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杉野家

もうすぐ六月になる時期。

だからと言って何もない。

本当に何もない。

そして今日は日曜日。

高雅はアリア(実体化)と散歩をしていた。

高「こうやって散歩するのも悪くねえな」

ア「そうだね。ほんと、平和が一番ね」

高「んな、バトルもんが言うセリフ言うなよ。ここはあくまで非日常だ」

ア「そんなの、変わらないわよ」

何気ない、平和な会話。

それを壊すかのようにある気合いの声が聞こえた。

?「どりゃああああああああああああ」

ア「ん?、何かしら、この声?」

ふと足を止めて周りを見渡すと、一際ひときわ大きい同情が目に入った。

高「ここからだな。何何・・・龍門道場っていうのか」

看板を見ていた高雅に不運なことが・・・


バギッ!!


ア「コウガ!!、危ない!!」

高「へ!?・・・〈ドガッ!!〉うげ!?」

突如、扉を破壊してぶっ飛んで来た人に高雅はぶつかった。

ア「コウガ、大丈夫!?」

他「はっ!?、すみません!!。大丈夫ですか!?」

飛んできた人は何事もなかったが、高雅はうちどころが悪く、気絶していた。

すると、中から大将らしき人物が出てきた。

大「しまった、人がいたか。とりあえず介抱しよう」

大将はすぐに高雅を抱えた。

ア「ちょっと、高雅をどうする気なの?」

大「おっと、彼女とデート中だったか。安心しろ、介抱するだけだ。お譲ちゃんもおいで」

ア「断ってもそのつもりよ」

アリアは大将の後をついて行き、道場へ入った。




高「・・・んぐ・・・ここは?」

ア「コウガ!!、気がついた!?」

高「アリア・・・そうえば、俺って気絶して・・・」

大「気がついたか」

高「お前・・・誰だ?」

大「私は杉野大輔すぎのだいすけだ。主らのデートの邪魔をして申し訳ない」

高「いや、ただの散歩だから。それにしても・・・」

高雅は道場や練習風景を見まわした。

そして、ふと疑問が浮かび上がった。

高「剣道で人がぶっ飛んでくるって・・・」

実はこの道場は剣道の道場だった。

大「がはははは、わしの剣道は一味違うからな」

高「それに、賞状やトロフィーが一つも見当たらないけど」

大「そんな見せかけな物など、この道場に要らんからな」

高「ふ~ん。かっこいいこと言うけど、実は全然だったり」

少し鹹かった言葉を言うと、大輔に火を灯してしまった。

大「ならば、わしと手合わせするか・・・ほれ!!」

大輔は剛速球並みの速さで高雅に竹刀を投げた。

高「よっと、いいぜ」

高雅はそれをものともせずに取る。

大「中々やるな。さあ来い」

高「俺は型なんて知らねえぞ」

大「気にすることはない。この道場に型など要らん」

高「それって道場として大丈夫か・・・」

ア「コウガー、頑張れー」

アリアが無邪気に応援する。

高雅はそれを聞きながら独自の構えを取った。

大「ほう、竹刀を逆手で持つとは不思議だな」

高「これは、俺の様子見の構えだ」

大「舐められたものだな・・・どりゃあああああああああああああ」

高「!?」

大輔がライオンのように恐ろし気迫を出しながら突進した。

高雅はそれに少しだけひるんだ。

高「中々の威圧感だ。だけどな~・・・勿体ねえ」

高雅は前ステップをした。

ただそれだけで・・・


ドゴッ!!


