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修学旅行編 その15、三人の思い

高雅とAが組長の首に剣を突きつけ、組長は少し引いて驚くもすぐに笑みを浮かべた。

組「くっくっく、お前らも薬を飲んでいるのか?」

高「全く。俺は薬中じゃない」

A「それよりもロリを使って悪用するお前が許せねぇ」

組「お前らが何者で何の関係があるかは知らないが、結局は死んでもらうからな」

高「はっ、負け惜しみを。この状況でどうやって勝つつもりだ?」

既に組長以外は全員倒れ、空と紫理奈も救出されていた。

空と紫理奈は詩智安の傍にいて涙を流していた。

組「あいつの研究データは全てこちらに回ってある。つまり、既にあいつが作った薬もあるのだ」

高「へぇ、飲む暇はあるのか?」

組「何、勘違いをしている?」

A「ひょ?」

もちろん、組長はふざけて言った訳ではない。

Aはふざけているが。

すると、組長は残像を残して消え、高雅とAの後ろに回り込んだ。

高・A「ッ!?」

組「既に作用しているのさ!!」

まだ飲んでないかと思っていた二人は意表をつかれ、反応が遅れた。

A「うおっ!?」

組「星になれ!!」

組長はAの頭を鷲掴みすると、思いっきり空へ投げ飛ばした。

その間に高雅は体勢を直し、組長と向き合う。

高「ちっ」

組「お前も同じように星にしてやる」

組長はAと同じように頭を掴もうとするも、既に体勢を整えた高雅は紙一重で避け、顎にサマーソルトキックを浴びせる。

組長は空を見上げるだけでダメージはゼロだった。

組「くっくっく、全然痛くない・・・ん?」

頭を戻した時、既に高雅は目の前にいなかった。

高「どこを見ている?」

後ろから高雅の声が聞こえ、振り返った瞬間・・・


ドゴォッ!!!!


高雅の全身全力全開活性のパンチが組長の腹を捉えた。

組長は吹き飛ばされ、雪山のどこかに落ちた。

高雅は相当な力を使ったため、息切れを起こしていた。

高「ぜぇ・・ぜぇ・・まぁまぁだな」

高雅は手をはたきながら空の下に歩み寄った。

空は首を上げ、高雅の顔を見ていた。

高「おい、あいつが言ったことは本当なのか?」

空「・・・・コクン」

空は正直に頷いた。

高「じゃあ、何で詩智安の死に涙を流している?」

空「・・・それは・・・」

紫「・・・・私ぃ、どうしてもクゥちゃんが裏切ったなんて信じられなぁい。あの組長が嘘を言ってるしか・・・」

空「・・・全部・・・本当・・・でも・・」

紫「?」

空「言う通りにしないと・・・皆殺しって・・・だから・・・私・・・」

紫「あ・・・」

空が隠し事をしていたことは二人とも知らなかった。

空は二人を守るために仕方なく言うとおりにしていたのだ。

空「でも・・・結局・・守れなかった・・・グス・・私・・・裏切った挙句・・・詩智安さんを・・・殺した・・・」

詩「・・・クゥ・・・・」

空「ッ!?」

紫「ね・・姉様!?」

高「生きてる・・・だと!?」

見る限り脳天や心臓を貫かれて死んでも当然な状態だ。

詩智安は薬を無効にする弾を撃たれているのにも関わらず息を吹き返したのだ。

高雅も再生の力など使っていない、完全に詩智安の力だけである。

詩「ごめんね・・・そんなことも知らずに・・・私、薬を作ることに必死で・・・」

空「詩智安・・さん・・・」

空は優しく詩智安の手を取り、自分の顔に近づけた。

詩「あんな奴の所から離れて自由に薬を作れると思ったら、利用されてるなんて・・・情けないわね」

空「詩智安さんは・・・凄い人です・・・私の・・尊敬する人・・です」

詩「ありがとう・・・ゴフッ!!」

紫「姉様!!」

詩智安は血を吐き、せき込み始めた。

もう、体力もなくなり限界が訪れているのだ。

詩「ゲホッゴホッ・・・紫理奈、お姉ちゃんの我が儘に付き合わせてゴメンね」

紫「私は自分の意思で姉様に従ったのよぉ」

詩「・・・クゥ・・・守ってくれて・・・ありがとう・・・」

空「・・・・・・・・・」

詩「私は・・・二人のお陰で・・・幸せよぉ」

最後に微笑みを見せ、詩智安は完全に息を引き取った。

それを悟った紫理奈と空は息をのんだ。

しかし、乱れることはなく、静かに呟いた。

紫・空「ありがとう」

高「・・・・・・・・・・」

ア(ねぇ、再生で生き返らせてあげないの?)

