表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/194

恐怖

タイムリミットまで、後15分を切ったところ。

高雅達は左目を集中的に攻撃するが、アルテマもそれに感ずき、易々と目を攻撃させないようにしていた。

高「さすがに気付き始めたか。バカじゃねえな」

レ「天魔獣は凶悪と語られている。あいつは我武者羅に強大な力を使わず、考えて戦っているのだ」

一旦距離を置いて休憩してるとレオが寄って来て、高雅の隣に立った。

高「ふ~ん、そっか」

高雅はレオのズタボロの手を治しながら相槌をうった。

手を治すと、レオは再びアルテマの所へ跳んだ。

高雅も少し間を空けてから跳んだ。

高「ちょっと、攻撃方法を変えてみるか。アリア、方向の力を頼む」

ア「うん、分かった」

高雅は顔の方へは行かず、体の鎖に向かって進み始めた。

高「そらっ!!」


ガシャ!!


体に巻かれた鎖を剣の腹で打った。

すると、鎖が連動して締め付けが強まりだした。

ア『ガアアア・・・・』

効いているのかいないのか、アルテマは低く呻き声を上げていた。

しかし、一瞬だけ集中が途切れたことは間違いない。

高「もらったぁ!!」

高雅の狙いは、はなから隙を作ることだった。

狙い通りか、アルテマは鎖で守ろうとせず、完全にフリーだった。

高雅はここぞとばかりに最大の活性で左目を突いた。


グチュ・・・


そして、遂に左目に傷を負わせた。

剣先がちょっとだけ刺さったのだ。

ア『グアアアアアアアアアアアア・・・・・・グオオオオオアアアアアアアアア』

瞼がないのか、アルテマは刺されたにもかかわらず、目を閉じなかった。

意表を突かれたアルテマは苦しみ、顔を振って高雅を落とそうとする。

しかし、高雅は突き刺したまま離れようとしなかった。

高「アリア、このチャンスを大事にして、限界まで溜めろよ!!」

ア「うん!!・・・あっ、コウガ!!、後ろ!!」

高雅の後ろから鎖が迫って来ていた。

しかし、高雅は後ろを向かず、アリアに集中しろと促せる。

レ「そうはさせんぞ!!」

レオが手刀で鎖を斬り、高雅を狙って来た鎖は砂煙を上げながら地面に重くし掛かった。

しかし、鎖は一本だけではなく、何本も何本も高雅に向かって襲い掛かる。

レ「くっ、しまった!!」

流石のレオも大量の鎖を全て斬り落とす事は出来ず、数本斬りそびれてしまった。

ア「あっ!!」

高「だから、集中しろ!!」

アリアが不意にこぼれた声でも高雅は厳しく指摘する。

ア「・・・・うん」

アリアは高雅を信じ、意識し始めた。

鎖はもう高雅に直撃寸前だった。

A「そこで、俺登場!!」

タ「ここは任せろ!!」

呼んでもないが、Aが駆けつけ、寸前の所で鎖を斬った。

A「ふっふっふ、感謝しろよ。この主人公様に助けられt「アリア、まだか?」無視すか?」

ア「あとちょっと。もう少し耐えて」

高雅は落とされないように踏ん張り続ける。

アルテマも負けずと顔を振り、剣を抜こうとする。

それでも、蟻みたいに小さな剣を抜くことは出来なかった。

ア「よし、完了だよ」

高「ご苦労!!」

アリアの終了の言葉を聞いて、高雅はすぐさまアルテマから離れた。

レオとフィーラも高雅の行動に察し、アルテマから距離を取った。

ただ、一人除いて。

高「よし、やれ!!」

ア「はぁ!!」

アリアの気合いの入った声と共に・・・


チュドオオン!!!


