高雅、逝きまーす
翌日、高雅は庭でアリアが魔法陣みたいなのを描くのを見ていた。
高「何やってんだ?」
ア「天国への道を導いてもらってるの。これに気づけばすぐに行けるようになるよ」
高「ふ~ん。ところで、昨日は色々あって忘れてたけど・・・」
ア「ん、何?」
高「お前って、俺の半径500メートルに居ないといけないんだろ。天国は俺の半径500メートルに在るのか?」
ア「う~ん、何て言うか・・・ちょっと次元が違うっていうか・・・距離が不明だから」
高「おいおい、何でもありだな・・・」
ア「あっ、来たみたいよ」
急に魔法陣が光り始めた。
ア「ささ、早く魔法陣に乗って」
高「あ・・・ああ」
高雅は少し躊躇しながら入った。
ア「それじゃ、手を握って。どこかに落ちないように」
高「何で落ちるんだ?しかもどこに落ちるんだよ?」
ア「どこかはどこかよ。いいから早く」
高「はいはい」
高雅はアリアの手を握った。
高「・・・・・・」
ア「ん?どうしたの?」
高「いや・・・手を握るのってなんか久しぶりだなって・・・」
ア「それは、一人で生きていたからよ」
魔法陣がさらに輝き始めた。
高「う・・・」
高雅は余りの眩しさに目を閉じた。
高「んん・・・ってな!?」
高雅が目を開けた時、そこは豪勢な部屋の中だった。
?「お待ちしておりました、アリア様」
突然、執事みたいな天使が現れた。
ア「出迎えありがとう、セバスチャン」
高「アリア、あの人は誰だ?」
セ「申し遅れました。私はセバスチャンと申します。今後お見知りおきを」
高「どうもはじめまして、崎村高雅です」
セ「アリア様からお話は聞いております。ささ、玉座の方へ」
ア「ええ、わかってる」
アリアと高雅はセバスチャンと別れをして、玉座へ向かった。
巨大な扉の前。
高「にしては、天国って宮殿みたいなんだな。もっと、雲の上にいるって感じだと思ってた」
ア「ここは私の家で、外はそんな風に近いかな」
高「お前っていいとこのお嬢様だったのか?」
ア「うん・・・うれしくないけど・・・」
高「ふ~ん・・・それにしても、でかい扉だな。天国には巨人でもいるのか?」
ア「私は見たことないけど。多分、前にいたと思うよ」
アリアはそう言いながら扉に手を掛けた。
ア「お母様、お父様、ただ今戻りました」
すると、扉がゆっくり開き始めた。そこには・・・
兵「捕えろーー!!」
高「・・・はぁ!?」
突然、兵と思われる天使が剣を抜き、高雅に向かって大量に押し寄せて来た。
ア「な・・・何!?」
アリア自身も理解していなかった。
高「アリア!!、剣になれ!!。相手も剣なら不足はない」
ア「わ・・・わかったわ」
アリアは剣になり、高雅の手に収まった。
高「行くぜ!!。秘奥義、殺劇舞○○!!」
高雅は分かる人には分かる奥義を真似してやってみせた。
大量にいた兵が一気に全滅した。
高「ぜえぜえ・・・一体、何の真似だよ、アリア!?」
ア「私も分からない。言われていたことと違う」
?「だらしない兵のことだわ」
ア「!!・・・お母様!!」
高雅はいつの間にか玉座にいた。
そこは広大な広間で、目の前には約60段はある巨大な階段があった。その頂点に二人の天使がいた。
ア「お母様、お父様、一体どういうことですの!?」
母「愚かなる我が娘、アリアよ。一体なぜその者と契約した?」
ア「お母様、それは愚問です。私は依頼をこなしているからこの者と契約しただけです」
父「何故、お前はそんな者の使いの依頼をこなしている?。最初から決まっていた者はどうした?」
高「おい、お前何か隠しているのか?」
高雅もアリアへの質問攻めに加わった。
ア「それは、あんな人間なんて嫌だったからです」
高「俺は綺麗に無視か」
ア「常に自分の欲望のために動く人間なんて、私は嫌いです」
高「今の台詞でお前のファンが何人減ったんだろう・・・」
母「そこの者、少し黙っておれんのか?目障りである」
高「ムカッ。アリア、お前の気持ちをぶつけてやれ」
ア「コウガ?」
高「俺を殺そうとした奴なんて、ぎゃふんと言わせてやれ」
ア「・・・ありがとう、コウガ」
アリアは親に向き合い、話した。
ア「私はサキムラコウガの使い。契約者の言うことは絶対です」
父「それが何だと言うのかね」
高「つまり、こいつは俺の使いだ。異論は認めん」
母「そなたの意見なんてどうでm「お前がどうでも良くてもアリアはダメなんだ」お・・・お前だと~~~」
高「なんだよ、名前が無いならお前としか呼べないだろ、お前」
高雅は“お前”と言う言葉を強調させて言った。
母「この無礼者が!!娘共々殺してくれるわ!!」
アリアの母は突然片腕を剣に変え、高雅に向かって飛んで来た。
高「アリア、お前って親に嫌われてんのか?娘に向かって殺すってすごい親だな」
ア「いいのよ。嫌われて好都合だから。行くよ」
アリアは高雅に言われる前に剣になった。
高「待て、剣はダメだ。木刀になれ」
ア「ど・・・どうして?」
高「こういう奴は切るよりぶん殴りたい」
母「死ね!!。下種共よ!!」
ドガッ!!
