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姫花家

高雅は暇を使って適当に散歩していた。

高「夏休みはほんと暇だな~」

ア「でも、学校よりマシなんでしょ?」

高「まあな。でも、ほんと暇だ~」

とか言っているが、それもつかの間。

突然、黒い高級そうな車が高雅の目の前に停まった。

高「ん、何だ?」

車からあの時のガードマンに似たような人が2名ほど出てきて、高雅に近づいた。

ガA「あなたが崎村高雅様ですね?」

高「様?、お前ら誰だ!?」

ガB「香凛様があなたに直接会って礼を述べたいと仰られている。どうか、ご同行願いたい」

高「かりん?・・・あっ、あの少女か」

ガA「取りあえず、断ってでも連れて行きます」

高「は!?、拒否権なしかよ!!」

ガB「お許しください。香凛様が絶対に連れて来いと仰ったもので」

高「力づくで連れていけると思ってるのか?」

高雅が戦闘準備に取り掛かる。

ガA「あなたの実力は他の仲間から聞いています。正規の戦い方では、私達はあなたに勝てません。ですから・・・」

すると、内ポケットからスイッチのようなものを取り出した。

高「何をする気だ?」

ポチッとスイッチを押す。

すると、マンホールから怪しい煙が発生した。

ア「きゃ!?」

高「うおっ!?、何だ!?」

ガードマン達はすぐにガスマスクをする。

ア「あれ・・・何だか・・・ねむ・・く・・・・」

高「くそ・・・睡眠ガスかよ・・・く・・・」

高雅とアリアはその場に倒れこんだ。

ガA「お許しください。我々は香凛様に絶対と誓いましたので」

ガB「ところで、この女はどうする?」

ガA「崎村様の彼女であろう。一応、ともに連れて行こう」

ガードマン達は高雅とアリアを車に乗せ、走らせた。







高「・・・・ん・・・うう・・・ここは?」

気が付くと見知らぬベットで眠っていた。

高「・・・あいつの家か・・・」

寝起きに関わらず、高雅はすぐに理解した。

高「靴が置いてある。よっぽど広くて豪邸だろうな」

ふと部屋を見渡せば、ちょっと離れた場所にあるベットでアリアも眠っていた。

すると、ドアが不意に開けられた。

香「あっ!!、起きてるの!!」

こんなことになった根源の香凛である。

高雅は起き上がり、ベットに座る。

高「おいテメー、いくらなんでもやり過ぎだろ」

香「何がなの?」

香凛は首を横に傾ける。

高「これは完全に人攫いだ」

香「カリン、そんなつもりはないの。ただお礼が言いたいだけなの」

高「別に大したこと・・・だよな。よく思うと」

そりゃそうです。

だって怪我を治すだけでなくガンを治してしまったからね。

しかも、道端で。(まあ、このことは香凛本人は知らないけど)

