天獄戦争編 その4、戦う理由
体育館の入口の前。
高雅が扉に手をやるとアリアがそれを止めるように言った。
ア「待ってよコウガ。罠かもしれないよ」
高「罠でも姫花を助けねえと。あいつに何かがあったら俺の所為だからな」
ア「そう・・・わかったよ」
アリアはそれ以上は何も言わずに覚悟を決めた。
高「行くぞ」
ガラララ・・・
高「あれ!?」
ア「これは一体!?」
体育館の中は怪我をした天国兵で埋め尽くされていた。
それを回復させるために医療組が必死になって治療している。
余りにも忙しいのか、高雅のことには気づいてなかった。
一人除いて・・・
高「おい、天国は地獄に負けているのかよ!?」
ロ「コウガっちーーーーーーーーーー」
高「ふごっ!?」
前回予告していたキャラが高雅の真横からタックルして圧し掛かって来た。
蓮「こうが兄ちゃん、また会えたね」
ロ「話が全然違うじゃねえか!!。めちゃくちゃピンチじゃねえか!!」
ログナは高雅の襟元を掴んで頭を振りながら訴えていた。
高「おい・・・ちょ・・・気分が・・・悪・・うっぷ・・・」
高雅は吐きそうになり、口を両手で塞いだ。
ロ「おっと、すまねえ。つい気が動転してたもんだから」
ログナは手を放し、高雅から降りた。
ア「ねえログナ。女の人間を持った黒い巨人がここに来なかった?」
ロ「おいおい、そんなのがここにいたらパニクッてるに決まってんだろう」
高「やっぱり・・・罠!?」
蓮「罠?」
高雅がそう言った瞬間・・・
ブオン!!
突如、昼間にも関わらず真っ暗になった。
そこにいる人々が慌てふためき、ざわめく声が聞こえていた。
高「な・・・何だ!?」
ロ「うおーー、真っ暗だーー」
ア「何が起きてるの!?」
蓮「暗いよー、怖いよー」
完全に光が消えており、目が慣れても何も見えない。
ロ「きっと、地獄に呑まれたんだーー。うわーーーん、お母ちゃーーーん」
パチッ
その音とともに明かりが点いた。
高「電気点ければいいだけだろうが」
高雅は体育館の電気のスイッチの場所を暗記しており、暗闇の中でも普通に電気を点けることができる。
しかし、分かっていても簡単にはできない。
高雅が主人公だからできる技である。
高「しかし、これはさっきの壁と同じやつだな」
高雅が見渡す限り、外へと繋がるあらゆる出口が壁となっていた。
?「はい、注目~」
突如、ステージの方から声が聞こえた。
その声に反応し、全員はステージの方を向いた。
そこには、あの銀髪の者がいた。
?「どうも~、地獄の者です~」
高「誰だ、あいつ?」
シ「名前はシューロです~。それでは本題n<ゴンッ!!>いって~」
?「とろいのでしゅ。さっさとするゅのだ」
突然、何処からともなくあの紫髪の少女が現れた。
高「あのチビ、どっから出てきたんだ!?」
?「聞こえてるゅぞ、虹の契約者!!」
高「あちゃー、地獄耳だったか」
紫髪の少女が指を突き付けて言った為、天国側もようやく高雅に気づいた。
それだけで、天国側はまた慌てだした。
高「落ち着かねえ奴らだな」
シ「それよりさ~、虹さんよ~。あんたはこれを探してんだろ~」
高「ん・・・ッ!?、姫花!?」
凛「んぐ・・・んん・・・」
シューロの手にはさっきまでいなかった姫花が捕まっていた。
高「姫花を返せ!!!!」
シ「じゃあさ~、取引しないか~?」
高「く・・・・わかった。話を聞いてやるよ」
どうせ、ろくでもないことだと高雅は考えていた。
シ「じゃ~さ~、あんたの使いと交換ってことでどうだ?」
高「アリアを!?」
シ「ちなみに釘を指しておくけど、30秒で答えなかったらこの子死ぬぞ~」