大「おぶ!?」

大輔の腹に竹刀の柄の部分が食い込んだ。

高「姿勢をもっと低くしろよ。あと、眼だけでやることがまるわかりだ」

大「み・・・見事」

そして、大輔はその場に倒れた。

周りの教え子たちはあんぐりと口を開けていた。

他「あいつ、大将を倒したぞ」

他「何という強さだ。裏大将をも超えているんじゃねえか」

裏大将。

その言葉が高雅の心を動かした。

高「裏大将と戦わせてくれ」

他「い・・・いくらなんでもそれは・・・」

大「いや、ぜひ戦ってくれ」

高「起きるのはや!?」

大「今すぐ呼んでくる。待っておれ」

他「ちょ・・大将!!」

教え子の言葉を無視して大輔は外へ駆け出した。

他「行っちゃった。裏大将がどこにいるか分からずに・・・」


5分経過。


高雅はアリアと教え子たちの練習を見ていた。

高「・・・暇だな・・・」

そう呟き、欠伸を一つする。

その退屈を潰すかのようにある客人がやって来た。

敵1「ちわーっす。道場破りで~す。看板もらいにきました~」

敵2「死にたい人はどうぞこちらへ~」

道場破りが扉をぶち壊してやって来た。

他「あ・・・あいつは今道場の中では噂の道場破り」

高「ほー、あれが道場破りねえ」

他「大将がいない時に・・・くそっ」

敵1「おや、女もいるじゃねえか」

敵2「ヒュー、かわいいな」

ア「へ?、私?」

道場潰し共がアリアに近づいて来る。

他「させないぞ」

それを妨げるように教え子が間に入ってきた。

敵1「邪魔だ!!」


バシッ!!


他「ぐわ!!」

竹刀で思いっきりぶっ飛ばされ、壁に打ちつけられ気絶した。

敵1「お譲ちゃん、俺達と来いよ」

道場破りの一人がアリアに手を伸ばしながら言った。

高「アリア、行きたいか?」

ア「嫌に決まってるでしょ。そんな愚問しないでよ」

敵1「俺達と一緒の方が楽s〈バシッ!!〉ふが!?・・・」

不意に食らった一撃で一人はぶっ飛ばされ、アリアの視界から消えた。

高雅が既に構えており、瞬速の一太刀が道場破りを一人倒したのだ。

高「嫌だって言ってんだから素直に帰れ。フラレマン」

挑発染みた口調で言うと、簡単に挑発に掛かった。

敵2「テメー、よくもー」

高「運が悪かったな。俺が居なければ良かったのにな。最も、あの大将がいたら別だけど」

敵2「調子に乗るなああああああ」

道場破りが高雅に竹刀を連続で振り回している。

高雅はそれを紙一重で軽々避ける。

高「ほう、剣道じゃ俺の負けだな。だが、戦いは俺の勝ちだな」

敵2「ふざけてんじゃねええええええ」

道場破りが気合いの一撃を叩きこもうとしたが、それは空を斬っただけだった。

敵2「何!?、どこへ!?」

高「後ろだ、後ろ」

敵2「この野郎・・・あれ!?」

道場破りは振り向いたが、そこに高雅はいなかった。

高「素直に振り向くとは、情けない」

高雅はいつの間にか道場破りの後ろに回り込んでいた。

そして・・・


バシッ!!