高(そんなことしたら今までの時間が無駄になる。いきなり戻ってきたら逆に困る)

ア(そっか・・・やっぱり、死ぬ所を見ると悲しいね)

高(いずれ受け入れる出来事だ。ただ、それが早かっただけだ)

高雅は振り返って組長を吹き飛ばした方を向いた。

それに気付いた紫理奈が咄嗟に高雅を呼びとめた。

紫「待ってぇ。まだあいつが死んで無いのよねぇ?」

高「ああ。ただ飛んだだけじゃ死なないだろうな」

空「私・・・薬を・・無効化する・・・薬を作る・・・」

高「どうやって?」

空「詩智安さんから・・薬の成分を・・抽出して調べる。自分の部屋に・・・材料は・・あるから」

高「分かった。時間は?」

空「・・・30分・・・」

高「じゃあ、任せる」

高雅は空を見上げ、遠くを見つめた。

すると、ある落下物がこちらに落ちて来るのが見えてきた。

A「・・・・・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ」

紛れもなくAだった。

高雅はAが地面にぶつかる瞬間に蹴り、そのまま組長を吹き飛ばした場所に飛ばした。

A「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」

高「薬は任せたぜ」

高雅も後に続いて向かった。

空と紫理奈は詩智安を抱え、ホテルの中へと戻って行った。








A「・・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ」

雪山に向かって突っ込むA。

綺麗にも頭から雪の中に突っ込んだ。

高「よっと。我ながら良い蹴りだったな」

高雅は普通に着地をする。

雪の上なので埋まらないように方向の力で少しだけ浮いている状態だ。

A「ぶはぁ!!。おい、地面に頭が当たったぞ!!」

高「そりゃ良かったな」

A「良くねえよ!!」

Aは顔だけを出し、高雅を睨みつけていた。

高雅はどうでもよさそうに耳を弄って無視していた。

すると、少し離れた所に殺気を一つ感じ取った。

高「・・・来るな」

A「え・・ちょ!?」

高雅はAを置き去りにしてその場から離れた。

すると、雪を吹き飛ばしながらこっちに向かってくる影が見えた。

こんな人間離れした事が出来るのは二人を除いて今は一人しかいない。

組「わざわざ殺されに来たか!!」

A「ゲゲッ、組長!!」

Aは咄嗟に跳び上がり、木の上に着地した。

しかし、組長は止まらずにAがいる木にタックルし、圧し折った。

A「うわわわわわわ!!」

Aは別の木に跳び移り、すぐに組長に向かって飛び降りた。

A「と、見せかけおりゃあああああああ」

組「甘い」

組長は紙一重で避けた。

しかし、反撃には出ず、その隙にAはそのまま雪に潜って逃げた。

組「逃げたか・・・んん?」

高「あ・・・」

高雅は遠くで力を溜めているのがばれてしまった。

何をしているのかすぐに分かったのか、組長は一瞬で高雅の目の前に移動した。

組「朽ちろ」

高「嫌だ」

高雅は咄嗟に組長の腕を掴み、攻撃を阻止する。

そのまま静寂の力を込めて動けなくしようとするも詩智安と同じように効いていない。

高「やっぱダメか」

組「何がしたい?」

組長は高雅を蹴り飛ばした。

高雅は後ろの木に叩きつけられ、気を失った。

組「終わりだ」

組長は吹き飛んだ高雅の下に一瞬で移動し、トドメの一撃の蹴りを喰らわした。

高雅の腹は木ごと貫通してしまった。

組「さて、残るは一人か」

組長が振り返るとその先に少しだけ盛り上がっている雪が見えた。

A(バレてない、バレてない)

組「・・・・・・・死ね」

組長は盛り上がった雪を思い切り踏んだ。

組「?」

しかし、人を踏む感触はなかった。

よく見るといくつも雪が盛り上がっていたのだ。

殺気を操れない組長はAの場所が分かる訳もなかった。

の、はずだった。

組「それで隠れたつもりか?」

組長はいくつもの雪の中から一つだけ既に決めていた。

そして、さっきと同じように踏みつけると風圧で雪が舞い、中からAの姿が見えた。

Aは咄嗟に腕で組長の足を受け止めていた。

A「ちょ!?、何で分かった!?」

組「身体能力のみが力だけではない。今の私は敵の位置も把握できるのさ」

徐々に力を上げる組長に対し、Aは苦しい顔をしていた。

A「いぃぃぃ、どんだけ強いんだよぉぉ・・・」

組「どうした?。まだ半分しか出してないぞ」

Aの活性の力が劣っていた。

次第にAの骨が悲鳴を上げ、支えられなくなりつつあった。

組「終わりだ」

A「くっそおおおおお、主人公は逆境を跳ね返すううううううう」

Aは主人公補正を信じつつ、必死に耐えていた。

すると、それに答えたかのようにAと組長に影が覆った。

組「?」

高「ちっ、気付いたか」

高雅は気付かれようと、そのまま串刺しにしようと剣を下ろす。

A「ちょ!?」

組長は横に回避し、Aも体を逸らしてギリギリで避けた。

A「おま、俺ごと殺す気か!!」

高「避けたか・・・」

A「それってあいつに言ってるのか!?、それとも俺に言ってるのか!?」

高「両方」

A「言いやがってこいつ!!」

高雅は明後日の方を向きながら無関心に答えた。

組「ほぉ、生きていたか」

高「いや、アレは分身だし」

そう言って指を指す方を見ると今だ死んでいる高雅の姿があった。

しかし、組長が顔を向けた瞬間、創造の分身は雪へと化けた。

組「小癪な真似をしたがる」

高「そんな小癪な真似に引っ掛かったアホを誰だ?。バカに付ける薬はないって事だな」

組「うるさいハエが」

組長は高雅の挑発に乗り、全力で向かって来た。

高雅は剣を構え、相変わらず余裕な笑みで迎える。

A「俺を忘れるなああああああああああああ」

Aも立ち上がり、高雅と並んで剣を構えた。

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