アルテマの左目が大爆発を起こした。

これから分かるように、アリアは爆破の力をアルテマの目の奥に溜めていたのだ。

そして、その威力は半端なく、鉄壁の目も粉々に吹き飛び、血を流していた。

ア『キシャアアアアアアアアアアアアアア』

怒りと絶望と混乱が入り混じった声を上げ、多大なるダメージを浴びさせた。

高「しゃっ」

高雅は腕をグッと引いてガッツポーズをし、喜びを噛み締めた。

ア「やった。これなら・・・」

レ「いや、まだだ」

高「どうやら、天魔獣さんは目ん玉一個だけじゃ死なないらしい」

目は完全に消え、血だらけの空白が残っているだけだった。

高「しかし、これで目が見えなくなっただろう。戦況は有利になったな」

フ「だと・・・いいです」

ただ、フィーラだけがこの状況を喜んでいなかった。

まるで、意味がなかったと思えるほどに。

ア『ガアアアアアア・・・・・』

すると、アルテマは腕に力を入れ始め、手錠を引き千切ろうとしだした。

レ「!?、いかん!!。手錠が解かれるとまずい!!」

高「何が・・・っておい!?」

レオはすぐさまアルテマに攻撃を仕掛けに行った。

高「分かんねえが、俺らも行くぞ」

ア「うん」

フ「了解です」

何が起こるかは全く知らない高雅は取りあえず、レオの援護でもすればいいと思っていた。

A「待てええええい。謝りもしないのか、貴様!!」

途中、真っ黒焦げのAが割り込んできて高雅とフィーラの前に立った。

高「ん、お前が避難しないのが悪いんだろ」

A「お前の考えなど分かるか!!」

高「でもよ、お前以外はしっかりと理解したぜ」

フ「コウガ様が離れたら、離れた方がいいと簡単に予測できるです」

A「いやいやいや。普通、予想出来ねえだろ!?」

高「ったく、情けねえ頭だな。もっと考えてから行動しr〈ビュン〉ッ!?」

突然、感じた風。

それは、頬を通り抜ける一瞬の風だった。

風が過ぎ去っていった方を見ると、気絶したレオが校舎にめり込んでいた。

高「レオ!?」

A「な・・何だ!?」

Aは何が起きたか分からず、あちらこちらに首を回し、オドオドしていた。

フ「コウガ様!!、アルテマの手錠が壊されてるです!!」

高雅は振り向くと同時にアルテマの腕を見た。

腕は解放され、手錠は地面に転がっていた。


ゾクリ!!


