教師の暴走
教室に戻った高雅は席に着くと、瞬く間に眠りに落ちた。
ア(はやっ!?。いや、いつもの事か・・・)
高雅が眠りに着いたと同時に、安理明も戻って来た。
他「あら、崎村さん。どこに言ってたの?」
女子生徒が優しく話しかけてきた。
安理明はピタリと止まると首だけを動かし、笑顔で言った。
安「何も。ただ、散歩してただけ」
他「!?、そ・・・そう」
口だけが笑っていた。
まるで、悪魔が笑うかのように。
女子生徒は一瞬、悪魔を垣間見た気がした。
先「おらああああああ、席に付けええええええええ」
午後、最初の授業は古典である。
そして、新キャラで名前は無い先生がやって来た。
竹刀を持った、今時お目に掛からない熱血先生である。
先「うっし、始めるぞ。今日は源氏物語じゃあああああああ」
竹刀を教卓に打ちながら教科書を片手で開いて行く。
生徒達も慌てて開いて行く。
先「よし、それじゃ・・・そこの蒼髪の奴。読みやがれ」
安「はい」
安理明は怯えることなく、教科書を持って席を立った。
そして本文をスムーズに間違いなく読み終えると席に着いた。
先「おい、誰が席に着いていいと言った?」
A「うわ、先生のスイッチが入ったよ」
先生はツカツカと安理明に歩み寄った。
先「中々出来るじゃねえか。なら、この問題を解いてみろ」
そう言って渡されたのは、超難題の古典の問題だった。
安「これは・・・えっと・・・」
先「分からないだろ。だったら、調子に乗るんじゃねえ!!」
安「えっ!?」
先「先生の評価を聞く限りじゃ、かなり出来るようだな。だがな、そうやって調子に乗るんじゃねぇぞ。分かったか、あぁ?」
竹刀を安理明の首に突き付け、不敵に笑う。
安「や・・・止めてください」
先「だったら、調子に乗ってごめんなさいって土下座しろ」
安「そんな・・・調子になんか乗ってないのに・・・」
B「おい、古典の先生。調子に乗っているのはおm<バシッ!!>いって!?」
先生はBの頭に一発叩いて黙らせた。
Bは頭を擦りながら涙目になっていた。
先「うるせー。俺は頭もいいし、剣道も強い。俺はちゃんと出来た奴だ」
高「なぁ、これが午後の授業か?。つまんねぇから帰っていいか?」
高雅は勝手に鞄に教科書を入れ始め、肩に担いで帰ろうとした。
先「待ちやがれぇ!!。俺の授業で帰れると思うなよ」
首だけを高雅の方へ向け、ドスの効いた声で高雅を止めようとした。
すると、高雅は意外にすんなりと止まり、扉を開けようとした瞬間で制止した。
高「何だよ?。大体、お前みたいな先生は知らねえぞ。1年半も学校にきているが、お前みたいな自惚れは見たことがない。大体、自惚れはAだけで十分だ」
A「んだと!?」
先「う・・自惚れだと!?。貴様~・・・先生への暴言は退学だぁ!!」
高「あっそ、退学か~。じゃ、もう家でごろごろし放題だな」
C「んな、バカなこと言ってる場合か!?」
高「場合だ。んじゃ、俺、帰る」
制止していた高雅の動きは再び動き始め、扉を開け始めた。
安「ま・・・待ってよ!!」
安理明も制止の言葉を掛けた。
扉が半開きになった所で高雅は再び止まった。
安「お願い。私を助けて!!。帰らないで!!」
そして、助けを求める声。
ア(で、どうするの?)
高「はぁ~、平和はどこへやら」
A「受け取れ、高雅!!」
Aはいつの間にか掃除用具入れから長箒を一本取り出し、高雅に向かって投げた。
高雅は見ることもなく、それを受け取り、扉を閉めた。
高「じゃあ、準備運動に・・・」
そう言って歩いた先はAの所だった。
A「あっ、やっぱり許されない?」
高「もち」
パシッ!!
高雅は瞬速の一太刀をAに振り下ろしたが、Aは両手で綺麗に挟み止めた。
A「ふっふっふ、だから言ったろ?。修行したっt<ゴスッ!!>ふご!?」
高「油断し過ぎだ。アホ」
高雅は両手が塞がっているAの横腹に蹴りを喰らわせた。
Aは壁に叩きつけられ、気絶した。
高「じゃ、次はお前だ理不尽先生」
先「貴様、調子にのるんじゃねえぞ。貴様はこの問題がt「解けるに決まってんだろ」何!?」
安理明の机から問題とシャーペンをひったくると、すらすらと書き始めた。
高「うい」
先生が目で追って解答を確認するが、完全に分かっていない顔だった。
先「な・・・あ・頭がよければいいという問題ではないぞぉ!!」
高「じゃあ、その竹刀で俺を負かせてみろよ」
先「貴様~・・・俺は剣道8段の腕を持つ男だ。そして、どんな問題も解ける天才だ」
高「うわ~、何か痛いな。てか、さっき分からん顔してただろ?」
先「死ねえええええええええええええ」
高「教師が死ねって言うなああああああああああああ」
バシッ!!、ドガッ!!、バゴッ!!
