魔球合戦
六月の梅雨の時期の学校。
ここ最近は雨が連続で降っている。
高「なんか毎回雨だと色々とやる気が無くなるな」
高雅は外を眺めながら次の授業の用意をしていた。
ア(ねえ、早くしないとチャイムが鳴るよ)
高(分かってるって)
次の授業は体育。
高雅は体操服に着替えていた。
ちなみに、アリアはタオルで巻いて見えないようにしている。
高(着替え完了。さあて、アリア。リストバンドになれ)
ア(わかった)
高雅は蒼いリストバンドを付け、体育館へ向かった。
この授業は最後に他クラスと全員で対決するという少し変わった授業である。
もちろん、今日もそれがある訳で・・・
先「今日はドッジボールで対決だ!!」
A「行くぞ崎村。俺達の連携ぷr「やだ」即答するな!!」
高「敵じゃないのが残念だ。敵だったらお前を開始5秒以内で片づけるのによ」
A「こえ―よ。何で目がマジなんだよ!?」
先「おら、早くコートに行け」
高雅達はコートに立った。
このドッジボールは外野なしのサバイバルルールである。
ちなみに人数は・・・
高チーム 25人
敵チーム 30人
人数では不利だと思われがちだがコートが狭いため人数が多いほど避けるスペースが無くなる。
さらに、運がよければまとめて倒すこともできる。
A「よっしゃー、一気に5人まとめて倒してやろうぜ」
B「俺達のコンビネーションを見せてやろうぜ」
AとBはのんびりとお互いの意気込みを言いあって士気を上げていたが・・・
高「おーい、もう始まってんだぞ」
A・B「へっ!?」
ドガガ!!
敵の投げたボールがAとBを二人まとめて当たった。
A・B「・・・・・」
高「さっさと退場しろ、アホ共」
AとBがテクテクとコートを出た。
C「俺が仇をうってやるからな。行くぞD」
D「よーし、来い!!」
C「しゃー、行くぞ。必殺」
C・D「ダブルス○イラ○ハリ○ーン!!」
ドガガガガ
CとDが放った必殺技は一気に15人当たった。
C「よっしゃー。どうだ、俺達の力は?」
しかし、敵チームは誰一人外野に行かない。
D「おい、どうして外野に行かねえんだ?」
先「あれは蹴りだから当たり判定は無しだ」
C・D「何いいいいいいいいいいいいいいいい!?」
敵「隙あり!!」
ドガガ!!
CとD外野送り。
E「ふふふ、俺が目立つ時が来た」
Eはボールを取り、ホームラン宣言のように敵陣にボールを持った手を伸ばした。
E「俺一人でお前ら全員を倒してやる」
全「おお~」
軽く歓喜の声が上がった。
E「行くぜ、俺の魔球を受けてみやがれ!!」
Eは思いっきりボールを投げようとしたが・・・
スポッ・・・パシッ、ドガ!!
全「・・・うわ~」
解説しよう。Eが投げようとしたがすっぽ抜けてしまい、すぐさまボールを拾った敵が投げてEを当てた。
敵「はははは、もう5人も減ったぜ」
高「さあ、どうする?。もうキャラは背景しかいないぞ」
ア(そんなかわいそうなこと言っちゃダメだよ)
高「事実だろ」
高雅はボールを取った。
高「ん~・・・」
高雅は何の目的もなしに見まわした。
A「パスパス」
高「わかった。ほい」
ビュンドガ!!
A「が!?・・・」
高雅の投げたボールはAの腹に食い込んでいた。
全員がその光景を唖然と見ていた。
その理由は腹が食い込んでダサイってわけではない。高雅の球が見えなかったからだ。
高「あっ、つい加減するの忘れてた」
ア(嘘だッ!!)
高(そういえば、そろそろひぐらしが鳴く時期だな)
Aは再起不能になった。高雅はAが担架で運ばれていくのを見ていた。
高「・・・ざまぁwww」
ア(ひどすぎない?)
今、高雅のクラス達は本当の敵は高雅なのかもしれないと思った。
敵「あいつ・・・強いな」
C「隙あり返し!!」
パシッ
Cのボールは呆気なく取られた。
C「何故だあああああああああ」
敵「テメーなんざぁ、眼中にねえよ。それより・・・おい、テメー」
高「断る」
敵「まだ何も言ってねえだろ!!」
高「黙れ。それ以上関わったらお前も担架に乗せるぞ」
敵「上等だ。おら!!」
敵が高雅に向かって投げた。
高「・・・後悔しやがれ」
高雅は取ったボールの勢いを殺さずにそのまま一回転して投げ返した。
ドガ!!
