緑の復讐編 その1、秋の生物
長かったようで短かったような夏休みも幕を閉じ、二学期が始まる今日。
ピピピピ・・・ピピピピ・・・・ピピガチャ
目ざましによって高雅は覚醒した。
だが、久しぶりの早起きによって、高雅は少し目が閉じ掛かっていた。
高「・・・Zzz」
いや、閉じていた。
器用に布団に潜った状態で、目ざましに手を置きながら寝ていた。
ア「こらーーーーーーー、起きろーーーーーーーー」
先に起きていたアリアが母親のように布団を分捕る。
高「んあ・・・おはよう・・・」
ア「ほら、早く起きて顔を洗う」
高「はいはい・・・Zzz」
ア「だから、寝るなーーーーーーーーーーーーー」
高「寝てません、寝てません」
ア「鼻ちょうちんを膨らませながら言われても説得力が欠けるけど・・・」
高「すぴー・・・」
ア「・・・こうなったら」
アリアは部屋を出て、洗面台に向かい、洗面器で水を溜め、それを高雅の部屋に持って行き・・・
ア「そr〈バシャ〉きゃあ!?」
突然、自分の顔に水が飛んで来た。
高「だから、寝てないって言っただろ。お前、情けねえな」
高雅が洗面器を持っている手を蹴り上げたため、アリアの顔はびしょ濡れになった。
ア「・・・まさか、本当に起きてたの?」
高「ご明察」
高雅は甘いなと人差し指を横に振る。
その動作を見たアリアは拳を強く握り、プルプルと震えだし・・・
ア「コウガーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
怒り爆発した。
アリアの雄叫びは軽く地鳴りがしたらしい。
時が進んで出発前。
高「んじゃ、留守番頼むぜ、レオ」
レオに挨拶をして家を出ようとしたが・・・
レ「待つのだ、コウガ殿」
レオがそれを妨げた。
高「何だよ?」
レ「ちょっと待ってくれぬか?」
それだけを告げ、レオはこの場を離れる。
するとすぐに、レオは40ページぐらいの厚さの本を咥えて戻って来た。
高「ん?、何だそれ?」
高雅はレオから本を受け取って聞く。
レ「我が登場していない間に天国でも散歩していた時に見つけた物だ」
高「おい、なに小説の裏で散歩とかしてるんだよ」
レ「と・・・取りあえず、それを読んでくれ」
高「その前に何の本なんだ?」
高雅は表紙を確認する。
そこにはこう書かれていた。
『力大百科(ただし、契約者が最強で使いの髪が蒼くて色んな力が使えて真の契約の条件がキスで契約者が異常にカナヅチな人で家に天獣がいて“残虐な黒狼”を倒していて3つのフラグが立っている力をあまり良く知らない人専用)』
高「・・・こんな人がいるのかよ?」
ええ、すぐそこにいますよww。
高「取りあえず、俺が当てはまっているかは置いといて、学校で読んでみる」
そう言って高雅は本を鞄の中に入れる。
レ「そうか。ならば、帰った後に感想を聞かせてくれぬか?」
高「わーったよ」
そう言って高雅は玄関を開け、外へ出た。
登校省略。
学校に到着した高雅は早速、机に着く。
ちなみに、まだ誰も登校していない。
高「さーって、着いたことだし、寝るとするか」
ア「あれ、あの本を見るんじゃなかったの?」
高「あ、そうだった」
アリアの言葉で気づいた高雅は鞄から本を取り出した。
高「えーっと、なになに・・・」
高雅は最初のページを開ける。
そこには、こう書かれてあった。
力とは。
力とは楽園によって作られたモノであり、天に存ずる選ばれし者が力を分け与えられる。
さらに、力は子孫に受け継がれる。
家系によっては複数の力を所有する者も現れるだろう。
力を持つことによって体に害は生じないが、髪色が変色する。
これについては、今だに不明である。
