旧校舎の秘密? 前編
雲が空を覆い、星一つ見えない、月明かりもない薄暗い夜。
そんな暗い中、そしてこの時期にやることは一つ。
A「肝試しだーーーーーーーーー!!!!!!!」
高「黙れ」
ドガッ!!
高雅の踵落としが脳天に炸裂。
Aは頭から煙を上げ、倒れた。
高「取りあえず、どうしてこうなったか説明をしねえとな」
ア「誰に?」
高「俺らを支えてくれてる人達だ」
ア「それって誰?」
高「俺の嫌いな人間だ」
ア「そうじゃなくて・・・その・・・何て言うか・・・」
高「あー!!、もう鬱陶しい。さっさと説明を始めろ!!」
はいはーい。
今、高雅達は夜の緑淵高校にいます。
ひょんなことからAが肝試しをしようと言うことになり、もちろん高雅は断ったが、アリアが拒否権を破壊し、そして人数集めで誘った結果・・・
高雅・アリア・蓮田・ログナ・A・タイト・凛・香凛・龍子・夢
がそろった。
高「にしては、お譲さまの姫花姉妹が来るとは思ってなかったな」
凛「生徒が学校で何かしでかすのを黙って見ておれませんわ」
香「ほんとは、高君に会いたいだけじゃないの?」
その言葉を聞いた凛は爆発寸前まで赤くなっていた。
凛「ば・・・バカな事を言うんじゃありません。私は香凛とは違いますわ///」
香「ほんとなの~?」
香凛が疑いの目で凛を凝視する。
凛は見ておれず、目を逸らしながら話を戻す。
凛「そ・・・それより、ここで何をしますの?」
それを待ってました、というようにAが生き返り、すかさず説明に入った。
A「さっきも言った通り、ここで肝試しをする。男女で二人一組になって、旧校舎の2-Aに到着すればいい。ただし、道はあらかじめ決められてるからそれに従うのが条件だ」
高「何でここなんだ?」
A「よくぞ聞いてくれた。実はな、最近、妙な噂があるんだよ」
Aが声を低くしてそれらしい空気を作る。
A「ここに出入りしている人がいたらしくてな。ある先生がそいつを突き止めようとしたんだ。しかし、その先生は戻ってくることはなかった・・・」
凛「・・・ごくり」
凛が恐怖のあまり息を呑む。
Aの話はまだ続く。
A「それで、別の先生が入ったんだ。その先生は入って10分ぐらいで出たそうだ。その人は愕然としながら口をパクパク動かしていたそうだ。その様子だけでは分からないため、他の先生達も入ったそうだ。そして、全員が見た物は・・・」
高雅、タイト以外はAの作る間の時間で息を呑みこんだ。
そのタイミングを見計らってAが喋った。
A「最初に入った人の首が落ちてあったのさ・・・」
凛「きゃあああああああああああああああああああああああ」
凛が異常な奇声を発声する。
それは、クッ○先生も驚きの高音領域だった。
全員は瞬時に耳を塞ぎ、一時耳鳴りが鳴りやまなかった。
高「~~~っ!!。耳いてーーーー」
A「くーーーー、まさかここまで驚くとは・・・」
高「それよりさ、仕掛けはあるのかよ?」
A「ふっふっふ、それはとてーもこわーくおそろしーく複雑ーな奥深ーi「要するにあるんだな?」はい・・・」
高雅はこれ以上延ばしたらぶっ殺すという思いを込めながら冷酷な声で割り込んだ。
ロ「んでさ、どうやって組分けするつもりだ?」
それを聞いたAは両手をポッケに入れ、すぐにある物を握って取り出した。
それは片手に5本、計10本の割り箸だ。
A「さあ、男はこっち。女はこっち。それぞれ数字が書いてあるからそれと同じ人(使い)がペア。順番もその番号順だから」
皆は一斉に割り箸へ群がり、一本取って距離を置き、確認する。
その結果がこちら・・・
1 A・夢
2 蓮田・香凛
3 ログナ・龍子
4 高雅・凛
5 アリア・タイト
その後、Aは各組に懐中電灯を渡した。
A「それじゃ、最初のペアが入ってから5分後に次のペアが入るってことで」
高「じゃあ、最初の奴はさっさと入れ」
A「おい!!、まずは何かペアになった感想とか述べさせろよ!!」
高「脇役2名が語っても面白くない。と言うことでさっさと行け」