敵「ぎゃあ」
敵にボールが当たった。しかし、ボールが地面に付かずに暴れている。
ドガガガガガガ・・・・・
敵「ぎゃあああ」
敵「うわああああああああ」
敵「なんじゃこりゃあああああああああああ!?」
ボールが次々と敵を倒していく。
高雅はちゃんと考えていたのか担架送りはあの挑戦を叩きつけた敵一人だけだった。
そして、敵は1人になった。
高「・・・・・・こんなに倒すなんて俺も予想外だ」
敵「・・・・やるな」
生き残った敵が高雅を褒めた。
高「よく生き延びきれたな。運がいいな」
敵「運じゃない。実力さ」
敵がボールを取った。
高「ん?」
敵「お前だけができるわけじゃないぞ」
敵がボールを投げた。それは高雅と同じ魔球だった。
高「なっ!?」
他「うあああああああああああ」
他「いってええええええええ」
他「きゃあああああああああああ」
高雅チームは高雅と龍子の二人になった。
先「開始早々、こんな魔球を拝めるとは・・・」
高「ヒュー、やるな。なんか杉野も生き残ってるし」
龍「・・・・・・」
龍子は何が起こったか分かっていなかった。
高「それじゃ、こっちの番だな」
高雅はボールを拾い、龍子のとこへ向かった。
高「よし、作戦会議だ」
龍「へっ!?・・・どうするの?」
高「こうするんだ。お前なら別に知ってるから何とも思わないだろ?」
龍「まあ・・・そうだけど・・・イカサマじゃない?」
高「いいから、頼むぜ」
龍「う・・・うん」
高雅は龍子にボールを渡した。
敵「いつまで待たせるつもりだ?」
高「オッケー。行くぜ」
高雅は振り向くと同時にボールを構えた。
高「俺の魔球は視覚を狂わす。くらえ!!、奥義!!、ブルースカイ(即席で作った)」
高雅は魔球・・・ではない。たんなる剛速球(軽く200キロオーバー)を投げた。
敵「な・・・何だこれ!?、球が蒼く見えるだと!?・・・だが、避けられないことはない」
敵は高雅の剛速球を避けた。ボールは壁にぶつかり、そこらへんに停止した。
敵「へっ、動体視力じゃ負けないぜ。残念だったn<ポテッ>え!?」
敵は唖然とした。龍子が敵にボールをぶつけていたからだ。
敵「おい、ボールはどっか飛んで行っただろうが」
高「残念。俺が投げたのはリストバンドだ」
敵「な・・・何いいいいいいいいい」
ボールが落ちた所を見ると確かにリストバンドだった。
高「頭使え、バーカ」
敵「この俺が・・・リストバンドと間違えるとは・・・」
先「そこまで、試合終了。クラスAの勝ち」
A「すげええええええええええ」
B「かっきいいいいいいいいい」
C「やるうううううううううう」
D「ひょええええええええええ」
E「きえええええええええええ」
高「後半二人は単なる叫び声だな」
キーンコーンカーンコーン
先「よし、号令」
(略)
高雅はすぐさまリストバンドに駆け寄った。
高(お疲れ、アリア)
ア(いたたたた。もう嫌よ、こんな役なんて)
高(これからもあるかもな。嫌なら契約解除でもすれば?)
ア(それは絶対嫌!!)
高(んな、強く言うなよ)
高雅はリストバンドを腕に付けた。
実は最初はボールだったが、途中でリストバンドに戻ったわけ。だから、リストバンドがボールに見えたのは嘘。
高「さてと、俺も帰るかってあれ!?」
龍「あの・・・アリアさん・・・大丈夫?」
高「心配ない。元気過ぎて死にそうだって」
ア「はいはい、嘘はダメ」
高「おいおい、喋んなよ」
ア「大丈夫よ、私たち以外人はいないよ」
龍「アリアさん・・・大丈夫?」
ア「うん、大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
龍「友達だから・・・当たり前だよ」
ア「ねえリュウコちゃん。私のこと呼び捨てでいいよ。私もリュウコって言うから」
龍「え・・・うん、わかった、アリア」
ア「改めてよろしく、リュウコ」
高「おーい、そろそろ帰ろうぜ。ここにいたら俺が空気になっちまう」
ア「わかったわよ」
龍「それじゃあ、私は更衣室だから」
高「なんで、女子だけ更衣室があるんだ?」
ア「別にどうでもいいじゃない。教室が男だらけなら更衣室と同じでしょ」
高「ここに変装した女がいるけどな」
ア「しょ・・・しょうがないじゃない。私はコウガの使いなんだから。大体、ちゃんと見えないようにしてるから大丈夫よ」
高「半径500メートルならいいんだろ。だったら杉野と一緒にいろ」
ア「ちょ・・・コウガ!?」
高雅はアリアのことを無視して龍子にリストバンドを投げた。
高「アリアをよろしく」
龍「へ!?・・・あの」
高雅は反論が来る前に教室へ戻った。
ア「ったく、コウガったら。まあ、今日だけでもよろしくね」
龍「アリアさんも!?」
ア「呼び捨て」
龍「あ・・・アリアも?」
ア「こうなったからには、しょうがないよ。とりあえず早く着替えよ」
龍「あっ、もう休み時間が終わっちゃう」
龍子は急いで更衣室へ行った。
この日を境に学校では、高雅はよくアリアを龍子に預けるようになった。
アリアがそれを不満とは知らずに。