絆編 その3、心のつっかえ棒
言い訳タイム
10月に入って学校が始まった途端、課題パラダイス。
さらに、急にバイトが入ったりとどうしようもないぐらい時間がない・・・。
はいはい、いつも通りの言い訳ですよ。
本当にごめんなさい。
レ「コウガ殿!!、どうしたのだ!!。コウガ殿!!」
高「・・・う・・・・あ」
高雅が目を覚ました時、自分はベットで寝ていた。
心配そうに見る皆の姿の中にアリアの姿が無いのはすぐに気付いた。
高「あ・・アリアは!?」
レ「分からぬ。大きな物音が聞こえてやってきたが、気絶していたコウガ殿しかいなかったぞ」
高「そっか・・・・いっつ・・」
高雅は腹を抱えて苦しみだした。
あの時のダメージがまだ残っていたのだ。
シ「お兄ちゃん!?」
心配そうに手を掛けるシリア。
しかし、高雅には全く気が入ってなかった。
レ「コウガ殿、どうしたのだ!?。それに、アリア殿はどこだ!?」
高「・・・うるさい・・・」
レ「?」
高「あいつの事はもういい。終わったんだ」
レ「は?」
サ「意味が分からんのぉ」
高「もういいって言ってんだよ!!」
高雅が激怒して怒鳴る。
高「・・・・・一人にさせてくれ」
そう言って、高雅は心配する皆をかき分けて部屋を出て行った。
高雅を追う者は誰もいなかった。
殺気で脅された訳ではなく、ただ悲しげな顔をする高雅を追い掛けることができなかったのだ。
皆はただ黙って高雅の背中を眺めるしかできなかった。
フ「コウガ様・・・凄く悲しそうだったです」
レ「これは、事が急変している。それも、コウガ殿がくじけている程だ」
サ「・・・・・・それで、私らはどうするのじゃ?」
アリアもいない、高雅もいない。
何をすればいいか分からないレオ達は途方に暮れていた。
そんな時、玄関の扉が開く音がした。
ロ「俺は帰って来たぞおおおおおおおおおお」
フ「一々うるさいです」
エ「まぁ、テンションが上がるのもしょうがないけど」
捜索を終えた三人が帰って来たのである。
少しして足音がこちらに向かって来ており、ドアが開かれた。
フ「あっ、いたです。リビングにいなかったからどこに行ったかと思ったです」
エ「皆でアリア君の看病かい?」
ロ「およよよ?、アリアっちは?」
入った途端にそれぞれ言葉を話す。
エ「?、アリア君と高雅君はいないようだね」
レ「その事だが・・・」
レオが何があったが軽く話した。
しかし、本当に何があったか分からなかったため、本当に軽くである。
エ「・・・ふむ、物音がして、部屋に入ったらアリア君は既にいなくなり、コウガ君が悲しんでいた・・・」
レ「すまん。我にも分からないのだ」
エ「奇襲があったのかい?」
レ「それも分からぬ。ただ、コウガ殿が気絶していたため、考えられる」
フ「それで、コウガ様はどこにいったです?」
サ「一人にしてくれと言って、どこかに行ったのじゃ」
ロ「おいおいおいおい。こっちは命からがら、いい情報を得たのによぉ・・・」
レ「それは本当か!?」
ログナの言葉に喰らいつくレオ。
ログナは少し驚いて身を引いた。
ロ「落ち着けって。けどよ、肝心のコウガっちがいないんじゃ意味が無いんだ」
レ「それはどういう事だ?」
エ「僕から説明しよう。その間にログナ君はコウガ君を探してくれないか?」
ロ「けどよ、どこにいるのか分からねえじゃん」
エ「君が無意識に歩いていけばすぐに見つかるさ」
ロ「?、まぁ、分かった。じゃあ、蓮田を頼む」
エクスに言われた通り、ログナは再び外へ出た。
ログナが高雅捜索に出ている時にエクスは皆にアリアを助ける方法を教えた。
家を飛び出した高雅は人気のない森に入っていた。
高「・・・・・・」
今にも雨が降りそうな曇り空を眺めるも、虚空を見つめるばかり。
全てに関してやる気が無くなっていた。
高「・・・・・・・・・・はぁ・・」
深い溜息を零し、その場に腰を落とす。
随分、奥まで歩いてきて疲れたのか、それとももう動きたくなかった自分でも分かってなかった。
高「たった一人の存在が消えたぐらいで何でこんなに落ち込んでんだろう・・・俺・・・」
家族を失う悲しみもあった。
殺すことの感情にも慣れていた。
ただ、今回はまた違った感情が込み上げていた。
高「・・・・・・くそ!!!!」
訳の分からない感情に苛立ち、地面を殴った。
