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修学旅行編 その16、ラスボス

暇な夏休みを使って一気に遅れを取り戻したこの瞬間。



睨み合うなか、三人は静かに動かずにいた。

雪が止み、雲から顔を出した日差しに木の上にある雪が溶けて落ちていた。

その瞬間、高雅と組長が消えた。

A「・・・ウェ?」

Aも遅れて消える。

そして、空中で何度も何度も火花が散った。

何が起こっているのかは目視出来るレベルではない早さだ。

高「ってぇ・・」

A「おおおおおおおおおおおお」

組「ふん」

高雅は冷静に、Aは大体に、組長は確実に攻撃をしていた。

すると、お互いに一旦離れ、停止した。

高「ふぅ、中々攻撃が入らないな」

A「いやー、これがラスボスだよな」

高「感心するなら十発攻撃を当てろ」

A「任せろ!!」

Aは無理とは言わずに高雅の条件に乗った。

すると、勝手にAは組長の所へと向かっていった。

高「・・・・手が掛かる」

高雅もすぐにAの後を追って組長の所へ向かった。

変わって組長は余裕を見せるように立っていた。

A「一発目ええええええええええ」

Aが大声を出しながら背後から斬りかかった。

完全にバカ丸出しである。

組長は振り向くまでもなく、雪を拾って後ろに投げた。

その軌道は綺麗にAの顔面へと描いた。

A「うわっぷ!?」

Aは咄嗟に目を閉じて雪を払う。

次に目を開けた時には、目の前に拳が見えていた。

組「ふん」

A「ぶっ!?」

組長のパンチがAの顔面を捉えた。

Aは木をなぎ倒し、どんどん飛ばされていく。

すると、入れ替わりで高雅が組長に接近していた。

組「今度はお前か」

高「今度は俺だ」

高雅は組長の顔面を殴るかと思いきや、寸前で消えて後ろに回った。

しかし、読まれていたのか組長はさらに高雅の後ろに回っていた。

高「いっ!?」

組「甘い」

組長はぶっ飛ばそうと殴ったが、高雅がギリギリでバク転し踏みつぶそうとした。

組長は避けてしまうも雪が粉となって舞いあがり、視界が悪くなった。

組「く、ちょこまかと・・・うぉ!?」

A「一発目ぇ!!」

Aが視界が悪い中にも関わらず、組長に一撃を浴びさせた。

高「上手くいったようだな」

実は、高雅がAを取りに行ってそのまま組長に向かって投げていた。

視界が悪くても殺気さえあれば高雅にとって場所を知るのはお手のものである。

高雅は吹き飛んだ組長を追い、Aもすぐに組長を追った。

組「子供にしては上出来だ」

組長は吹き飛ばされている最中に体勢を立て直した。

そのまま雪の上に着地し、雪を散らしながら止まった。

組「だが、これはどうだ?」

組長は器用にも指の間で小さな雪玉を作りあげた。

一気に作った八つの雪玉を纏めて投げた。

それは頑丈に作られており、弾丸に化していた。

それを何度も何度も放った。

A「ワオ」

高「小細工だな」

高雅とAは雪玉で作られた弾丸の嵐を潜り抜けながら組長に接近していた。

時々、高雅はAの体を盾にして遊んでいた。

A「って、おい!!」

高「ははは、わりぃわりぃ」

完全に悪気が有る態度をとる高雅。

ちなみに、こんな最中でもちゃんと雪玉を避けている。

組「なめるな!!」

高「おっと」

A「ろっと」

ある程度近づいて来た高雅とAに向かってラリアットをする組長。

しかし、高雅とAはしゃがんで避けてやりすごす。

高雅は何故か空中へ飛びあがり、Aはそのまま組長と一騎打ちに出た。

A「勝負だこんにゃろおおおおおおおお」

組「いいだろう」

Aは連続で斬り刻み、組長は素手でやり過ごす。

素手は全くの無傷でダメージも通っていなかった。

A「かてぇなこのにゃろおおおおおおお」

組「これが薬の力さ。弱い人間の為に作られた最大の薬さ」

A「何が薬だ!!。だったら、こっちはロリを思うパワーで勝ってやる!!」

相変わらずのAはバカな発言をする。

しかし、目は本気で決して遊びで言っている訳ではない。

組「では、この薬で小さな子にモテようと思わないか?」

A「ん・・・・・・・」

組「甘いな」

A「ぶっ!?」

簡単な誘惑でAは戸惑いを隠せず、隙を見せてしまった。

その隙で組長はAの顔面を殴り、空中へ吹き飛ばした。

そのまま組長はAを追撃に向かうが高雅が間に入った。

組「今度はお前か」

高「ここまで吹っ飛ばしてもらうつもりだったが、あいつは使えない。俺が直接相手してやる」

高雅は双剣を構え、接近する。

最初と同じように火花を散らし合う。

ぶつかっては離れ、ぶつかっては離れを高速で繰り返す。

組「その程度の力で私を殺せるのか!?」

高「さぁ?。どうにかなるだろ」

高雅は適当に返事をし、攻撃を再開する。

所々斬撃が組長を捉えているが傷は全く付かない。

組「すばしっこいな。では・・・」

高「?」

組「はああああああああああ」

組長は力を溜め、高雅が近づいた瞬間に力を解放した。

高雅は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる瞬間に体勢を立て直した。