高「なっ!?」
シ「29~」
シューロはカウントダウンを始めた。
ア「コウガ、私をあいつに渡して」
高「ふざけるな!!。そんなことができるか!!」
高雅は頭をフル回転して考えた。
このまま凛を殺すと、後で再生の力で復活させることができるが敵は地獄の使い。そのぐらいの対策はしている可能性もある。大体、凛に死の恐怖を味あわせたくない。
だったらでアリアを渡すと、その後に攻撃されれば敵は2人、呆気なく殺されるだろう。そして、その後に凛やログナ、蓮田も殺されてしまう。
シ「15~」
高「・・・・・・」
ロ「・・・・!?」
高「わかった。アリアを渡そう」
高雅は腰の双剣を抜いた。
?「さあ、早くそれを置いてはなれるゅのだ」
高雅はステージに近づき、双剣を置こうとしたその瞬間・・・
ロ「ぎゃーーー、ディバイトがいるーーーーー」
ログナは天を指しながら叫んだ。
天国側全員が天を向く。
シ「何!?」
シューロは天を見上げたが、もう一人は見上げなかった。
?「ふっふっふっふ、そんなハッタリに騙され<チョンチョン>るゅと思っているゅのか。まだまだ甘いの<チョンチョン>なんじゃ!?。さっきからうっとおしいのだ」
シ「いや、本当にいるぞ~」
?「にゃにゅ!?」
高「噛んだのかマジなのか分かんねえな」
紫髪の少女も天を見上げた。そこには男性に黒い羽を生やしたディバイトがいた。
?「そ・・・総司令官!?。いつからそこにいましゅたのですか!?」
高「つい10秒前に俺が創った」
シ・?「あっ!?」
高雅は既に敵の裏側に着いていた。
ロ「よーし、俺っちが解説しよう。実はコウガっちが“上に向かってディバイトがいるって言え”という文字を背中に創造していたのだ」
そして、高雅の計画通りになったというわけだ。
高「凛を返してもらう」
そう言った瞬間に高雅の姿が残像に化した。
敵はそれに気づいていない。
シ「この、潰れてしまえー!!」
シューロは突然、大岩を高雅(残像)の頭上に創造した。
大岩は落下し、高雅(残像)を潰した。
シ「ふははははは、これは勲章をもらえるぞー」
高「だったら俺が、テメーの背中にでっかい勲章を刻んでやるよ!!」
シ「何!?、何で後ろにー!!」
ズババババババ!!
シ「ぎゃああああああああああ」
高雅の瞬速の乱舞がシューロの背中を刻みつけた。
その傷は緑淵高校の校章だった。
痛みによって凛を放したのを、高雅は見逃さなかった。
高「姫花を返却させてもらう」
高雅はすぐに凛を抱え、距離を取った。
シ「いっててててててて~」
?「何やってるゅんだ!!。それでも地獄の使いなのか!?」
シ「だったら、メビーは見破ったのかよー!?」
メ「うるゅしゃい!!。現場指揮官に逆らっちゃダメ!!。総司令官に言われたのをわしゅれたのですか!?」
シ「俺はテメーが現場指揮官なんて認めてねえんだよー!!!」
メ「にゃんだとー!!!。部下のくせに偉そうだぞ!!」
シ「お前はガキのくせに偉そうだー!!」
高「そろそろいいか?」
シ・メ「えっ!?」
シューロとメビーはそろって高雅の方を向いた。
高「色々教えてくれて、ありがとな」
高雅は双剣を束にして両手で持ち、双剣は少し黒みかかった蒼色に輝いていた。
高「集え、響け、全てを滅する刃と化せ・・・」
この技、あれのパクリです。
高「○スト・○ォン・ドラ○ブ!!!!」
剣先を敵に向けた瞬間、巨大な蒼と黒のレーザーのようなものが放たれた。
高雅はオリジナルで破壊と静寂の力をつけているので、色は本物とは違います。
メ「後は任せるゅのだ」