高雅と名の無い先生の戦いが始まった。
ちなみに、試合はやっぱり高雅の一方試合。
先生の竹刀は綺麗な弧を描いて吹き飛んだ。
先「な・・何だこいつ!?。人間か!?」
高「失礼だな。これでも列記とした人間だ。ちょっと小細工してるが」
高雅は戦いにおいて、活性の力での身体強化は当たり前になっていた。
先「くっ・・・ふざけるな。この俺が・・・・ガキごときに」
高「あのな・・・調子に乗ってるのはお前の方だ。このイカレポンチ!!」
長箒を首に突き付け、降参を求めた。
しかし、先生は苦虫を噛んだような顔をして首に突き付けた箒を払った。
先「ふざけるな!!。ガキに負ける訳にはいかねえ!!。こうなったら・・・」
名の無い先生は一瞬の隙をついて立ち上がり、廊下へ逃げだした。
高「・・・逃げた?」
あれだけ負けを拒んでいた先生が尻尾を巻いて逃げて行った。
ア(・・・逃れば勝ち方式?)
高「まっさか~」
取りあえず、箒を掃除用具入れに戻し、帰ろうと教室を出ようとした。
安「あ・・待って!!」
高「今度は何だよ?。助けたから帰っていいだろ?」
A「いや、別に帰っていい訳ではないz「お前は寝てろ」・・・はい」
気絶から復活したAは、またすぐに目を瞑って寝た。
安「それより、助けてくれてありがとう。何かお礼をしなくちゃ」
すると、安理明は席を立って高雅の下へ走り、その勢いのまま・・・
チュ・・・
高「!?」
ア「なっ!?」
他「なにいいいいいいいいいいいい!!??」
高雅の唇を奪った。
アリアはつい声に出して驚いた。
外野の人々も授業中に関わらず声に出して驚いた。
奪った本人は嬉しそうに、はにかんでいた。
安「ありがとね///」
高「ん・・・あ・・・ああ」
高雅自身もいきなりだった為、対応がぎこちなかった。
他「リア充があああああああああああ」
何か外野が騒がしいが、高雅は完全無視した。
高「・・・じゃ、俺は帰る」
安「ダメ。帰っちゃダメ」
安理明が高雅の腕を掴んで離さず、変えさまいと必死に引っ張る。
高「は~な~せ~!!」
安「い~や~だ~!!」
安理明を引きずってでも帰ろうとするが、全く動かず、互いの力が釣り合って動かない。
安「あとちょっと。1時間でいいから」
高「長い。長すぎるだろ!!」
安「お願い。何でもするから!!」
他「な・・何でもだと!?」
高「何で外野が反応するんだ?」
先「崎村ああああああああああああああああああ!!!!」
高「あ、あいつが帰って来た・・・・って、うえぇ!?」
高雅は先生の持っていたものを見て素っ頓狂な声を上げてしまった。
戻ってきた先生は何とチェーンソーを持ってきていた。
先生は何の躊躇いもなく、恐ろしい回転音を上げながら振りかざしていた。
先「さぁ、最後のチャンスだ。俺に服従しろ」
高「先生として大丈夫か、こいつ?」
ア(少なくとも、大丈夫じゃないね)
アリアが高雅の呟きに答え、その解答を聞いて高雅はニヤリと笑った。
高(制裁、OK?)
ア(OK♪)
先「返答無しか。ならば、消え失せろおおおおおおおおお」
当たれば一撃必殺のチェーンソーを振り下ろすが、高雅は瞬時に懐に潜り込んで、チェーンソーの刃の部分ではない所を持って受け止めた。
先「何ッ!?」
高「覚悟しろよ。このゴミ虫野郎!!」
狂戦士魂のような殺気をぶつけられ、先生は死の予兆を感じ取った。
久しぶりの制裁なのか、高雅の目は殺る気に満ち溢れていた。
もちろん、高雅は一般には殺すまではしない。
ただ、殺る気全開の高雅にやられた9割の人間は死と同じ恐怖を味わう。
今、まさにその時なのだ。
ゴシャッ!!