高「っと、危ねえ」

高雅は再び接近する。

組長は力の使い方を知らなかったのか、少々疲れが見えていた。

その隙に、高雅は下から勢いに任せて蹴る。

すると、Aも上から同じように蹴りをする。

高「おらぁ!!」

A「おりゃぁ!!」

高雅とAの蹴りがクロスする。

二人の同時攻撃は、組長を軽く怯ませた程度であった。

組「くっ・・・やるな」

組長は口から血を少し流した。

ダメージがほんの少し通った瞬間だ。

高「あれだけの蹴りで血がちょびっとか・・・」

A「こりゃ、勝てるな」

Aが余裕を見せると高雅も少しだけ余裕を見せていた。

組長は血を手で拭い、口の中の残りはそこら辺に吐き捨てた。

高「・・・・・?」

A「ん?、どった?」

突然、高雅はホテルの方を向いた。

それに気付いたAは首を傾げながら尋ねた。

高「どうやら注文の品が出来たようだ。時間稼ぎ頼めるか?」

A「成程、トドメのロケットランチャーフラグだな。任せろ」

高「・・・まぁ、任せた」

高雅はその場から離れ、ホテルへと向かった。

しかし、組長はそれを許さずに高雅の目の前に現れる。

組「何を企んでいるが知らないが逃がしはしない」

高雅は目の前に立ち塞がれようともまっすぐ走る続ける。

組長が高雅に向かって殴ろうとした瞬間、その手は高雅の体をすり抜けた。

組「!?」

A「あー、高雅はもういねぇぞ」

高雅は組長に夢幻を見せていたのだ。

手の内を隠されていた組長は容易に高雅を逃がしてしまった。

組「・・・まぁいい。お前を殺した後にホテルの奴らも全員殺すからな」

A「かかってきな。主人公は一人になった瞬間に本気を出すものだぜ」

Aは挑発しながら剣を構える。

組「はたして、本気を出していなかったのはどっちだったか・・・」

A「?」

組長はポケットに手を入れ、余裕を見せるかと思いきや、ポケットからある物を取り出した。

Aは警戒しつつ相手の行動を注意深く見ていた。









高雅は屋上へひとっ飛びし、そこには既に紫理奈と空の姿があった。

高「出来たか?」

空「これ・・・」

空が差し出したのは液体が入った一本のビンだった。

高雅はそれを受け取るとマジマジとビンを見つめていた。

高「これが本当に効くのか?」

紫「効果はバッチリよぉ。現に姉様の薬の作用は全て打ち消したからぁ」

高「ならいいや。それより、聞きたいことがある」

紫「何かしらぁ?」

高「俺の高校の奴らに薬を飲ませてないだろうな?」

紫「大丈夫よぉ。姉様はそんなことをしなかったわぁ」

空「食事に・・・薬を混ぜたのは・・・黒淵・・だけ・・・」

高「そうか・・・じゃあ、あいつの言ってた意味は何だろうな」

紫・空「?」

高雅の言葉に首を傾げる二人。

高「いや、詩智安がさ、薬を飲んだのは黒淵だけじゃないって言ってたからな・・・てっきり緑淵の奴らにも飲ませたかと思ってな」

紫「・・・もしかしたらぁ、姉様は組長の企みを知っていたのかもぉ」

空「え・・・私・・・気付かれてたの・・・」

高「・・・まぁ、あいつならありえそうだな」

空「じゃあ・・・何で・・・何も言わなかったの・・・」

紫「関係を壊したくなかったのよぉ。きっとぉ」

高「まぁ、スパイがいると気付けば普段通りにいかなかっただろうな」

空「・・・助けられたのは・・・私の方だったんだ・・・」

紫「姉様にはかなわなかったわね」

そう思うと、二人は少しだけ笑みを零した。

高雅はその関係が少し羨ましいと思いつつも照れ隠しで後ろを向き、再び組長の所へ向かおうとした。

紫「最後に一言いいかしらぁ?」

高「何だよ?」

高雅は振り向きもせずに立ち止まる。

紫「あなたにもお礼を言いたいのよぉ」

高「俺はお前らの事を妨害していたのだぞ」

空「あなたの・・・お陰で・・・終わりそうだから」

紫「もぅ、私達はどこかに消えるわぁ」

高「そうか。好きにしろ。俺は自分のためにやってるだけだ」

そう言って高雅は飛び出そうとするも、腕を掴まれてしまった。

高「まだ何かあるのかよ」

高雅はやれやれと思いつつも振り返った。

すると、紫理奈と空は高雅の目を見ながら言った。

紫・空「ありがとう」

高「・・・どういたしまして」

空「・・・そうだ・・・アリアさんにも・・・」

紫「そうだったわねぇ」

高「安心しろ。アリアも聞いている。これは本当だ」

空「なら・・よかった・・・」

紫「嘘じゃなさそうねぇ。それじゃぁ、私達はこれで」

高「もういなくなるのか。あいつがくたばる所でも見ればいいのに」

空「もう・・・警察・・・呼んだ・・・あと・・医者も・・・」

紫「そう言うことよぉ。サツが来る前に終わらせてねぇ」

高「へいへい。また勝手なことを」

空「それじゃ・・・さよなら・・」

紫「彼氏にしてあげてもいいわよぉ」

高「ごめんこうむり願いたい・・・あばよ」

高雅は飛び立ち、場を離れた。

そして、二人は高雅を見送った後にホテルを出て行った。

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