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狂い姫

久々グロ注意だよ

高雅が向かった先は草木が入り混じった森の中だった。

邪魔な雑草をかき分けて向かった先には透明な池と咲き乱れた花々と一つの墓石が立っていた。

そう、ここは崎村家の墓地である。

高「ふぅ・・・」

高雅は墓石に身を寄せて座り込んだ。

そして、一人呟きはじめた。

高「・・・母さんが贈って来たやつ、捨てちまったからな」

誰とも話すことなく、切なそうに空を見上げんがら呟き続けた。

高「だってよ、色々と事件を持ってくるし、人の話しは聞かねえし、自分勝手に話しを進めたりするし、テストじゃ不正行為するし、弱いし、気がきかねえし、もうダメダメだ。あいつがいると色々と大変だし、一人の方がめっちゃくちゃ楽だぞ」

ただただアリアの悪い所だけを伝えようとする。

遠くにある青い空の先を見つめながら。

高「だから、思い切って捨てた。今日、喧嘩したしな。ちょうどいい区切り目だった」

立ち上がって、脇に置いてあったバケツを手に取り、池で水を組んで戻ってくる。

そして、墓石の蔵に置いてあった雑巾を取り出し、濡らして墓石を拭きはじめた。

高「だけど、みょ~にスッキリしねえんだ。なんか、差し支え棒があるみたいな、そんな感じがするんだよ」

丁寧に丁寧に拭きあげ、太陽の光が反射するほどの輝きを取り戻した。

高「アリアの事が頭から離れねえんだ」

バケツの水を土に返して再び墓石に寄りかかる。

高「だから、一体このもやもやは何だろう~な~って思ってここで考える為に来たって訳。まぁ、そのついでに綺麗にしてやったんだけど。ん?、ついでじゃ失礼だな。じゃあ、アリアを考えることをついでにしといて」

?「一人で何を仰られていますか?」

高「!?」

不意に聞こえた紳士のような声に反応し、すぐに体を起こした。

ここを知っているのは高雅と龍子しかいないはずだった。

だが、そこに人はいた。

人と言っても人の恰好をしているだけだが。

セ「お久しぶりです、コウガ様」

高「セバスチャン!?」

セバスチャンは礼儀正しくお辞儀をするが、高雅は唖然とその行為を見ていた。

高「ちょっと待て、何でここを知っている!?」

セ「天国からコウガ様とアリア様の行動を仕事の合間に見ていますから」

高「プライバシーもねえな」

セ「申し訳ありません。それより・・・」

もう一度お辞儀をしたと思いきや、首だけを上げて高雅を睨みつけた。

紳士としての意外な行動に高雅は思わず一歩引いた。

高「なっ、何だよ?」

セ「アリア様が見当たりませんがどうされましたか?」

高「見てたんなら分かるだr「どうされましたか?」うおっ!?」

一瞬で高雅との距離を詰め、顔をグイッと近づけてきた。

高雅は警戒心ゼロだった為に驚いて尻もちを突いた。

セ「聞いたところによりますと、捨てたと仰られていましたようですが」

高「いっててて・・・そうだよ。捨てたんだよ。あまりにも鬱陶しいからな」

尻を擦りながらぶっきらぼうに答えた。

それでも、セバスチャンは表情一つ変えない。

セ「そうでございますか。それで、どうされます?」

高「?、どういうことだ?」

セバスチャンは高雅に背を向け、ゆっくりと前に歩きながら話しだした。

セ「今、アリア様は危機的状況に陥っています」

高「!?」

高雅が驚いている事にも関わらず、セバスチャンは止めることなく、反論を許すことなく話し続けた。

セ「このままではアリア様はやられてしまいます。とは言っても、一度捨てたものを拾いに行かれる必要はありませんが、もし気になっていますなら隣町の森林にいます。これは、しがない老人の独り言でございます」

