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人間≒楽園

戦いが終わって1週間経った。

緑淵町は高雅によって完全に再生し、人もその日の記憶を消して再生している。

そして、今。

先「は~い。それでは、テストの結果表を返しまーす」

先生がクラス皆のテストの結果が書かれた紙をひらひらと見せていた。

クラスの9割が苦虫を噛んだか顔をしたのはご愛好。

もちろん、高雅は後の1割に分類されているが。

ア(・・・ん?。ねえ、コウガ)

高(どった?)

ア(いや、記憶消しているのに、テストの事を覚えているって変じゃないかなって)

高(あーね。それは、完全に消すより、別の記憶を創っているんだ。まぁ、あの戦いがなかったと思う記憶を)

ア(あれ、でも、まだ解き終わってない生徒もいたんじゃ)

高(そいつらは、日頃の点数とIQに比例した点数にしてある)

ア(そんな器用な事を・・・)

先「それじゃ、テストを返します」

次々とテストが返され、クラスの9割は暗い顔をしていた。

先「はい、崎村君」

高「ん」

短く返事をして受け取り、結果を見てみる。

ア(どうだった?)

高「平凡だな」

独り言のように呟きながら席に戻る。

満足のいく点数でもなければ不満がある点数でもなかったようだ。

ちなみに、高雅はあの時に既に解き終わっていた為、素の点数である。

高(しかし、全体で数点だけ落ちたな。最近、妙に忙しくて勉強してないけかな・・・)

A「さーきむらー。どうだったか?」

高「平凡」

A「お前の平凡がどのくらいか分からねえから見ろよ」

高「近寄るな。変態が移る」

A「誰が変態だ!!」

高「分からねえか。今、俺に話しかけている、うざい奴だけど」

A「俺は紳士だ!!。変態じゃない!!」

高「取りあえず、消えてくれ」

先「あなた達、速く席に着きなさい!!」

先生に注意されながら渋々席に着く二人。

周りがその光景に少しだけ笑っていた。

二人が席に着くのを見計らって、先生はとんでもない事を言いだした。

先「ちなみに、トップはA君です」

全「ぶっ!?」

クラス全員が吹き出した。

あの落ち着いている龍子ですら目を丸くして驚いている。

B「テメー!!、出番だけでなく、点数も上げるとはどういうことだ!?」

C「この、裏切り者がーーー!!」

D「いっぺん・・・死んでみる?」

E「もしもし、SWATの方ですか?。射殺してほしい者がいるのですが―――」

A「待て!!。特に後半二人待て!!。嫉妬なんかするな」

『何、こいつ』との感じで視線がAに集まっている。

精神が弱い人ならきっと死んでいるだろう。

ア(コウガ、どういうことなの!?)

高(待て。今、あいつの性格と普段の行動から何をしたか演算している)

ア(一体、どんな式が組み上がってるのよ・・・)

高雅は懸命に考え、ある一つの答えを導き出した。

高(・・・多分、あのバカがやったことが分かった)

ア(一体、何?)

高(簡単だ。タイトを使って脳を活性化したんだ。それも、半端ないほど)

ア(成程。それで、IQが跳ね上がって、点数に比例したって事?)

高(元々、点数は平均より上だしな。タイトを上手く誤魔化したんだろうな)