シ「おい!!、逃げるんじゃねえよ・・・う・・うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
高雅の放った技により、ステージが吹き飛んで空が見えていた。
高「いっちょ上がり」
高雅は双剣を腰に挿し、凛の縄を解いてやった。
凛「・・・・ぷはー」
高「大丈夫か、姫花?。怪我とかしてないか?」
高雅は本気で心配していた。
凛「だ・・・大丈夫ですわ・・・・」
高「そうか。よかった」
凛「う・・・///」
凛は高雅を安心させるために顔を見て答えたが、高雅の安心した顔を見て少し照れた。
高「なあ、ログナ。あの、紫髪のチビが使っていた力、分かるか?」
ロ「確か、紫髪は空間の力のはずだと思うけど」
高「空間の力か・・・具体的にどういう力なんだ?」
ロ「空間を操り、場所を移動したり物を取り出したり出来る」
高「つまり、人が移動可能な4次元ポケットか」
ロ「なんじゃそりゃ!?」
高「それよりさ、力って何個あるんだよ?」
ロ「不明。余りにも多すぎる為、天国じゃそう答えてる」
高「ふ~ん・・・お、そろそろ撤退しなきゃな」
すると、破壊した壁から天国兵がぞろぞろこちらに向かって来るのが見えた。
高「それじゃ、またな。行くぞ、姫花」
凛「わかりましたわ・・・ひゃあ!?」
突然、高雅は凛を抱えた。
もちろん、お姫様抱っこである。
凛「何をしますの!?///・・・早く下ろしてください!!」
高「出口があっこしかねえんだよ。一気に兵共を駆け抜けるからしっかり掴まれよ」
凛「わ・・・わかりましたわ・・・///」
そう言って凛は高雅にぎゅうっと掴まった。
凛「勘違いしないでください。仕方なく掴まってあげているだけですからね///」
高「さっきから顔真っ赤にしてるぞ」
凛「う・・・うるさいですわ!!。早く行きますわよ!!」
高「へいへい、わかったよ」
そう言って高雅は高速で兵を駆け抜け、校長室へ向かった。
校長室へ向かう途中。
高雅は天国兵を撒いて、アリアと話をしていた。
高(なあ、アリア。レオは天国の方が地獄より力は強いって言ってたよな?)
ア(うん、そうだよ)
高(現状況じゃ、ボロ負けじゃね?)
ア(私もそう思ってる。地獄が何か切札を隠していたってことかな?)
高(その可能性もある。まあ、どっちみち、この戦争を早く止めないとな)
ア(そうだね。大切な友達が危ないもんね)
高(ち・・違う。友達じゃなくて俺の睡眠の為だ!!)
ア(それだけなら、さっさと遠くに逃げてるはずだよ。なのに、ここにいるってことは・・・)
高(だー!!!、うるせー!!。それ以上、何も言うなーー!!)
ア(あははは。ほんと、ツンデレなんだから)
なんやかんや話しているうちに、高雅達は校長室に着いた。
高「到着っと」
高雅は凛を下してやった。
凛「あ・・・ありがとうございますわ」
高「言ったろ。俺には巻き込んだ責任があるって。ただそれだけだ」
凛「それでも、あなたのお陰で私は生きることができましたわ。このご恩はいつか必ず返しますわ」
高「別にそこまでしなくてもいいけどな。取りあえず、早く入れ」
凛「崎村さんはどうされますの?」
高「この戦争を止める。じゃないと、ぐっすり寝れそうにないからな」
凛「ふふふ。では、頑張って来てください。私達はここで待っていますわ」
凛はそう言って地下室へ入った。
高「じゃあな。次に会う時は平和になってる時だな」
凛「そうですわね」
凛は扉を閉め、高雅は絨毯で扉を隠した。
高「さあて、総司令官さんを探しますかー」
そう言って、高雅は校長室を離れた。