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緑の復讐編 その12、VSモノ

目の前にいるモノがエガルと認識するのに疑いがよぎる。

最早もはや、エガルは『エガル』ではなくなっていた。

体が様々な気色悪い色に変色し、片足は一体関節が何個あるのか、色んな方向に曲がっていた。

腕は前回に食い千切られたままで、代わりに伸びた無数の血管が垂れ下っていた。

さらに、首は骨が無いのか、90度真横に倒れ、肩が無ければもっと下がっていると思わせられる。

高「ひでぇ・・・もう、見るも無残な姿だ」

ア「一体・・・何が!?」

エ「アソボー・・・ネエ・・・」

エガルが唯一の腕を使って、高雅に手を伸ばす。

それも言った通り、本当に手が伸びた。

高「うお!?」

高雅は謎の現象に驚き、尻もちをつきながら避ける。

高「こいつ、何処の麦わら帽子の奴だよ!?」

などとツッコミを入れている最中にエガルは伸びた手を元に戻す。

ア「何!?、何か力を使った!?」

レ「分からぬ。奴の周りから様々な力が溢れ、判断ができぬ。あの時とは別人だ」

高「まあ、見れば見るほど別人と思うよな」

レ「見た目の意味ではない。最初に見た時より、力が増えておる」

フ「それって、力が増えたって事です?」

レ「そう言っておったのだが、理解できなかったか?」

フ「う・・うるさいです!!。ボクに口答えするなです!!」

そう言いながら、フィーラがレオの毛を引っ張る。

レ「いたたたた。申し訳なかった、申し訳なかった」

レオは何も悪くないのにただ謝っていた。

高「この主従関係、理不尽だな」

ア「コウガ、前!!」

高「ん・・・なっ!?」

その光景はエガルがみるみる巨大化している。

その大きさは5メートル程で止まった。

エ「オナカスイタ・・・オナカスイタ・・・」

そう言いながらエガルが高雅達の方に近づいてきた。

高「おいおい、俺らを食う気か?」

ア「それしか考えられないよ」

レ「どうするのだ、コウガ殿?」

フ「ボクに案があるです。ボクの夢幻で惑わせたところを倒すのです」

高「まあ、その案で行くか。んじゃ、よろしくな、フィーラ」

フ「任せろです」

フィーラはレオから飛び降りるとエガルを睨みつけた。

エ「・・・アレ・・・」

エガルの視界からは四方八方から無数の鎖が体中に巻き付き、身動きが取れなくなっていた。

エ「ウー・・・ウー・・・」

エガルは鎖を振りほどこうと、もがき始めた。

それは、夢幻に掛かった合図である。

フ「今です!!」

高「オーケー!!・・・今のセリフ、孔明だったな」

フ「あみゅ、最後に何か言いましたか?」

高「何でもねえよ」

高雅はそう言ってエガルへ剣を振りかざす。


ガッ・・・


高「なっ!?」

剣は曲がった首に目掛けて振り下ろしたが、肉質が異常に堅く、斬ることができなかった。

剣は軽く刺さったまま動かなかった。

高「くっ・・・抜けねえ!?」

エ「イタイヨ・・・イタイヨ・・・」

エガルは夢幻の所為で腕を動かせるとは分かっていない。

ただ、悲痛の声を上げることしかしない。

その間に、高雅はやっとのことで剣を引き抜き、距離を置く。

高「こいつ、肉質が堅過ぎるだろ」

レ「様々な力で肉体強化をしておるのだろう」

フ「・・・あう!?」

高「ん、どうした?」

突然、フィーラが驚倒きょうとうした声を上げた。

それは、決してエガルを見た所為ではない。

フ「皆・・・どこ・・です?・・・」

高「おい、どうした!?」

高雅はフィーラを揺すり、どこかに飛んでいる意識を呼ぶ。

しかし、フィーラはただ前を見て怯えていた。

フ「た・・助けて・・・誰か・・・」

高「おい・・・まさか!?」

レ「コウガ殿、フィーラ殿に夢幻の力が」

高「やはり・・・とにかく、今はフィーラの夢幻を解くか」

そう言って高雅はフィーラに消失の力を掛ける。

だが、フィーラの様子は何も変わらなかった。

高「・・・消失が効かねえ?」

フ「あう・・・殺される・・・・殺されるです・・・」

フィーラは夢幻の佳境に入っているのか、さっきより震えが酷くなっている。

高「なら、こっちでどうだ?」

高雅はさらに強力な虚無の力を掛けた。

フ「あう・・・・」

すると、目の前の恐怖が消えて安堵したのか、フィーラは気絶してしまった。