高雅は後で制裁を下すことを心に誓い、Aを睨みつける。

すると、Aがこちらに気付いてピースしてきた。

そのお陰で、高雅の制裁レベルが跳ね上がった。

先「はいはい、落ち着きなさい。別に誰が一位になろうと、どうでもいいこと。大事なのは、それから反省を生かして成績を伸ばすこと」

先生の言葉でこの場は納まった。

が、この後、Aは体育館の裏に呼ばれることとなるだろう。

それも、悪い方で。

先「今回の総合はテストの返却がメインではありません。メインは体育大会の出場競技を決めます」

先生は黒板に次々と種目を書いていく。

短距離、長距離、リレー、パン喰い・・・etc。

一通り書き終えた先生が再び生徒の方を見る。

先「それでは、まず何に出t〈ピンポンパンポン〉ん?」

授業中に関わらず、突然、放送が鳴りだす。

授業中の放送だけあって、教室は黙り込み、全員が放送に耳を傾けた。

その放送内容はとんでもないものだった。

放「大変です!!。猛獣が学校に入りました!!。教室を施錠し、絶対に外に出ないでください!!」

先「猛獣ですって!?」

先生が重要ワードをリピートする。

その瞬間、止まっていた静寂が動き出した。

B「何だとーーーーーーーーーー!!!???」

C「ははははは・・ははは・・はははは・・早く、かか・・かかかか・・鍵をををををををを」

D「人を呪わば、穴二つかーーーーーーーーーーー!!!!!」

E「もしもし、SWATの方ですか。ターゲットを変更して欲しいのですが―――」

クラスの9.9割が慌てふためく中、その0.1割の人間が立ち上がった。

A「よし、狩りに出よう」

全「バカか、お前!!!!!」

クラスのそんな声に関わらず、Aは廊下への扉に手を掛けた。

A「行ってきます」

そう言って廊下へ出て、姿を消した。

全員はただ唖然と見ていただけだった。

先「仕方ありません。Aの事はわすれましょう」

さらりと酷い事を言う教師。

教師の信頼度がガタ落ちしたのは言うまでもない。

ア(ねえ、コウガ)

高「ん~?」

高雅は机に突っ伏したまま微動だに動いていなかった。

クラスが慌てている為、高雅は意思会話する必要がないと思っている為、普通に声を出して答えた。

ア(Aに任せて大丈夫かな?)

高「いいんじゃね?、別に」

ア(まあ、もしもの時はコウガが動くよね)

高「そんなこと言ったら動かないのが決まりだろぉ~~~」

最後は欠伸あくびをしながら答える。

こんな状況にも関わらず欠伸を出せる高雅が凄いと思っているアリアだった。

そんな、はなから見れば独り言のように呟く高雅に近づいて来る人がいた。

龍「ねえ・・・高雅君・・・」

それは龍子だった。

高「ん~~~~?」

高雅は机に突っ伏したまま顔を合わせず答える。

龍「その・・・大丈夫・・・だよね?・・・」

高「・・・・・・・」

明らかに怯えている声で聞いて来た。

適当に相槌を打とうとした高雅も、さすがに、すぐには答えることができなかった。

そして、少しの間が経った後、高雅は口を開いた。

高「・・・大丈夫だ。どうせ、Aが片づけるだろうし」

龍「・・・そう・・・だよね・・・」

実際、龍子はAの実力を見たことはある。

それを踏まえた回答だった。

先「皆、静かにしなさい!!。騒いだら猛獣が駆けつけてきますよ!!」

先生の声は届かず、生徒は今だに騒ぎまくっている状態だ。

すると、ふと廊下を見た龍子があるものに気付いた。

龍「あ・・・あれ・・・」

龍子が指を指しながら呟く。

先生の声より遥かに小さいのに、皆が聞こえているかのように、龍子が指を指した方を見る。

そこには、窓を通して肌色の毛が見えていた。

E「出たーーーーーーーーー!!。猛獣だーーーーーーー!!」

教室の騒ぎがさらに激しくなる。

C「餌はやだーーーーーーー!!」

B「死にたくねーーーーーーーーーー!!」

高「あーー、騒がしいなーー」

眠れない高雅は顔をあげ、一応のつもりで猛獣を確認する。

すると、肌色の毛の横からひょこっとピンク色の毛も見えた。

高・ア(・・・・ピンク?・・・)

E「何だ!?、ピンク色の毛が見えるぞ」

D「希少種か!?」

先「いいから、落ち着きなさい・・・!?、崎村君!?」

高雅は席を立ち、扉の取っ手に手を掛けた。

先生やクラスの皆が高雅を見ている。

その中で、高雅は渾身の力で・・・

高「ふんっ!!」


バキン!!