高・ア・フ・A「ッ!?」

ただそれだけなのに、とてつもない恐怖を感じた。

動くことすら許されない程の恐怖。

心が弱いものなら、今にも泣いてしまうだろう。

アルテマは自由になった手で顔の包帯を外し始めた。

包帯は簡単に引き千切られ、アルテマの顔があらわになった。

全体が火傷のように皮膚が軽く垂れ、右目は充血し、肌色は黒く焦げているようだった。

ただそれだけなのだが。


パキキ・・・


アルテマの周りの空間にひびが入り始めた。

高「・・・なんなんだよ・・・こいつ」

さっきまで完全に勝っていた高雅達だが、手錠が外れるだけで戦況がひっくり返された。

ア「これ・・・現実なの・・・?」

フ「怖いです・・・怖すぎです・・・」

タ「震えがまぬ・・・」

A「あっはははははははははは、こここここここ怖くなんてなななななないいいんんだだだだだだ」

高雅達は体が震え、Aは声も震えていた。

高「とにかく、やらなきゃやられるんだ。嫌でも体を動かせ。恐怖に呑まれるな!!」

そう言うものの、この中で体を動かせるのは高雅しかいなかった。

高雅は震える体を無理やり動かし、一人でアルテマのもとへ向かった。

高「ったく、こっちが攻撃したのに、何で戦況がひっくり返るかなぁ」

平常心を保つように平然としているが、内心は逃げだしたいくらい恐がっていた。

それでも、やらなきゃやられる。

ただ、それだけを頼りに高雅は動いていた。

高「行くぜ、顔面黒こげ野郎!!」

恐怖を殺し、今一度、アルテマに攻撃を仕掛けはじめた。








変わって一般人達。

謎の怪物をみて混乱し、ただ只管ひたすら逃げていた。

アルテマを見て最初は感動しているバカな生徒もいたが、今では見ることすら怯え、必死に逃げていた。

その中には龍子やA以外の購買部組、凛もいた。

龍「はぁ・・・・はぁ・・・・」

凛「はぁ・・・はぁ・・・あれは一体、何ですの!?」

B「ぜぇ・・・こっちが聞きてえよ」

C「最初はFFXの○ニマみたいだと思ったけど」

D「今じゃ、恐くて直視すら出来ねえよ」

E「ガクガクブルブル」

夢「一体・・・高雅は何をしてんの!?」

振り返って確認がしたいが、振り返ればアルテマが目に入る。

それは、死ぬほど嫌なことだった。

龍「はぁ・・・高雅君なら・・・大丈夫」

凛「そうですわ。彼ならこの状況を打破してくれますわ」

夢「だと、いいけど・・・ん?」

突然、逃げている皆の足が止まりだした。

凛「どうしましたの?」

意味が分からず、取りあえず、前の方を見てみると・・・

B「あれって・・・わし!?」

C「待て待て待て。鷲はあんなに大きくないぞ!?」

鷲が一匹翼を広げて威嚇していた。

そして、その傍らに蒼い髪の色をした女性が立っていた。

?「逃げちゃダメよ。あなた達はみ~んな死んじゃうのよ」

不気味な含み笑いをしながら、えんぎでもない事を言った。

他「ふぜけるな!!。こんな所に居たくはねえんだよ!!」

勇敢にも、巨大な鷲の脇を通ろうと走り出した一人の青年は・・・

?「あら、悪い子はお仕置きよ。やりなさい、バオ」

バ「キエエエエエエエエエ」

バオという鷲は羽ばたき、空高く舞い上がった。

そして・・・


バグッ!!


龍「!?」

一瞬にして、その青年を喰った。

跳び上がったかと思えば、いつの間にか青年を丸呑みにしていた。

それは、皆の恐怖をより一層強くさせた。

龍「私達・・・どうなるの・・?」

凛「い・・・生きて帰ることができますの?」

購買部組「ガクガクブルブル」

無力な一般人達は迫りくる死に怯えだしていた。









高「おらっ!!」

高雅は力強くアルテマの頭を斬ろうとするが、異常に硬く、傷すらついていなかった。

目を狙ってみたのだが、左目より硬く、同じ作戦は通用しなかった。

高「くそっ!!。斬れねえ」

ア「硬過ぎる」

何度も何度も斬ったが、アルテマは表情すら変えず、何もしてこなかった。

その姿は高雅を見下していた。

高「何もしてこねえとか、舐めやがって」

ア「何だろう?。何もしてないのが凄く恐い」

高「何もせずに恐怖を与えさせるとか、こいつ、マジで強いな」

すると、ジッとしているのに飽きたのか、アルテマが動き出し、背伸びするように腕を伸ばし始めた。

そして、手のひらを高雅に向けると・・・


ピシュン!!


高「うおっ!?」

レーザーを出して来た。

レーザーは太く、後ろにあった山が綺麗に貫かれていた。

高「あっぶねえ・・・」

ア「コウガ!!、後ろ!!」

高雅はレーザーを避けて一安心した一瞬の隙を見せてしまった。

その隙をアルテマは見逃すほど優しくなかった。


ゴキャッ!!


高「がっ!?」

アルテマのマッハパンチが高雅を吹き飛ばし、地面に叩き落とした。

フ「コウガ様!?」

恐怖で身動きが取れないフィーラは必死に叫ぶしかできなかった。

高「が・・・げほっげほっ・・・」

体に受けた衝撃は消失の力である程度減らしたが、完全には減らすことができなかった。

高「つぅ・・・骨が何本かいったな」

ア「コウガ、大丈夫?」

高「まだ動ける。大事にはいったってない」

呑気に自分の状態を説明している時だった。

ア「あっ!!、周りの空間が!!」

高「なっ!?」

既に高雅の周りの空間に大量の罅が入っていた。

高「やべぇ!!。空間ごと消される!!」

今すぐに速度の力でこの場から離れようとするが、こんな時に限って足にダメージがあり、上手く動かせなかった。

高「くそっ!!」

もはや打つ手なしと諦め、目を強く閉じた。

完全に死を覚悟した証拠だ。


バリーン・・・


そして、高雅を取り囲む周りの空間が割れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