高「・・・・・おい、ちょっと待ってろ」

セ「畏まりました」

高雅は墓石の蔵の扉を開け、中にある様々な遺品をあさりだした。

高「えーっと・・・おっ、あったあった」

蔵から出てきた高雅には引き金が付いてあるL字型の口があるものを持っていた。

そう、紛れもない小さな銃だ。

セ「それはどうされました?」

高「ひーじーちゃが持ってたんだ。何か、普通とは違う銃だって聞いたが」

※ひーじーちゃ→曾祖父ひいじいちゃん です。

セ「左様でございますか」

高「それじゃ、お前の空間で送ってくれねえか?」

セ「私が空間を扱うことをお分かりですか?」

高「当たり前だろ。意思会話は空間の応用だろ?。それなら、出来て当たり前だ」

セ「その通りでございます。それでは、どちらに?」

セバスチャンは愚問と思いつつもあえて高雅に聞いてみた。

高雅もそれを読み取っていたのか、ニヤリと笑いながら答えた。

高「不法投棄物を拾いに隣町の森林へ」









高雅とは遠く離れた別の場所の森ではアリアが追い込められていた。

マ「さあ、避けれるかな?」

マイゴが一本のナイフをアリアに向けて投げた。

ナイフの速度は遅く、距離は十分あるため、避けることは普通可能だ。


ザクッ!!


しかし、アリアは避けることができない。

ナイフは左腕に刺さり、向かい側に貫通していた。

ア(!?)

悲痛の声を上げようとしたが、何故かマイゴの近くで爆発が起きた。

マ「わぁ、危ない危ない。もう少しで巻き込まれてたよ。残念だったね」

驚く様子もなく、平然としていた。

すると、マイゴはもう一本ナイフを取り出した。

マ「それより、さっきから何踊ってるの?。おっかしい~」

アリアは左腕に刺さったナイフを抜きたいのか、手を動かそうとするが何故か足を上げたり、首を曲げたりしていた。

マ「ほんと、お姉ちゃんは面白いなぁ~」

心から笑っているマイゴの顔は既に病んでいた。

その顔にアリアは恐怖し始めていた。

マ「次は目でも狙おうかな~。あっ、外れるなんて思わないでね。いっつもお姉ちゃんに投げてたからコントロールが良くなったの」

そう言ってアリアのすぐ近くにある木に向かってナイフを投げた。

そして、両手で次々とナイフを投げると刺さった柄に刺さっていき、しまいには一本のナイフの枝が出来上がった。

マ「どう?♪」

笑顔で自分の凄さを思い知らせた。

マ「そっか、聞いても喋れないよね。じゃあ、口だけは許してあげる」

マイゴはアリアに近づき、人差し指をアリアの口に当てた。

マ「はい、もう喋れるよ」

ア「あ・・・ああ・・・あ・・・」

アリアは怯え、震えて声も出せなかった。

マ「も~、何か喋ってよ。せっかく喋れるようにしてあげたのに~・・・えい☆」


ザシュ!!


ア「きゃああああああああああああああ」

アリアの太股にナイフを突き刺した。

アリアは悲痛の声を上げ、マイゴはそれを聞いて嬉しそうに微笑んだ。

マ「いい声だね。もっと聞かせてよ」

マイゴは刺したナイフをグジュグジュと動かし、そのたんびにアリアが目を見開いて死に物狂いに叫び続けた。

ア「いたいいタイイタイ痛いいたい痛い・・・」

マ「アッハハハハハ、お姉ちゃん、いい声優になれるよ」

すると、アリアとマイゴに影が掛かった。

マ「ん?」

上を見上げると一匹の獣が飛び掛かっていた。

マ「わあっととと」

マイゴは身を投げ出すように避けた。

マ「天獣だね。それも王様」

少し不機嫌そうに天獣、もといレオを睨みつけた。

レオはマイゴを振り払うと、すぐさまアリアの様態を確認した。

血まみれなアリアの姿を見て思わず絶句してしまった。

レ「大丈夫か、アリア殿!?」

見れば大丈夫でないのは一目瞭然だったのに、つい聞いてしまった。

アリアは答えることなく、怯えた目でレオを見ていた。

レ(まずいな。精神が崩壊寸前だ。下手に噛み付いて力を抜くのも危険だな)