夢「ちょいまち!!。あたし達の扱いが酷過ぎない!?」
高「黙ってさっさと行く!!」
高雅はしつこく迫る二人を旧校舎内へ蹴り飛ばした。
扉はバギッという音を立てて金具が外れ、壊れた。
ア「本当に扱いが酷過ぎないかな?」
高「俺はさっさと終わらせて寝たいんだ!!」
ア「それだけで・・・」
アリアは呆れて言葉が出なかった。
5分後。
高「そろそろ次行こうぜ」
蓮「次は僕の番だね」
蓮田がやる気に満ちた目で入口に立つが香凛が隣にいなかった。
それを見た高雅が香凛を促せる。
もちろん、自分の睡眠の為に。
高「おい、香凛。さっさと行けよ」
香「ぶ~、高君とがいいの」
香凛は頬を膨らませながら訴えかけている。
しかし、早く寝たい高雅にとって、それは全くの無意味だった。
高「さっさと行かねえと嫌いになるぞ」
香「う~・・・それも嫌なの」
高「じゃあさっさと行け」
香「・・・わかったの」
香凛はがっくりしながらも旧校舎に足を進めた。
蓮田も香凛の一歩前を常に歩いていった。
その姿に、ログナは共感していた。
ロ「さすが蓮田。男だね~」
高「よくもまあ、小さいのに勇気があるな」
ア「それって私達みたいな不思議なことに慣れてるってことじゃないの?」
それを聞いたログナと高雅は黙って考え、何か罪悪感に溺れ始めた。
ロ「そうだよな・・・俺みたいなオバケに等しい存在がいるもんな・・・」
高「何か・・・蓮田は普通から離れさせてしまったかもな・・・」
ア「・・・反省しよっか」
3人は蓮田のこれからを考えつつ、反省会を始めた。
龍「・・・何やってるのだろう?・・・」
凛「分かりませんわ」
龍子と凛はそれを横目に見ながら旧校舎を見ていた。
また5分後
高「次、さっさと行け」
ロ「問答無用な扱いだな。まあ、いいけど」
高「いいならさっさと行け」
ロ「わーったわーった。ほんじゃ、行こっか、スギっち」
龍「う・・・うん・・・(スギっちって・・・)」
高「馴れ馴れしいな」
ロ「俺っちは誰とでも友達になれるのさ!!キラーン☆」
ログナはどっかの熱血教師のように歯を光らせた。
高「暑苦しい・・・修○には劣るが」
ロ「シューーーーーーーーーーーーーー・・・z「させるか!!。さっさと行きやがれ!!」ふぎゃあああああああああああああああああ」
高雅はログナを蹴り飛ばし、見事旧校舎の中へストライク。
それを追うように龍子が入って行った。
またまた5分後
高「やっと俺の番か」
凛「正確には私達の番ですわ」
凛が指摘をするが高雅は聞いていない。
高雅は扉のあった場所の目の前に立った。
高「アリア達もすぐに来いよ。もう3分で来い」
ア「ダメだよ。ちゃんと従わなくちゃ」
高「ちぇ、ちゃっかりしてるな」
高雅は用件を言い終わると早足で旧校舎に入って行った。
凛も高雅の早足について行くため駆け足でついて行った。
変わって旧校舎内部。
床や壁は埃で白く濁り、壁隅は蜘蛛の巣が張り巡らされている。
そんな中、高雅は顔色変えることなく、速度を変えることなく進んでいく。
凛はそれについて行くのにやっとである。
凛「はぁ・・・はぁ・・・ちょっと、待ってくださる・・・」
遂に限界がきたのか、凛は両手で膝に体重を乗せ休憩する。
さすがの高雅も置いて行くことはなく、立ち止って振り返る。
高「ばてたか?。だらしねえな」
凛「そのようなことを言われましても・・・はぁ・・・」
高「・・・ったく、1分間だけ休憩だ」
そう言って高雅は廊下窓から外を眺める。
その時だった。
高「・・・・ん?」
ふと物陰から動く物体が見えた。
だが、それは何なのかは分からなかった。
動物だったのか人だったのか・・・あるいは、天国か地獄の使いだったのか。
それとも見間違いか。
高「・・・・誰だったんだ?」
高雅は見間違いを選択しなかった。
それは正しかっただろう。
しかし、正しくてもこれから起こることを防ぐことはできない。
・・・いや、できなかった。