先「ぶっ!?」
先生の顔面を容赦なく殴り、廊下まで突き飛ばす。
その衝撃でチェーンソーを落とし、先生を守るものは己の体だけになった。
グイッ
ネクタイを掴み上げ、先生を宙に浮かした。
高「先生、子供のお手本の先生が生徒に負けたからってチェーンソーを持って殺しに来るのはどうかと思いますけど?」
先「す・・スマン!!。許してくれええええええ」
高「こっちは死にかけたんですから、簡単に許すはずがないでしょ?。言った言葉には責任を取らないといけませんよ?」
先「わ・・・悪かった。もうしない!!。この通りだ」
高「もうしないは当然です。だけど、俺は許さないと言ったのです。意味、わかりますよね?」
高雅は優しい声で喋っているが、それが逆に恐怖を増幅させていた。
高雅は先生が落としたチェーンソーを拾うと電源を入れて刃が回転し始めた。
高「俺にしようとした事を、そのまま先生にしましょうか?」
ギュオオオンと回転数を上げ、さらに恐怖を思い知らせる。
高雅の天使のような笑顔は100人中100人全員が悪魔の微笑みと言うであろう。
先「ややや・・・止めろ!!。犯罪に手を染めてはいかんぞ!!」
高「染めようとした人が偉そうに仰らないでください。それじゃ・・・」
高雅は最大出力にしたチェーンソーを振り上げると、最後に笑って言った。
高「お・や・す・み♪」
先「ひえええええええええええええ」
先生はもう死ぬことを覚悟して両手で頭を抱える。
そして、言えるだけ御経を唱え始めた。
だが、いつまでたっても痛みが来ない。
先生は疑問に思い、顔をゆっくり上げた。
高「くっくっくっくっく・・・」
見えたのは、高雅が笑いを堪えていた姿だった。
しかし、我慢ができず、少し笑いが漏れていた。
高「たっははははははは・・・ひー、腹痛え・・・ぷっ」
限界に達した高雅は腹を抱えて大爆笑しだした。
先「・・・はは・・はははは」
先生も釣られて笑い出した。
しかし、先生は笑いながら思った。
チェーンソーが消えていると。
ポタ・・・ポタ・・
先「・・・・え?」
足下を見ると血溜まりが出来上がっていた。
目線を上げるとそこには・・・
頭に刺さったチェーンソーがあった・・・
先「ぎゃあああああああああああああああああああああ・・・」
高「だっははははははははははは」
先生の絶叫と高雅の高笑いが教室全体に響き渡っていた。
高「お~い?」
高雅は振り上げたチェーンソーを脇に置き、虚ろうな目をした先生の目の前で手を振っていた。
高「何だよ?。脅しで振り上げただけだろ?。何、失神してるんだ?」
ア・安「(それほど、怯えてたんだよ)」
高「二人一緒に喋るな。ややこしい」
安「二人?」
安理明は高雅の矛盾点を呟きながら首を傾げた。
高「あっ、いや、何でもない。取りあえず、先生をどうすか?」
完全に物扱いの先生を指で指しながら誰かの答えを求めた。
B「取りあえず、事情を説明して職員室に運べば?」
高「じゃ、提案者が責任を持って、そうしろ」
B「何!?。そのために周りに聞いたのか!?」
高「そゆこと。じゃあな」
高雅は再び鞄を持ち、軽く手を上げて教室を出ようとした。
安「ま・・・待って!!」
高雅が角を曲がって見えなくなりそうな時に安理明は高雅を呼び止めた。
しかし、聞こえていなかったのか、高雅はそのまま歩みを止めず、安理明の視界から消えてしまった。
安「待ってよ!!」
安理明は慌てて追いかけ、高雅が曲がった角に差し掛かった瞬間・・・
安「きゃあ!?」
腕を掴まれ、その腕を背中に回すと、そのまま壁に突き付けられた。
掴んだのは紛れもない高雅だ。
安「こ・・高雅君!?。何を!?」
高「いい加減、惚けるのも止めにしたらどうだ?」
安「え!?」
安理明は身動きも取れず、必死にもがくが高雅の力には及ばなかった。
安「どういうこt「だから、いい加減に惚けるのは止めにしろ。俺が気付かないとでも思ってるのか?」・・・」
高「テメーが先生に夢幻を見せ、操っているのはお見通しだ」
安「・・・いつから?」
安理明は冷静に聞き、高雅は冷静に答えた。
高「最初から。まぁ、確信が持てたのは昼休みだな」
安「そ。最初から疑ってたんだ。酷いね」
高「学校で妙な事をしようとする奴の方が酷い」
安「ふふふふ。流石、虹の契約者だね。ちょっと見直した」
高「だったら、このまま消されr「やだね」なっ!?」
突然、安理明の力が強くなり、高雅でも抑えられなくなってしまった。
安理明は呆気なく脱出すると、目の前に空間を裂いて高雅に言い残した。
安「勝負しよ。屋上で待ってるから」
安理明は空間の中に入り、裂いた空間は口を閉じた。
ア「コウガ、どうするの?」
高「決まってんだろ」
高雅は走り出し、階段を駆け上りだした。