マ「こらー!!、無視するなー!!」

マイゴが怒りを込めてレオの頭目掛けてナイフを投げた。

レ「甘い!!」

レオはナイフの腹を叩き、避けることなく払い落した。

マ「ニヤッ」

しかし、マイゴは妖しい微笑を浮かべていた。

レオはその微笑に気付き、疑問が増えた。

レ「何が可笑しい?。貴様の力など、我にとっては無力だ」

マ「さすが天獣王だね。私の力を吸収して自分のものにする。その能力、便利だね」

レ「だからどうしたと言うのだ?。我と肉弾戦をするつもりか?。そのようなひ弱な体で」

マ「私だってバカじゃないよ。ちゃ~んと考えてるよ」

レ「ふっ、戯言ざれごとを。貴様に勝機はなi〈ザクッ!!〉ぐふっ!?」

背中につきささる鈍い音。

足下に血溜まりが出来上がり、レオは苦しみを堪えて振り向いた。

そこには、血塗られた体を動かして、ナイフを自分の背中に突き刺しているアリアがいた。

その目は既に光を失っていた。

レ「あ・・アリア・・殿・・・何故?」

マ「バーカ、バーカ。あれだけ精神を壊したら夢幻で操るなんて簡単だよ」

レ「くっ・・・その手があったか・・・」

マ「そーれ、どんどん刺しさっちゃえ☆」

マイゴはナイフを取っては投げ取っては投げ、アリアも腕を剣に変えて、さらに刺そうとした。

レ「すまぬ、アリア殿」

レオはアリアを後ろ脚で蹴り飛ばすと、すぐさま真横に避けた。

マ「それそれそれ♪。避けないと危ないよ」

容赦のないマイゴの攻撃にレオは完全におされていた。

レ(くそっ、ここは一旦引くか)

ナイフを避けながら、次第にマイゴとの距離をあけていく。

マ「逃げちゃうの?。つまらないな~」

マイゴはナイフを投げるのを止め、敵前逃亡を図るレオを見送っていた。

マ「でも、逃げられないけどね」

地面に転がっていた血の付いたナイフを取ると、それを舐めた。

マ「・・・美味しいなぁ」

狂った少女の純粋な感想だった。








逃げきったレオは草むらに隠れ、息を整えていた。

背中の傷は思ったより深く、貧血寸前まで血が無くなっていた。

レ「はぁ・・はぁ・・・くそっ、我では勝てないのか!?」

自分の弱さを嫌気をさして、近くの木に八つ当たりするように殴った。

木に止まっていた鳥達は慌てて大空へと逃げていった。

レ「このままでは勝ち目がない。何か策を練らなけれb「み~つけた♪」ッ!?」

不意に聞こえた狂った声と共に大量のナイフが一斉に飛んでいた。


グサグサグサグサ・・・!!


レ「がはっ!?」

何十もあるナイフがレオの体に突き刺さり、血を滴らせていた。

レオは痛みと血不足で意識を失った。

マ「な~んだ、悲鳴じゃないんだ。つまんないの」

レオに刺さったナイフを一本取ると、それを舌で味わって舐めた。

マ「・・・まずい。やっぱ悲鳴を上げる子の血じゃないとね」

赤く染まったつばを吐き捨てると、適当な距離を置いてナイフをレオの首に狙いを定めた。

マ「ぱ~じぇ~ろ♪、ぱ~じぇ~ろ♪、ぱ~じぇ~ろ♪」

何度か力量を計り、狙いを定めてナイフを投げた。

ナイフはレオの首に吸い込まれるような軌道を描いていた。

マ「大当たり~♪」

マイゴはもう当たることを確信していた。

だが、マイゴの思い通りにはいかなかった。


ズガンッ!!


マ「うぐっ!?」

気付いた時にはナイフは弾き飛ばされ、自分は飛ばされていた。

数メートル吹っ飛んだ先に落ち、後から腹の痛みを感じだした。

しかし、腹には傷などなかった。

マ「な・・・何!?」

注意を凝らして周りを見ると、草陰から小さな煙が上がっているのが見えた。

マ「誰だお前!?」

草陰が静かに揺れ、一人の男が出てきた。

高「人の名を聞くときは、まず自分から名乗るのが礼儀だぞ、ガキ」

紛れもない高雅だった。

高雅は煙が上がっている銃口に軽く息を吹きかけて、余裕の表情を浮かべていた。

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