は涙を零しながら、必死に懇願した。
高雅は慌てながら蓮田の背中を擦り、慰めさせた。
高「取りあえず、ログナはどこだ?」
蓮「ログナならあそこに・・・」
蓮田が指を指した方に沿って見ると、ログナが正座していた。
高「・・・何やってんだ、あいつ?」
蓮「家主に断らず、勝手に足を踏み入れてはダメだって言って、正座しながらこうが兄ちゃんを待ってたんだ」
ア「礼儀正しいけど、やり過ぎだね。どうしちゃったんだろ?」
ログナはピクリとも動かず、ずっとこっちが来るのを待っていた。
高「あれって・・・」
レ「あの時のままか?」
高雅はそれを確かめる為、ログナに近づいた。
蓮田が必死に懇願していたので、嘘ではないと思うが、一応確認した。
高「おっす、ログナ。元気してたか?」
ロ「あっ、内のログナがお世話になっています。大変、ありがとうございます」
高「確定」
ログナにしては、あり得ない口調。
そして、この丁寧さ。
完全にアリアに石をぶつけられた時に記憶を失った状態である。
高「まさか、続いていたとは・・・」
レ「ともかく、再生の力で治せばよかろう」
高「だな。アリア、契約の力だ」
アリアを呼ぶと、契約の力を発動し、ログナの記憶を再生させた。
はずだったが・・・
ロ「おお~、心地よい光。まるで浄化されるかのよう・・・」
高「・・・記憶、治ったか?」
ふざけているのか本気で言っているのか全く判断がつかなかった。
しかし、雰囲気が変わっていなかった。
高「・・・再生が効いてねえ・・」
レ「何だと!?」
高雅はログナのオーラと言うものが大体分かる。
経験を積んで得た能力である。
それが全く変わっていないと言うのは、記憶が戻っていないと言うこと。
つまり、今のログナに再生が通用していない。
高「う~ん・・・不治の病だな」
蓮「ええーーーーーーーーー!!!、ログナ、死んじゃうの!?」
高「いや、大事には至らない。ただ・・・治せない」
蓮「そんな・・・嫌だよ。いつものログナじゃなきゃ嫌だよ!!!」
蓮田が懸命に高雅を叩きながら訴えかける。
高雅は落ち着かせるように頭を撫でながら言った。
高「待てって。今の俺では無理なだけで、何か方法があるはずだから」
蓮「ほんとう・・・?」
高「だから落ち着けって。なっ?」
蓮「・・・うん」
蓮田は高雅を叩くのを止め、ログナの頭を撫でてやった。
蓮「大丈夫だよ、ログナ。僕がどうにか元に戻すから」
ロ「?、何の事でしょう、マスター?」
高「こいつ、本当に重症だな」
ア「それよりも、リンちゃんの家に行かなくていいの?」
高「へっ?」
高雅は腕時計を確認すると、既に正午を過ぎていた。
ちなみに、姫花家までは隣町の為、かるく1時間は掛かる。
高「やっべ!?。完全に遅れてるぞ!!」
高雅は焦りだし、家を駆け出た。
他の皆(何故か蓮田とログナも)は慌てて高雅の後ろを追いだした。
ついた時には既に1時は過ぎていた。
取りあえず、巨大な門の片隅にあるインターホンを押して中の人を呼んだ。
程なくして、家の人が応え、巨大な門が無人に開いた。
さらに、そこから3分歩くと玄関に辿り着いた。
玄関には凛と龍子が迎えてくれていた。
凛「遅いですわ!!」
高「悪い。色々とあった」
龍「何だか・・・・沢山・・・いるね」
高「まぁ、全員ほったらかす訳にはいかねえから連れてきてしまったが、迷惑じゃねえか?」
凛「まぁ、このぐらいなら大丈夫でしょう。取りあえず、案内しますわ」
高「んじゃ、お邪魔しま~す」
使用人が玄関の扉を開け、高雅達を招待した。
それから凛について行き、広い屋敷をあっちこっちに曲がりながらある部屋についた。
部屋はかなり広く、50畳もの広さだった。
凛「ここは応接室ですわ。ここに荷物を置いて、必要な勉強道具を持ってきてもらいますわ」
高「の前に、非勉強組はどうするんだ?」
高雅は親指をアリア達に向けながら凛に尋ねる。
高雅の話を聞いてアリアが慌てて入ってきた。
ア「あっ、私も勉強するよ。高雅にギャフンと言わせたいから」
高「あっそ。で、他の奴らはどうするんだ?」
凛「取りあえず、応接室に居てもらい、何かあれば使用人に頼んでください。すぐそこに待機させておきますわ」
レ「すまぬ。では、我らはここで待機しておく」
フ「コウガ様、勉強頑張れです」
高「へいへい。それじゃ、行きますか」
凛「そうですわね」
いざ、部屋を出ようと扉に手を掛ける瞬間、扉は勝手に開かれ、一人の少女が入って来た。
香「やっほー、高君達久しぶりなの。元気してた・・な・・・の?」
香凛の元気のいい声は次第に薄れていった。
ある人を目にした瞬間に。
高「おーおー、してたしてた。そんじゃ、俺らは勉強するから邪魔するなよ」
凛「香凛、お客様に迷惑を掛けてはいけませんわよ」
高雅が流す様に答え、凛が注意をする。
しかし、香凛の耳には二人の声など入っていなかった。
凛「?」
高「で、どこで勉強するんだ?。遅れている分、早くしようぜ」
凛「え・・ええ、分かりましたわ」
ボーっとしている香凛を横目に見ながら、高雅達を勉強部屋へと案内しだした。
残された香凛は漠然と突っ立っていた。
蓮「・・・ん、かりんちゃん、こんにちは」
香「こ・・こんにちは・・・・なの///」
香凛は顔を逸らしながら挨拶を交わした。
失礼な行為ではあるが、今の香凛にはとても直視してあいさつできなかった。
フ「・・・成程です」
レ「成程だな」
そんな行為を見て、フィーラとレオは軽く笑っていた。
香「な・・・何なの!?///」
フィーラ達の声が聞こえたのか、香凛は顔を真っ赤にしながら聞いて来た。
フ「何でもないです」
レ「何でもない」
そう言ってフィーラは窓の外を眺め、レオはイスに座って本を読み始めた。
香凛は二人の行動をジッと睨み、少し怒りを覚えていた。
蓮「かりんちゃん、そこに立ってないで座ろう」
そんなことを知らず、蓮田は香凛に不意に話しかけてきた。
香凛は驚き、さらに顔を真っ赤にする。
香「わわっ!!??、えっと・・その・・・わ・・分かったなの///」
蓮「それじゃ、行こ」
蓮田は香凛の手を取ってイスへエスコートした。
その行動により、香凛は完全にオーバーヒート状態に陥っていた。