香「ガンと怪我を治してくれてありがとうなの。でも、どうやって治したの?」

高「その前に、何で俺だと思うんだ?」

香「だって、医者はもう死ぬって言って諦めたから・・・えっと・・・」

高「崎村だ」

香「下の名前は何なの?」

高「高雅だ」

香「じゃあ、高君なの。それで、高君しか考えられないの」

高「年上を軽々しく呼ぶな」

香「それより、高君はどうやってカリンを助けたの?」

高「それは・・・えっと・・・」

高雅は『天使の力で助けた』とか言えるとは思っていない。

取りあえず、適当に嘘を考えていた。

ア「私の力を使ったの」

それをブチ壊すアリアだった。

高「おい!!、そんなこと言ったら、ただの変人だと思われるぞ!!。てか、いつ起きた!?」

ア「ついさっき。それに、いずれ、知ってしまうからいいじゃない」

香「どういうことなの?」

アリアはかがんで香凛の目線に合わせた。

ア「私はアリア。こう見えて天使よ。よろしくねカリンちゃん」

香「天使!?、すごーい」

高「おれ、この子の将来が心配になって来た・・・」

すると、ドアからまた誰かが入って来た。

凛「失礼します。香凛、これをお客様と一緒に・・・」

コップとお菓子を持ったまま固まっている凛がいた。

高「え!?、姫花!?。じゃあ、まさかここ・・・姫花の家!?」

凛「さ・・・崎村さん!?。じゃあ、香凛を助けたっていうのは・・・」

香「ありがとうなの、凛姉ちゃん。それより凛姉ちゃんすごいの。アリア姉ちゃんは天使なの」

凛「アリア?、そのような異国の人の名前は知りませんわ」

ア「えっと、初めまして。私はアリア。天使よ」

凛「あなた、私をバカにしていますの?」

ア「本当よ。信じてよ」

凛「信じられません。香凛、このような人とは付き合ってはいけません」

ア「そんな・・・」

高「諦めろ。これが現実だ」

ア「でも、あの時はすぐに受け入れてたよ」

高「状況が違うんだ。それに、あの時はもう無い」


ビー、ビー、ビー・・・


突然、警報が鳴った。

高「な・・・何事だ!?」

香「心配ないの。きっと野良犬が迷い込んだだけなの」

凛「最近、野良犬がセンサーに引っ掛かることが多い事ですわね」

高「なーんだ。そうなのか・・・」

高雅は靴を履き、一応窓から外の様子を確認する。

すると、一足先にアリアが気づいた。

ア「コウガ、何かが向かってくる」

高「わかってる。アリア、行くぞ」

高雅は野良犬では無いことを判断した。

香「何処に行くなの?」

高「俺に対してのお客さんだ」

凛「何故わかりますの?」

高「そこの天使が教えてくれたからだ」

凛「崎村さんも私をバカにするつもりですの?」

高「そもそも、俺よりバカだし」

凛「何ですって!!」

高「おっと、こうしてる内に敵さんがこっちに気づいて来たようだ」

再び窓から外を見ると誰かがこちらに向かっていた。


バリーン!!