母「ふぎゃ!!・・・」
高雅は飛んでくる天使を木刀で叩き落とした。
父「貴様!!、我が愛おしい愛人を!!。死んで詫びろ!!」
高「おやおや、親がそろってキャラ崩壊したよ」
ア「逃げよ、コウガ。こんな所にもう居たくない」
高「はいはい、俺も同じこと思ってたよ」
父「待て!!、下種共!!」
高雅とアリアは玉座を出て行った。
高「魔法陣到着」
ア「早く行こ、あんな分からずやな親なんてもう顔も見たくない」
高「それに、下種って言われたしな」
魔法陣が輝き始め、現世に戻ろうとした時に・・・
セ「アリア様!!」
ア「セバスチャン!?、どうしたの?」
セ「少しお待ちください」
セバスチャンは高雅とアリアの手を握った。
セ「・・・できました。これで、コウガ様もお喜びになることでしょう」
ア「何をしたの、セバスチャン?」
セ「意思会話が行えるようにしておきました。お二人は離れていても会話ができます」
ア「ありがとう、セバスチャン。やっぱり、セバスチャンは大好き」
セ「恐縮です、アリア様」
高「意思で会話ができるのは色々便利だな。ありがとうございます」
セ「どういたしまして。これから、アリア様をよろしくお願いします」
魔法陣の輝きが絶頂に達した。
高雅とアリアは家に無事帰還し、部屋で今日起こったことを話していた。
高「なんか、めちゃくちゃだったな」
ア「ごめんね、危険な目に合わせて。本当にごめん」
高「それはそうと、どうして俺なんか契約者にしようとしたんだ?」
ア「・・・あなたの親に会ったのも理由だけど、本当の決め手はコウガが私と似た境遇だったからよ」
高「似た境遇ってなんだ?」
ア「私もね、一人だったんだ」
アリアは自分の過去を簡単に話し始めた。
ア「家があんなんだったから友達もできなくて、信用というものを失い始めていたの。セバスチャンは私のことを分かってくれていたけど、親がセバスチャンにあんまり会わせなかった。それで家が嫌になって出て行って、さ迷っているとあなたの親に会ったの。そしたら、息子を救って欲しいと頼まれたの」
高「ふ~ん、唐突な話をしたな、俺の親」
高雅は少し興味が湧いてきた。
ア「最初は人間の言うことなんてムカつくって思ってたけど、あなたを少し見ていたら自分を見ている感じがしたの」
高「俺って、知らずに覗き見されていたんだな」
ア「一人で人を信用しないところが一緒だった。だから、私はあなたと、コウガと仲良くなりたいと思ったの」
高「そういうことか・・・でも、覗き見は許せんな」
ア「うう・・・」
高「う~ん、そうだな。罰を受けてもらおうかな」
ア「一体、何?」
高雅は一息置いてから話した。
高「これから、俺の許可無しにどっか行くな」
ア「え?・・・」
アリアは少しキョトンとしていた。
高「地獄の使いとかがいるだろ。そんな奴に一人で戦うのは危ないからな」
高雅は少し照れながら言った。その姿は、他に目的があるようだ。
ア「・・・うん、離れない。ちゃんと側に居る」
アリアは高雅の手を握った。
高「人間の姿で触れるな!!。蕁麻疹が出るだろ!!」
ア「あら、行く時は別に何もなかったじゃない」
高「な・・・それは・・・あの時は俺の機嫌が良かったからだ」
ア「ふふ、ほんとは握ってほしいのでしょ?。ツンデレのコウガ、かわいいね」
高「黙れ!!、やっぱ半径499メートル以内に入るな!!」
ア「男に二言は無いって聞いたことがあるよ」
高「関係ねーー!!」
高雅は怒ったまんまベットに飛び込んだ。
アリアはその姿を見守っていた。
ア「・・・あなたの親に会ったおかげで、私は最高の契約者を見つけたみたい」
アリアは高雅に聞こえないように呟いた。
☆おまけ☆
高「お前の決まっていた契約者はどんな人だったんだ?」
ア「とにかくブサイクでゲームばっかりしてて働かないでよくパソコン見て『萌え~』って言っている人だったわ」
高「・・・ニート乙」
ア「それに比べて、高雅は意外と他人のことを考えているのね」
高「はぁ!?何言ってんだよ。俺のどこが考えてんだよ!?」
ア「あら、本編見てたらわかるじゃない、ツンデレキャラ君」
高「う・・・うるせー。俺はもう寝る」
ア「ふふふ、もう少し素直になれば人生の見直しも楽になるのに」