敵2「ふぎゃ!?・・・」

高雅の後頭部への一太刀がもう一人の道場破りを倒した。

高「甘すぎるっつーの」

大「見事だあああああああああ」

いつの間にか帰ってきていた大輔がでかい声を上げていた。

高「わっ!?、ビビるじゃねえか」

さすがの高雅もその声に驚いた。

大「はははは、すまない。それより、裏大将を連れてきたぞ」

高「見つけられたんだ・・・」

よく見ると、大輔の後ろには少し小柄な・・・女がいた。

しかも、それはよく知っている人物だった。

高「あいつって・・・杉野!?」

ア「あっ、リュウコちゃん」

龍「この声・・・崎村君とアリアさん!?」

大輔の影から現れたのは龍子だった。

高「まさか・・・裏大将ってお前!?」

龍「ち・・・違う。私は・・・剣道知らない」

高「じゃあ、誰・・・はっ!?」

高雅は瞬時に振り向き、竹刀を構えた。

?「さすが、大将を倒すだけはあるね。あたしの微かな殺気に気づくとは」

そこには、竹刀を持って悠々と構えている人がいた。

しかも、相手は女だ。

高「お前が裏大将か?」

虎「いかにも、あたしは杉野虎子すぎの とらこ。いざ参る」

虎子と名乗る人は高速で高雅に近づいた。

その速さは大将よりも早く、威圧があり、隙がなかった。

高「やっぱ、大将とは違うな。こりゃ、骨が折れそうだ」

高雅は無闇に動くよりも、あえて何もせず、ただ待った。

虎「ほう、待ち型かい。あたしは攻め型だからお互い相性がいいねえ。おらおらおら・・・」

虎子の猛攻を高雅は全て流す。

しかし、高雅の顔はどこか引きつっていた。

虎「やるね、あたしの猛攻をこんなに綺麗に流すのはあんただけだよ」

高「そりゃ、どうも。だけど、流すので精一杯だ」

高雅は虎子がミスるのをただ待ち続けた。

高(やべーな、ミスる気配がない。こりゃ、持久戦になりそうだ)

高雅は自分との闘いに備える。

しかし、すぐにチャンス到来した。

虎「はぁ・・・・はぁああああっくっしゅ」

突如虎子がくしゃみをした。

その隙を逃す訳がない。

高「もらい!!」

虎「あ!?」


バシッ!!


高雅の払い斬りが虎子の横腹をとらえた。

虎「・・・ふっ、あたしの負けね。あんたは強すぎるねえ」

高「あれはお互いミスるまで続いていたに違いない。俺がミスったら俺の負けだった」

虎「気にいった。あんた、名前は何だい?」

高「崎村高雅だ。俺も、こんなに強い人間に会ったのは初めてだ」

高雅と虎子はお互いに握手した。

大「うおおおおおおおおおおおおお、俺はうれしいいいいいいいいいいいいぞおおおおおお」

龍「崎村君・・・強いね」

ア「さすが、コウガね」

大「ぜひとも、わしの娘を渡したいものだ」

龍「お・・・お父さん・・・///」

高「そう言うのは適当に言うもんじゃない。さてと、そろそろ帰るか」

ア「それもそうね。長居しちゃったし」

龍「あっ・・・私、送るね」

高「別に要らねえよ」

ア「別にいいじゃない。友達なんだし」

高「・・・わーったよ。好きにしろ」

龍「それじゃあお父さん、お母さん。崎村君とアリアさんを送ってくるね」

高雅とアリアと龍子は道場を出た。





帰り道。

龍子はアリアと会話していた。

ア「ねえ、リュウコちゃんはコウガのこと好き?」

龍「へ!?・・・ええ!?・・・え!?///」

突然の衝撃の質問に龍子は頭が爆発しそうなほど真っ赤になっていた。

ちなみに高雅は先に進んでおり、聞いてない。

龍「ど・・・どうしてそんなことを!?」

ア「だってさ、友達でしょ。友達なら好きじゃないの?」

龍「あ・・・」

アリアの質問の意図を知った龍子は少し落ち着いた。

龍「・・・えっと・・・その・・・友達としてなら・・・好き」

ア「なら、これからも仲良くしてあげてね」

龍「うん・・・そのつもり。もちろん・・・アリアさんも」

ア「え!?・・・はは、ありがとう。私とも仲良くしてね」

龍「うん」

そう言って、アリアと龍子は改めて握手した。

高「おい杉野、どこまでついて来るんだ?。もう結構歩いたぞ」

既に道場とはかなり離れており、高雅も見送りにしては長すぎると思っていた。

龍「それじゃあ・・・私はここで・・・またね、崎村君、アリアさん」

高「じゃあな」

ア「またねー」

龍子は家に帰っていった。

高雅達も自分の家に向かって歩き始めた。

高「なんだ。なんか嬉しそうだな、アリア」

ア「ふふ、私に新しい友達ができたから」

高「そうか」

高雅はそれだけ聞いてアリアから目を放した。

アリアは心の底から微笑んでいるのを気づかずに。

ア「新しい友達・・・人間はクズだけじゃないよ、コウガ」

アリアは高雅に聞こえないように呟いた。

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