凛・香「きゃあ!?」

その者は豪快に窓ガラスを割って入って来た。

?「見つけたぜ!!、コウガ!!」

その者は堂々と額に宝石が付いてあった。

高「誰だ?。お前に名乗った覚えはないが」

ジ「俺は地獄の使い、ジゴクエーだ!!」

高「あーあ、遂に敵までも使い捨てになったか」

ジ「んなことは関係ねえ!!。命よこせや!!」

高「アリア、行くぞ」

ア「うん」

アリアは双剣になった。

凛「ひ・・・人が刀に・・・」

香「やっぱり、アリア姉ちゃんは天使なの」

高「いや、形状変化だけで天使と決めるのは間違いだと思うぞ」

ジ「無視するなや!!」

ジゴクエーが高雅に突っ込んで来た。

高「悪いがソッコーで消えてもらう」

ジ「生意気をーーーーぶっ!?」

ジゴクエーは突然現れた壁に思いっきりぶつかる。

その衝撃で宝石は砕けた。

高「もろ!?」

ジゴクエーは無残にも消えていった。

ア「今までの中で最短記録だね」

アリアは人間の姿に戻った。

香「かっこいーなの」

高「実際、壁を出しただけで、かっこいいとこは何一つなかったけど」

凛「崎村さん、どういうことか説明してくださる?」

高「はいはい、分かりましたよ」


斯く斯く然然


凛「・・・・・・」

高「信用できてねえ顔だな」

凛「しかし、目の前で起こったことを見ぬふりをする訳にもいきませんわ」

香「よし、私、決めたなの」

凛「どうしましたの、香凛?」

香「私、高君のお嫁さんになるの!!」

凛・ア「ええーーーー!!??」

高「どっからそういう決断ができるんだ?」

凛とアリアが香凛の提案を懸命に否定する。

凛「ちょっと香凛。あなた、まだ小学4年生でしょ!?。年の差がありすぎますわ」

香「愛に年の差なんて関係ないの。テレビでいってたの」

ア「そ・・・それに、そんな大切なことはもっとよく考えないと」

香「大丈夫なの。高君はかっこよくて優しくて強いの。だから決定なの」

ア「大丈夫じゃないの!!。お互いの意思が必要なの!!。勝手に決めちゃダメなの!!」

高「おい、口調が移ってるぞ」

香「じゃあ、高君。結婚してくださいなの!!」

香凛が深く頭を下げる。

凛「崎村さん、あなたは分かっていますよね?」

ア「コウガ、分かってるよね、よね?」

凛とアリアが恐ろしいオーラを出しながら尋ねてきた。

高「おい、別の口調が移ってるって!!。それに、俺はロリコンじゃねえ!!」

香「嫌なの・・・」

香凛が目をうるうるさせながら訴える。

普通の男性なら負けているが高雅は違う。

高「そんな目をしたってお断りだ」

ア「さすがコウガ」

凛「分かっていらっしゃったようですわね」

すると、香凛が体を震わせながら呟く。

香「・・・・・めない・・・・」

高「ん?、何だって」

香「カリン、諦めないの!!」

香凛は勢いよくドアを開けて出て行った。

高「・・・何か、後味が悪いな。取りあえず、もう帰るか」

凛「でしたら玄関まで案内しますわ」

高雅達も部屋を出て玄関へ向かった。







高雅達は門まで歩いている。

玄関から門まででも100メートルはあった。

凛「ところで崎村さん。帰り道は分かっていますの?」

高「・・・分からねえ」

凛「そうだと思いましたわ。ここは緑淵町の隣町ですから」

高「適当に飛んで帰るかな」

凛「何を言っていますの!!。ちゃんと使用人に送らせてあげますわ」

高「そうか。わざわざありがとな」

凛「べっ・・・別に崎村さんの為ではありませんわ。どうせ、香凛が無理やり連れて来たと思いますから、姫花家としてのお詫びですわ///」

ア「リンちゃんもツンデレだね」

凛「アリアさん、聞こえていますわよ」

凛がアリアを睨みつける。

アリアは苦笑いで誤魔化した。

高「それより、何で俺をすぐに見つけることができたんだ?」

凛「香凛はあれでも天才ですわ。特に絵なんて右に出るものはいませんわ」

すると、凛が一枚の絵を取り出した。

そこにはリンゴが描かれていた。

高「ほえー、これはすげーな。近くで見ても絵か分からねえな」

ア「ほんと、つい手を出してしまいそうだね」

凛「きっと崎村さんの自画像を描いて、それを使って姫花家で名前を調べ上げ、住所も調べればすぐに分かりますわ」

高「おい、プライバシーはどうしてくれるんだよ?」

凛「それより、崎村さん」

高「何だ?」

すると、凛が目を泳がせながら言った。

凛「この前のテストで負けてしまい、関わるなと言っていましたが・・・それを踏まえてですが・・・こんなことを言うのは勝手かもしれませんが・・・その・・・」

高「はっきり言え」

凛は大きく深呼吸をして、高雅の目を見て言った。

凛「私と友達になってくれませんか?」

高「確かに勝手な話だな」

その言葉を聞いた凛はまた顔を逸らした。

凛「私は男の方と友達になったことがありません。崎村さんとはよく話せるというか・・・その・・・心を許せるというか・・・///」

高「別にいいぞ」

凛「・・・へっ!?」

あまりにも呆気ないことに凛は開いた口が塞がらなかった。

高「最近、人間というものを見直すようになってな。お前なら別にいいぞ」

凛「あ・・・ありがとうございます」

高「ただし、条件がある」

凛「な・・・何ですの?」

高「アリアのことを天使と踏まえた上で、アリアとも友達になれ」

ア「コウガ・・・」

凛「・・・分かりましたわ」

凛は少し考えたがすぐに条件に乗った。

高「じゃあ、改めてよろしくな」

高雅が手を差し伸べる。

凛「こ・・・こちらこそよろしくお願いしますわ///」

恥ずかしながらも高雅の手を握る。

ア「私も、よろしくね」

凛「ええ、よろしくお願いしますわ」

アリアと凛も握手をする。

こうして、ここに新しい絆が生まれた。

高「・・・とか言って歩いている内に、いつの間にか門の前に着いたな」

門のすぐ前には車が一台停まっていた。

高雅とアリアはそれに乗った。

凛「それでは崎村さん、アリアさん、ごきげんよう」

高「じゃあな」

ア「またね、リンちゃん」

車は発進し、高雅とアリアは姫花家を後にした。

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