自分で自分が分からなくなり、頭を抱えて蹲った。
高「何なんだよ・・・もう・・・」
どうしてこうなったのか、何が原因で自分がこんな状態になっているのか。
ロ「コウガっちよ、お前にアリアっちが救えるか?」
高「・・・何の用だ?」
ロ「ノリ悪いなぁ」
エクスの言った通り、ログナは高雅を見つけることが出来た。
正確には、神出鬼没スキルで高雅の目の前に現れたと言う方が正しい。
高「で、何のようだ?」
ロ「いやいや、アリアっちを助ける方法が見つかってさ」
高「!?、本当か!?」
高雅が飛び起きてログナの肩を掴んだ。
問答無用で揺さぶられてログナの脳みそは大地震に見舞われていた。
ロ「おま・・ちょ・・・落ち着け!!」
高「あ、わりい。今更だったよな」
ロ「は?」
ログナの肩を話すと高雅はまた暗くなった。
急変する高雅を不思議に思い、首を傾げるログナ。
高「アリアは消えちまったからな。もう、どうだっていい」
ロ「え・・・」
すると、ポツポツと雨が降り始めた。
高「・・・にわか雨だな。結構降るぞ」
ロ「なぁ、コウガっちはどうするんだ?」
高「もうちょっと一人になって、アリアの事をふっ切るさ」
ロ「おま・・・・・いいのかそれで?」
高「いいんだ。あいつがそうしたからな」
ロ「へ?」
高「・・・・あーもう、面倒だな」
そう言って、高雅はログナに軽く説明した。
ログナはうんうんと頷きながら高雅の話を聞いた。
高「――――と、いう言う事だ。もういいだろ」
ロ「・・・お前、本当にいいって思ってるのか?」
高「は?」
ロ「どう見てもBAD ENDじゃねーか!!」
ログナが高雅の肩を掴み、訴える。
しかし、高雅は足払いをしてログナを呆気なく転ばせた。
ロ「ふぎゃ!?」
高「そんなお気楽な考えを現実と一緒にするな」
ロ「でもな、コウガっちは諦めたくないだろ?」
高「バカ言え。あんなトラブルメーカーが消えればどれだけ平和になる事だか」
ロ「ほほぅ。だったら、何で俺っちがアリアっちを助ける方法を教えようとした時、焦ってたのかなぁ?」
高「焦ってねえよ」
ロ「焦ろよ!!」
ログナはすぐに立ちあがって高雅の肩を掴んだ。
しかし、さっきと同じように簡単に転ばせた。
ロ「おふぅ!!」
高「あいつはもう関係ない。契約もとっくに切れている」
めげないログナに対し、高雅は全くやる気を見せない。
すると、ログナの怒りが爆発し、高雅に掴みかかった。
ロ「んなこたぁ!!、どぅでもいいんだよ!!。大事なのはコウガっちがどうしたいかだ!!」
高「どうもしたくねえよ!!。あいつからふっ切ったんだよ!!。だから、どうでもいいんだよ!!」
二人ともムキになり、怒鳴りあう。
高雅がどんなに圧力を掛けてもログナは引くことはなかった。
そして、ログナが渾身の一撃を突いた。
ロ「じゃあ、何でアリアっちのことでそんなにムキになれるんだよ!!」
高「ッ!?」
高雅は自分でも気付いていなかったのか、かなり驚いていた。
それに気付いたログナが追い打ちを掛けるよう、さらに一言。
ロ「アリアっちの事で悩んでいるなら、本人に会いに行けばいいじゃねえかよ!!」
高「・・・・・・・・・・・・・」
高雅の動きが完全に止まった。
ログナは高雅を放し、ふと振り返って背中を見せる。
そして、カッコ良く渋い声でこう言った。
ロ「コウガっちよ、お前にアリアっちが救えるか?」
高「・・・・・何やってたんだよ、俺・・・」
高雅は自分の情けなさに溜息を零した。
そして、立ちあがって意気揚々とやる気を取り戻した。
高「そうだよ、容赦なく殴れば解決じゃねーか」
ロ「・・・え?」
どこで道を間違えたのか、高雅はそう言って怖い笑みを浮かべていた。
高「そうだな。勝手に契約を切ったりしやがって・・・死より恐ろしい苦しみを味あわせてやる」
ロ「いや・・・助けr「おい、帰って作戦を考えるぞ。どんな拷問にしてやろうか」おーい、コウガっちー?」
ログナを置いて行き、高雅は元気を取り戻して家に帰って行った。
ロ「・・・えっと・・・イエイ」
何を言えば良かったのか、適当にピース。
自分で何をしているのか虚しくなり、ログナも高雅の家へと向かった。
そんな時、ふとログナは気付いた。
ロ「あれ、俺っちとコウガっちの感情が逆転してね?」
エ「――――と、いう訳だ」
ログナが高雅を探している間にエクスが皆にアリアを助ける方法を教えていた。