力を複数持つの者はより強力な力が髪色を変える。
高「なんか・・・今さらって感じがするな」
ア「あっ、でも、次の文は知らないことだよ」
力を使うにあたって。
普通に単発で使うこともできるが、他にも『合成力』と『融合力』が存在する。
合成力は複数の力をまとめて扱うことで、力の範囲を拡大、力の攻撃の多重付加などが起こることを言う。
融合力は複数の力を合わせることで、全く別の力を生み出すことを言う。
以下のページは融合力の例を幾つか記す。
高「・・・ふーん」
ア「つまり、私達はよく合成力を使っていたってことね」
高「だな。大体、説明文はこんだけかよ。何が力大百科だ。別に大百科レベルじゃねえぞ」
ア「取りあえず、次からのページにある融合力を見ようよ」
高「へいへい」
パラパラパラパラ・・・
高雅は見開き2ページを約0.5秒の速さで捲る。
高「よし、見終わった」
ア「早いよ!!。絶対一つも覚えてないよね!?」
高「いや、全部覚えた」
ア「嘘!?」
高「そんじゃ、俺は寝る」
高雅は本を鞄に戻し、机に突っ伏し、眠り始めた。
ア「私なんか、最初にチラッと見えたのしか覚えてないのに・・・」
まあ、あれから始業式やら宿題回収やらあって現在は・・・
先「はーーーーーーーーーーーい、今から実力テストをするよーーーーーーーーー」
異様にテンションが高いはさて置き、クラスは不満に満ちたオーラに包まれていた。
高「それにしても、何で先生はあんなにテンションが高いんだ?」
ア(きっと、久しぶりの出番だからよ)
高「なーるほど」
先「それじゃーーーーーーーーーー、テスト開始ーーーーーーーーーーー」
高「あれ、いつの間にかテスト用紙が机の上に」
ア(気にしたら負けってやつだよ)
取りあえず、高雅は目の前の問題を解き始めた。
数分後。
解き終わった高雅は残り時間を適当に頬杖しながら外でも眺めていた。
高(・・・蜻蛉かー)
窓ガラスには数匹の蜻蛉が映っていた。
高(もう秋だな~)
蜻蛉を見ながら秋を感じている高雅だが、何か不審を感じる。
高「・・・・ん?」
それは、蜻蛉がウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャウジャ・・・
高「おい!!、多すぎるだろ!!」
さすがの高雅も声に出して言う。
外野は何だあれ、とか、キモイ、とか言ってるようだ。
先「こら、気にしたら負けよ!!。何か起きたら私の出番が減るわ!!」
いや、もう手遅れです。
既に蜻蛉は窓ガラス全体を覆うように張り付き、太陽の光が入っていない。
教室内は夜を感じさせるほど電光灯が輝いていた。
ピキ・・・ピキキ・・・
塵も積もれば山となると言うのがピッタリだろう。
異常な蜻蛉の量の圧力の為、窓ガラスにヒビが入り始めた。
先「全員、退避ーーーーーーーーーーーー!!!!」
あー、先生のキャラが壊れちゃってるのは気にしないでww。
殆どの生徒は、うわああああ、て言いながら教室を我先に雪崩出て行った。
だが、高雅とAは出なかった。
高「おい、さっさと逃げなくていいのか?」
A「ちっちっち。これを斬れ抜けば俺は一躍ヒーローだぜ」
高「おいおい・・・」
龍「高雅君、A君・・・早く!!」
龍子は二人を心配して待っていてくれた。
高「んじゃ、俺は行くぞ」
A「行っとけ行っとけ。次に会う時は拝むんだな」
高雅はそんな話などは聞かずにさっさと龍子と逃げていった。
バリバリーン!!
ちょうど窓ガラスの耐久が無くなり、無数の蜻蛉が教室へ潜入する。
A「行くぜ、タイト!!。主人公の活躍を描こうじゃねえか!!」
果たして、Aはどうなってしまうのか!?