高「レオ、フィーラの夢幻は消えたか?」

レ「ああ、夢幻の力は消えてある」

ア「コウガ!!、後ろ!!」

高「ッ!?」

瞬時に振り向くとエガルが巨大な手をまた伸ばしてきていた。

高「っと!?」

フィーラを抱え、ギリギリで避けると、伸びた手は壁を貫いて行った。

高「嘘だろ!?。なんて威力だよ!!」

あの頑丈な壁を壊してしまう破壊力に高雅は驚きを隠せない。

高「状況が悪いな。一旦、逃げるか」

レ「分かった」

高雅はフィーラを抱えたままレオに乗り、速度の力をレオに与える。

それを使ってレオが高速でその場を離れた。

エ「マッテ・・・アソボー・・・」

エガルもグチャグチャな足を立て、見た目から思いもよらぬスピードで追い始めた。




迷宮を彷徨い逃げること10分。


何とかエガルを振り切った高雅達は壁に寄り掛かって座っていた。

高「ふう、やっと落ち着ける」

ア「それにしても、さっきフィーラちゃんが夢幻に掛かったのは何故?」

高「あくまで推測だが、奴から様々な力が溢れ出て、偶然にも『方向の力』が、これまた偶然にフィーラの方へ夢幻を返したって言う訳」

ア「そんな、偶然な・・・」

レ「確かに、奴には様々な力が溢れておる。それが正論の可能性もあるだろう」

ア「まあ、そうだけど・・・」

レオの弁論にアリアはどこか納得できないまま話は終わった。

ちなみに、方向の力とは、様々なベクトルを変更することができる力である。

シンボルカラーは後に紹介します。

ア「一体、エガルはどうしちゃったの?。もう原形も留めてない程、滅茶苦茶になったし」

高「まあ、あのハゲジジイが一体何者か分からねえからな。何とも言えねえな」

レ「だが、奴を倒すことに変わりはないと思うぞ」

高「結局はどんな理論もそこに辿り着くな。じゃあ、今度は真っ二つにしてやるか」

ア「でも、あの異常な肉質はそう簡単に斬れないよ」

高「あの肉質も活性の力で強化されているなら、虚無に勝てる訳ねえよ」

ア「そっか。じゃあ、私は虚無を溜めておくね」

高「ああ。後は俺が何とかする」

高雅は立ち上がり、目の前に別の空間を展開する。

その場所はエガルの頭上だった。

高「レオ、お前はフィーラとここに居てくれ」

レ「分かった。フィーラ殿は我に任せて存分に戦ってくるのだ」

高雅はレオの返事を背中を向けたまま、軽く手を上げて答えた。

そして、空間へ飛びこむと同時に剣を構えた。

高「これでどうだ!!」


ズブッ・・・


高「なっ!?」

剣は頭目掛けて振りかざされたが、斬れることなく、肉体に呑みこまれるように沈んだ。

高雅はエガルの頭を蹴る勢いで剣を抜き、同時に着地する。

エ「ミーツケター・・・・」

エガルは何事もなかったように振り返った。

それも、逸れた親を見つけたように微笑みながら。

その血に染まった微笑みは高雅を恐怖に陥れるような表情だった。

高「ッ!?」

エ「モウ・・・・ハナレナイヨウニ・・・・」

エガルがゆっくりと手を伸ばしてくる。

だけど、高雅は立ち竦んで茫然と立っている。

ア「コウガ!!」

高「はっ!?」

アリアの呼びかけで気付いた時には既にエガルの手の中にいた。

高「ぐ・・・この・・放せ!!」

エ「オナカスイタ・・・・」

高「テメ・・・まさか!?」

高雅の予想通り、エガルは口を開けて高雅をその口へ運ぶ。

ただ、変わり果てた口は180度開き、高雅を丸呑みできる大きさだった。

エ「・・・アレ・・・」

突然、エガルが口に運ぶのを止め、次第に高雅を掴んだ手の握力が下がってゆく。

高「何だ!?」

ア「コウガ、今の内に!!」

高「・・・そうだな」

高雅は活性の力で腕を強化し、弱ったエガルの手から抜け出した。

地面に着地すると同時に高雅はエガルから距離を取った。

高「あいつ、急に力を抜いたけど、どうしたんだ?」

ア「私が虚無の力を奴に掛けたの。あの巨体も力で、できてるからどうにかなるかなって」

高「サンキュー。偶には気が効くな」

ア「偶には、は余計だよ」

エ「マッテヨー・・・」

虚無の力が切れたか、エガルが距離を詰めて来た。

高「アリア、また虚無を頼む。今度は斬るために使う」

ア「うん」

アリアが短く返事をすると、高雅は接近するエガルへ向かい打ちに行った。

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