レ「成程。しかし、どうやるかが問題だな・・・」
サ「次は、それを実行する方法じゃのぉ」
フ「ん~、難しいです」
方法は分かったとしてもそれを実行するのが困難だった。
皆が迷っている中、玄関の扉が開かれると大きな声が聞こえた。
高「全員、リビングに集合!!」
高雅の声が家全体に響き、誰も聞き逃すことはなかった。
皆は突然の事でも何の迷いもなくリビングに向かった。
レ「コウガ殿!!」
フ「もぉ、どこに行ってたです?」
シ「お兄ちゃぁん♪」
サ「どうやら、元に戻ったようじゃな」
エ「良かった。いつものコウガ君だ」
蓮「あれ、ログナは?」
高「さぁ?。それよりも、皆、聞いてくれ」
高雅が皆の注目を引いて発表する。
高「いいか、アリアはどっかの異空間にいる。その場所を知っているのは紗奈恵達三人だ」
レ「ど・・・どういう事だ!?」
高「アリアの力は莫大過ぎてアリア自身を破壊するらしい。もちろん、体もあるが記憶とかも含まれる。そして、アリアの体が完全に壊れ、力が外に出た時、力の抑える媒体が無ければ・・・この世が吹き飛ぶ」
高雅は誰にも割り込みさせないで一気に喋った。
皆はいきなりすぎて少し困惑したが、あらかた追いついていた。
高「それで、紗奈恵達はアリアを異空間に入れてこの世でもあの世でもない場所にやったんだ。しかも、アリアは自分の意思で行きやがった」
フ「そ・・それは本当です!?」
高「ああ。だから・・・勝手な行動をしたあいつに会って、殴り飛ばす!!」
エ「え・・・助けるのではなくて?」
高「殴り飛ばす!!。助けるのはその後でいい。てか、助けなくてもいい!!」
ロ「そりゃねーよ!!」
突然、現れたログナがツッコミを入れる。
しかし、高雅は無視して話を続けた。
高「アリアのいない俺じゃ、あの三人の誰にも勝てない。だから、お前らの協力が必要なんだ!!。アリアを殴るために、頼む!!」
高雅が自らの頭を下げた。
フ「コウガ様・・・・素直じゃないです・・・」
サ「・・・いや、素直じゃ」
フ「?」
高雅の行動を見て、サミダレはある言葉を思い出していた。
アリアが先程言っていたあの言葉だ。
サ「十分過ぎるくらい、素直じゃ」
フ「そう・・です?」
サ「それが分からぬとは、コウガ殿と釣り合えそうにないのぉ」
フ「意味が分からないです!!」
フィーラが怒り出すも、サミダレは見向きもせずに高雅に近づいた。
サ「頭を上げるのじゃ、コウガ殿。私はついて行くぞ」
高「サミダレ、お前・・・」
サ「ほっほっほっほ。面白くなってきたのぉ」
サミダレが笑い出し、面白がっていた。
すると、他の皆もサミダレに続いた。
レ「我もついて行くぞ」
フ「ボクだって行くです」
エ「全く、コウガ君は誰にも止められないな」
蓮「行こう!!、皆で!!」
ロ「べ・・別にコウガっちの為じゃないんだからね!!。ただ、コウガっちがアリアっちを殴らないように監視するだけなんだからね!!」
シ「あたしもぉ」
高「・・・・悪いな」
そう言って、高雅は立ちあがり、目を閉じて軽く深呼吸する。
次に目を開けた時、高雅が心を決めた時だった。
高「行くぞ、皆!!。セイクリッドに殴り込みだ!!」
皆「おぉー!!!!」
高雅に続いて全員が高らかに拳を上げた。
そして、セイクリッドへの挑戦が始まった。
アリアのノート、一ページ目
今から私、アリアは異空間に閉じ込められている間、サナエさんからもらったノートに文章を書きます。
何を書こうか決めてないけど、取りあえず、暇だから思い出でも書こうかな?。
まず、コウガと初めて出会ったのはコウガの家の玄関前。
・・・何も変哲もない場所だった・・・ちょっぴり寂しい・・・。
それから・・・・・・修学旅行があったり・・・。
あれ、思い出せない。
記憶が消え始めている見たい。
記憶が無くなる前に、皆の事でも書いておこうかな。
コウガ、サミダレさん、フィーラちゃん、レンタ君、れ・・・レナ?、いやレタだっけ?。
それと・・・アリア?。
いや、これは私の名前だけど何か似ている響きがあったような・・・
後・・・リュウコ、リン、A君、B君、C君・・・あれ、どこまでだっけ。
確か・・・Eぐらいまであったような・・・でも、Dまでだったような。
・・・書き始めからグタグタだよ。
次はちゃんと書こう。