鍵を折りつつ、扉をこじ開けた。

ちなみに、何故鍵をこじ開けたのかというと、鍵穴式で外から鍵を挿して開ける扉の為である。

そして、扉を開けた先にいたのは、当然・・・

フ「あ、コウガ様♪」

フィーラとレオだった。

レ「コウガ殿、ここにおられt〈ガツン!!〉ぐお!?」

フ「あみゅ、どうしましt〈ゴツン!!〉み゛ゅ!?」

高雅は取りあえず、二人を殴り、黙らせる。

先「あの・・・崎村君。一体、どういう関係で」

この聞き方は、まずい展開に良く使われる。

そしてまさに、その時である。

高「俺の妹とペットです。こいつらを家に送る為、俺は帰ります。競技は適当に短距離にしといてください」

レ「いたたた、コウガ殿、毛を引っ張らないでくれ!!」

フ「痛い痛い、コウガ様、痛いです!!」

高雅は二人の毛を引っ張り、その場から離れた。

先「ちょ・・・待ちなさい」

先生がすぐに駆け寄り、廊下に顔を出したが、その先に高雅の姿は無かった。







変わって学校屋上。

そこに、今回の迷惑の根源である二人が正座していた。

高「で、何でお前らがここにいるんだ?。怒らないから説明しろ」

高雅は見た目が笑っているが、腹の中は真っ黒に染まっている。

ア「何かあったの?」

アリアも人間の姿になって問う。

レ「あー、実はな―――」

フ「ボクが言うです」

高「どっちでもいいから早く言え」

フ「実は・・・」

すると、フィーラが顔を赤くしながら視線を横に逸らす。

そして、拍子抜けなことを言った。

フ「お腹・・・すいたです///」

高「・・・はぁ!?」

余りに普通なことに高雅はののしった。

アリアも唖然としている。

高「え!?、フィーラって飯いるの!?」

フ「当たり前です!!。ボクだって食べないと死んでしまうです」

高「じゃあ、旧校舎に住んでた時はどうしたんだよ?」

フ「その時は、この中を探索して、食べ物を見つけてたです」

そう言って下に指を指す。

高「ふーん。まあ、職員室になんかありそうだしな」

フ「でも、コウガ様の家に住んでから何も食べてなくて」

高「いや、だったら何か言えよ。それにしても、1週間も食べなくて生きられるとか、すげーな」

フ「コウガ様が食べ過ぎなだけです。普通は3日1食です」

高「逆だ!!。1日3食だ!!」

フ「違うです!!。3日1食です!!」

ア「二人共、落ち着いて」

高・ア「何も食べない奴が入ってくるな(です)!!」

ア「食べないじゃなくて、食べる必要がないだけよ」

レ「取りあえず、フィーラ殿に何か食べさせてやってはくれぬか?。朝からうるさいのだ」

高「ったく、そう言うことは言っといてくれよな」

フ「3日1食は人間では常識です。人間と楽園は同じです」

高「だーかーらー!!」

ア「もういいから、早く帰って食べさせよ」

高「・・・はぁ、わーったよ」

これ以上の抗議は無駄だと思った高雅は、アリアの言葉通り、家に帰った。

これを機に、高雅が学んだことは『人間≒楽園』だった。






☆おまけ☆


放課後。


ある所に、Aという少年がいました。

その少年は帰ろうと下駄箱に手を掛けました。

すると、下駄箱の中から一通の手紙が入っていました。

その内容を見たAはルンルン気分で体育館の裏に行きました。

そこで会ったのは・・・

B「よぉ、A様」

C「裏切り者1名到着」

D「・・・目標・・・補足・・・」

E「もしもし、例の奴を目標の地点に誘いましたので―――」

いつものメンバーである4人がいい笑顔でいました。

Aは手紙と4人を交互に見て、騙されたと気付きました。

意を決して、Aは戦うことを決めました。

タイトを使って呆気なく倒そうとしたが、腕にはいつものミサンガはありません。

どうしたのでしょう?。

Aは慌てふためき、言葉で解決しようとしました。

しかし、相手は聞く耳を持っていません。

今度は逃走を計ってみました。

しかし、呆気なく回り込まれました。

なす術を見失ったAは取りあえず、突っ込んでみました。

だけど、普通の人間は4対1では勝てません。

そして、Aはこっぴどくやられましたとさ。


高「めでたしめでたし」

ア「めでたくはないよね?」

高「気にするな」

ア「ま、いいけど。ところで、タイトは何故いなかったの?」

高「俺がすった」

ア「いつ?」

高「Aと話していた時」

ア「ふ~ん。読んでただけじゃ、分からないね」

高「それは、何でもありだ」

ア「それ言ったらお終いでしょ」

高「この小説は端からお終いだ」

ア「あははは。それじゃ、そろそろ締めよっか」

高「だな。それじゃ、また次回に」

ア「ばいば~い」

フ「コウガ様~、おかわり~」

高「・・・あの野郎。家賃、払わすぞ」

ア「ははは♪」

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